イラン及び周辺国人道危機救援

画像 イランの首都テヘランで捜索・救助活動を行う現地赤新月社のスタッフ©IRCS

 2026年2月28日以降、中東地域では軍事対立が激化し、深刻な人道危機が広がっています。イランでは空爆により民間人やインフラへの被害が拡大し、約320万人が国内避難を余儀なくされています。レバノンでも約120万人が避難生活を送り、医療や公共サービスへの負担が深刻化しています。イスラエルでもミサイル攻撃により市民生活に大きな影響が出ています。
 さらに湾岸地域では交通や物流の混乱が続き、支援物資の輸送にも影響が出ています。この影響は世界に波及し、燃料や食料価格の上昇を通じて、特に弱い立場の人びとの生活に影響を与えています。

日本赤十字社の対応

 日本赤十字社は令和8(2026)年3月16日から令和8(2026)年5月29日まで「イラン及び周辺国人道危機救援金」を募集しました。

受付状況:1,284万5,700円(2026年4月30日現在)
※受け付けは2026年5月29日をもって終了いたしました。多くの皆さまのご協力、ありがとうございました。
※なお、令和8(2026)年6月以降、イラン及び周辺国人道危機への対応には中東人道危機救援金の一部が活用されます。


 日本赤十字社は、寄せられた救援金をもとに、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)が発出した緊急救援アピールに対する資金援助を行いました。援助金は、イランおよび周辺国で赤十字・赤新月社が実施する救援活動に活用されています。また、イスラエル・ダビデの赤盾社やレバノン赤十字社、パレスチナ赤新月社レバノン支部が実施する救援活動に対しても資金援助を実施し、国際赤十字の活動を支えています。

国際赤十字の対応

 連盟は2026年3月、イラン赤新月社の要請を受け、約4,000万スイスフラン(約81億円)の緊急救援アピールを発出し、4月には約3倍の1億2,000万スイスフラン(約240億円)へ要請額を拡大しました。支援は物資配付に加え、保健医療、給水・衛生、生計支援など幅広く実施されています。さらにレバノン赤十字社が実施する救援活動を支援するため、約200万スイスフラン(約4億円)の緊急資金を拠出しています。
 ICRCもイランでの活動強化のため、2026年次アピールの支援額を約990万スイスフラン(約20億円)に増額しました。長年にわたり同国で人道支援を続けてきたICRCは、医療支援や身体リハビリテーションに加え、行方不明者の追跡調査や家族の連絡回復・再会支援、国際人道法の普及に努めています。今回の軍事対立の激化を受け、民間人や病院・学校への被害に強い懸念を示しつつ、中立・公平の立場から、イスラエルやレバノンでも連携して支援を拡大し、被害を受けた人びとが医療や水など必要なサービスにアクセスできるよう支援しています。
 そして、各国赤十字・赤新月社は、連盟やICRC、各国当局と連携し、人道危機の中で支援を続けています。

■イラン赤新月社による活動

 全国31州で約10万人の緊急対応要員を動員し、救急医療、救援物資の配付、捜索・救助などを各地で展開しています。(支援実績:2月28日~4月30日)

捜索・救助 空爆の直後から現場での救助活動を展開。約6,000件の捜索・救助活動を実施し、7,000人以上を医療機関へ搬送、捜索救助犬は1,700件以上の活動に協力。
心理社会的支援(MHPSS) 全国ホットラインに725万件以上の相談が寄せられ、人びとの不安やストレスに対応するた約2,300人の専門スタッフが対応。

保健医療支援

病院での医療や医療物資の提供のほか、住民の日常生活の回復を支えるため、患者への診療で約34万件の処方せんを発行し、約4万回の理学療法セッションを実施。
情報発信(広報) 住民に正確な情報を届けるため、ラジオ・テレビ番組1,000本以上、ニュース・レポート8,200件、ポスターや動画など3,570点を制作し、多様な手段で情報を提供。
装備・即応態勢 緊急対応に備え、約11万人の救助要員が待機、車両7,000台以上、救急車2,500台を配備し、全国規模で迅速に対応できる態勢を整備。

■周辺国赤十字・赤新月社による活動

 レバノンやイスラエルでは、捜索・救助や救急搬送、心理社会的支援(こころのケア)などが全国規模で行われ、スタッフとボランティアが24時間態勢で活動しています。また、周辺各国では、大規模な避難や越境移動に備え、避難所の準備や物資の事前配備が進められ、国境地域でも受け入れ態勢の強化や避難民支援が続けられています。

p-IRN0899.jpg医療や救助などの緊急支援を展開するイラン赤新月社©IRCS

p-IRN0983 (1).jpeg不安を抱える避難中の女性に寄り添うイラン赤新月社のボランティア©IRCS

p-IRN0991.jpeg空爆の影響で避難を余儀なくされた家族が身を寄せる緊急避難所。イラン赤新月社は被害にあった方々にこころのケアを実施。©IRCS

20260528-1b76690754dde4ac97216c75ef2054fca78d0a50.jpeg複数の通報地点へ駆け付けて捜索・救助活動を行うイスラエル・ダビデの赤盾社©MDA

20260528-a43412b90535a42a5501cea491a3c660c6c8ef0d.jpeg捜索・救命活動を行うレバノン赤十字社©LRC

20260528-17f51541acaa96d0a27fd17915531e17af1e49c6.pngベイルートの集団避難所で、避難生活を送る子どもたちと手を取り合い、寄り添うレバノン赤十字社のボランティア©LRC/IFRC

_m235793 (2).jpegイランに届けられた外傷治療キット。トルコ赤新月社の協力による越境輸送を経て、イラン赤新月社の倉庫で受け取られた。©IRCS/IFRC

Iran-emergency-relief-2---April-2026.JPGICRCによりイラン赤新月社に届けられた171トンの生活必需品。これは戦闘の激化以降、国境を越えた人道支援物資の搬入の数少ない例である。©ICRC

*カステリヤノスIFRC事務次長のリポート動画(イラン・テヘラン東部)

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