【速報2】「イラン及び周辺国人道危機救援金」の募集を開始 

 2026年2月28日以降、中東地域での軍事対立の拡大による中東各地での緊張の高まりを受け、イランでは民間人の死傷や病院・学校・住宅の損傷、インフラへの被害も発生し、国内避難や生活不安が拡大しています。報道によると、民間人の死者は1300人以上とされています。
 イスラエルでもミサイル攻撃により負傷者が出ており、警報の発令の常態化、交通機関の運休や学校の閉鎖など、市民生活への影響が深刻化しています。
 レバノンでは3月2日以降の戦闘激化による避難民が増加し、医療や公共サービスがひっ迫しており、死者570人、負傷者1400人以上と報じられています。加えて、湾岸諸国でも空港・港湾への影響や航空・物流の混乱が生じています。

各国赤十字・赤新月社の救援活動

イラン赤新月社
 速報1でお伝えした通り、イラン赤新月社は、全国的なネットワークを活用し、負傷者の治療や物資の配付、捜索・救助などの緊急支援を各地で展開しています。

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イラン赤新月社は全国でボランティアを動員し、医療や救助などの緊急支援を展開©IRCS

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イランの西アゼルバイジャン州で捜索活動を行うイラン赤新月社©IRCS

イスラエル・ダビデの赤盾社
 既報の通り、イスラエルの赤十字社にあたるイスラエル・ダビデの赤盾社は、救急車や救急要員を各地に配備し、負傷者の治療を含む救急対応を継続しています。2月28日から3月9日までに、負傷者772人の治療にあたりました。

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要請に応じて現場に出動するイスラエル・ダビデの赤盾社©MDA

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レバノン赤十字社
 レバノン赤十字社は、被災地域での救援活動を強化しています。災害管理部門では、被害を受けた地域に食料などの生活必需物資を輸送し、避難を余儀なくされた人びとへの初動支援を行っています。緊急医療サービス部門は、増加する出動要請に対応し、負傷者の救出・搬送を継続しています。さらに、血液供給や国内の医療体制の維持にも寄与しています。

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捜索・救命活動を行うレバノン赤十字社©LRC

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救援物資を搬出するレバノン赤十字社©LRC

国際赤十字の対応

 国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、3月6日、イラン赤新月社の要請を受けて、「イラン複合危機」に対する緊急救援アピールを発出しました。このアピールでは、約4000万スイスフラン(約81億円)規模の支援を通じて、約500万人を対象に16カ月間の支援を行う計画です。救援物資の配付や保健医療支援、給水・衛生支援、生計支援など、緊急救援から中長期的な復興支援まで幅広く実施することを目的としています。また、レバノンに対しても、連盟が緊急対応用に保持する災害救援緊急資金から約200万スイスフラン(約4億円)の拠出を決定し、既存の緊急救援アピールを通じた支援を行う予定です。
 赤十字国際委員会(以下、ICRC)は、1977年以降イランに活動拠点を置き、1980-1988年にかけてのイラン・イラク戦争中も活動を継続、2001年以降は国内での人道支援を拡大してきました。昨今は、身体リハビリテーションなどの医療分野に加えて、行方不明者の追跡調査と家族の連絡回復・再会支援、国際人道法の普及に努めています。イスラエル、アメリカ、イランの間の軍事対立激化を受けて、関係当局やイラン赤新月社と連携し、民間人の死傷や病院・学校を含む民間インフラへの被害に強い懸念を示すとともに、紛争の被害を受けた人びとのニーズに対応するため人道支援を強化しています。中立・公平の立場から、イスラエルやレバノンでも赤十字運動のパートナーと緊密に連携し、避難者を含め被災した人びとやコミュニティーが給水や医療など命をつなぐサービスへのアクセスを維持できるよう支援しています。
 日本赤十字社(以下、日赤)は連盟のイラン複合危機に対する緊急救援アピールに対し、1,000万円の資金援助を行うことを予定しています。また、現在、イスラエル・ダビデの赤盾社の救援活動を支援するための緊急資金援助も調整中です。引き続き、連盟、ICRC、各国赤十字・赤新月社等と緊密に連携しながら、国際赤十字の一員として国際人道法の遵守を強く呼びかけるとともに、現地の状況やニーズ把握に努め、支援の調整や実施を行っていく予定です。

国際人道法の遵守を

 今回の人道危機では、レバノン赤十字社の救急隊員であるボランティア救命士1人が人命救助活動中に殉職し、さらに救急活動に従事していた救急隊員3人が負傷したことが報告されています。
 すべての紛争当事者は、戦時のルールである国際人道法の法的義務を尊重しなければなりません。民間人や医療従事者は、いかなる場合も守られなければなりません。民間人が攻撃されることがあってはならず、人質を取ることも禁じられています。そして医療従事者と人道支援団体は、命の危険にさらされている人びとのために安全に救命活動を行わなくてはなりません。赤十字は、国際人道法の遵守を訴え続けます。

本日3月16日から海外救援金の募集を開始

 このような現地の状況を受け、日赤は、本日より「イラン及び周辺国人道危機救援金」の募集を開始しました。お寄せいただいたご寄付は、連盟、ICRC、各国赤十字・赤新月社および日本赤十字社が中立・公平・独立の立場を堅持しながら行う、イランおよび紛争の影響を受ける周辺国その他の国々における被災された方への救援・復興支援活動などに充てられます。被災された人々に、少しでも多くの支援を届けるため、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
 日赤では、現地の様子や国際赤十字としての支援活動など、今後も続報をお伝えしてまいります。

画像 イランの首都・テヘランでの捜索・救助活動を行う現地赤新月社のスタッフ©IRCS

「イラン及び周辺国人道危機救援金」
受付期間:令和8年3月16日(月) ~ 令和8年5月29日(金)
使途:連盟、ICRC、各国赤十字・赤新月社および日本赤十字社が行う、イランおよび周辺国、その他の国・地域における、紛争の影響を受ける被災された方への救援・復興支援活動などに充てられます。

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