2025年ミャンマー地震救援

Myanmar MAP.png
ミャンマー地震被災地

2025年3月28日午後0時50分(現地時間)、ミャンマー中部のザガイン地方を震源とするマグニチュード7.7の地震が発生し、わずか12分後にもマグニチュード6.7の揺れが同地域を襲いました。これらの地震は震源がおよそ10kmと非常に浅かったことから、ザガイン地方に加え、150万の人口を擁するミャンマー第2の都市マンダレーでも橋や建物が崩壊。さらに、電気や水道、インターネットといった主要インフラが一時切断され、救助活動の展開にも影響を与えました。
今回の地震は、長年にわたり武力紛争や大規模洪水といった自然災害などで困難を強いられてきたミャンマーの人びとにさらに追い打ちをかける人道危機となりました。
これまでにミャンマーでは犠牲者3,700人以上、負傷者5,100人以上が報告されています。また、隣国のタイでも高層ビルが崩壊するなどの被害が発生しており、タイ国内で報告されている犠牲者は58人、負傷者は38人に上ります(ミャンマー、タイともに2025年4月22日時点)。

この地震災害を受け、日本赤十字社(以下、日赤)では、2025年6月30日まで、「2025年ミャンマー地震救援金」を募集しています。

ミャンマー赤十字社およびタイ赤十字社の対応

◆ミャンマー赤十字社◆
ミャンマー赤十字社は、発災直後から活動を開始。40℃を超えるような猛暑の中で被災地に直ちに駆け付け、被災された方々の捜索・救助や病院への搬送支援、水や食料を含む救援物資の配付、また巡回診療などの保健医療支援も展開しています。さらに、より中長期的な支援活動の一環として、現金給付支援やこころのケア、公衆衛生活動にも取り組んでいます。

20250529-e5f3dfbb3d3eddbbd188a3f91fa380c477c8edbb.png 560人のミャンマー赤十字社ボランティアが最前線で活動。 WASH.png 浄水ユニットの設置などを通して、100,000人以上に給水サービスを提供
FA.png 3チームの巡回診療が活動を継続、4,735に医療サービスを提供。 20250529-e3f0556c754ea8f0d8e936a45959fa9d78236828.png 日赤を含む各国赤十字社などから合計250トンの救援物資が到着、26,000人以上に救援物資を配付
MHU.png 被災者約1,000に対して応急手当や病院への搬送、捜索・救助などのサービスを提供。 CASH.png 緊急のアセスメントに基づき、21,2655,075世帯)に現金給付を実施。
20250529-6744ec725df63d3166911945d9775f11a51c827b.png 538人に心理社会的支援(こころのケア)を提供。 20250529-93978a11a08ffd951b87f10944dc83e00120715d.png 645人が公衆衛生など健康促進のための啓発活動に参加。

                                                      (2025年5月3日時点)

◆タイ赤十字社◆
タイ赤十字社は、ミャンマーから越境して避難する方々のために応急処置チームなどを準備したほか、国内の被災者に対して蚊帳や毛布などの救援物資の配付、こころのケアの提供などを行ってきました。さらに、タイ国内からミャンマーに向けて救援物資を寄贈するなど、さまざまな支援を実施しています。

国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)および赤十字国際委員会(ICRC)の対応

20250529-8281bb24fc6f2cda4988cb3447091a8120616fcf.png
◆連盟◆
緊急救援アピールの要請額: 1億スイスフラン(約174億円※)

発災翌日に、赤十字内外に向けて支援を呼びかける「緊急救援アピール」を発出。資金援助や物資支援、そして保健医療や水・衛生などさまざまな分野のスペシャリストの派遣にかかる調整などを行っています。赤十字のネットワークをいかし、これまでに日赤を含む合計26の各国赤十字社が支援活動に参加しました。

20250529-ea246df907e384936801c2a33c8c0c26c98b1276.jpg
連盟およびミャンマー赤十字社は安全な避難所や住居の確保を最重要課題の一つに位置付け、テントや毛布、蚊帳の配付などを継続してきた©IFRC

20250529-adad546e59299ac110a2f39e9e5ba10c1f1bb3d6.jpg
◆ICRC◆
予算拡大アピール要請額 : 1,200万スイスフラン (21億円※)

長年国内での紛争や暴力にさらされてきたミャンマーで、ICRCはこれまで30年以上にわたって最も助けを必要とする人びとへの支援を続けてきました。今回の地震発生後は救援活動や水、医療などの必要不可欠なサービスへのアクセスの改善に加えて、ご遺体の搬送・収容、また離ればなれになった家族をつなぐ活動など、ミャンマー赤十字社と緊密に連携をして、活動を継続しています。

20250529-770561f076453a974532ce22021624ca54856b53.jpg避難を強いられる人びとの声に耳を傾けるICRCスタッフ©ICRC

※上記日本円は1スイスフラン=174円で計算した場合

日赤の対応

「2025年ミャンマー地震救援金」の募集

日赤では、2025年4月1日から2025年6月30日まで、「2025年ミャンマー地震救援金」を募集しています。
本救援金へのご協力および受付状況などについてはこちらのページからご確認いただけます。皆さまからのご寄付は、上表の活動を含む、連盟、ICRC、ミャンマー赤十字社、タイ赤十字社および日赤が行う、ミャンマーおよびタイにおける救援・復興支援活動や防災・減災活動等に充てられます。

これまでの支援概要

4月1日

連絡調整要員として日赤国際部職員1名を現地に派遣。
ミャンマー赤十字社や連盟などとの連携強化および情報収集、支援ニーズの調査などにあたる。
20250529-92ef623d808cfde5e96375f55d563716c77dd111.png
国際赤十字のミーティングに参加する日赤職員(写真一番左)©JRCS

4月2日

連盟発出の緊急救援アピールに対し、3,000万円の資金援助を実施。
その後、ICRCから発出された予算拡大アピールに対しても、1,000万円の資金援助を実施。
EA.png
ミャンマー地震を受けて発出された緊急救援アピール©IFRC

4月11日

マレーシアにある連盟の倉庫に日赤が備蓄する救援物資から、防水シート(3,000枚)、家族用テント(300張)、衛生用品セット(5,704個)など約5,900万円相当の物資を、ミャンマーに向けて輸送開始。

20250529-91ab90a2faf6edc92ff64c4f52e3f61f731cb289.jpg
衛生用品セットの中身©JRCS

4月14日
診療所ERU(巡回診療型)のチームリーダーとして日本赤十字社医療センターより看護師1名を派遣。
現地の保健医療ニーズの調査および日赤の支援拡大にかかる調整などを後押し。

(※ERU=Emergency Response Unit 緊急対応ユニット)

20250529-8c25ab25432de42010e429fbd7721059cefa7b5a.JPG
マンダレーでの巡回診療に帯同する日赤看護師(写真中央左側)©MRCS/IFRC

4月15日
ミャンマー赤十字社の巡回診療支援ニーズに応え、日赤本社職員などがシンガポールの倉庫にて医療資機材の輸送を準備。その後、速やかに医薬品とともに現地への輸送を実施。

20250529-4cc20b1a0aa5051dbba27f1aef777b070755119c.jpg
シンガポールの倉庫で、医療資機材の輸送準備を急ピッチで進める日赤職員©JRCS

4月23日

ミャンマー赤十字社の巡回診療活動を強化するため、診療所ERU(巡回診療型)の要員として、日本赤十字社和歌山医療センターおよび大阪赤十字病院から医師、看護師、薬剤師、ロジスティクス要員各1名を派遣。
20250529-cf8ee5f3a87f18857b7bd06219a04cd9a858ec6b.jpg
ミャンマー赤十字社職員らと倉庫で資機材の確認を行う日赤ロジスティクス要員(写真中央)©JRCS/MRCS/IFRC

5月8日

ICRCと共同で記者会見を実施、さらなる支援を呼びかけ。

20250529-b48e1d7e10bfea3be1aea97007d915e149a7cc56.jpg
オンラインで現地から記者会見に参加した日赤医師。被災地の現状や課題について報告©JRCS

4~5月の診療所ERU(巡回診療型)の活動
ミャンマー赤十字社が展開する巡回診療に同行し、不足する資機材を提供するほか診察手順に関する助言および提案、医薬品管理のサポートなどを行う。

また、巡回診療に携わる現地の職員やボランティア向けに、資機材の適切な使用やトリアージ、創傷処置などにかかる教材を作成し、医療の質向上も視野に入れた支援を実施。

IMG_0336 (1).jpeg
巡回診療に同行し、意見交換やフィードバックなどを行う日赤医師(写真一番左)©JRCS/MRCS/IFRC

20250529-db8deb3728c4eeb4c10f9efff402cd11b3089d62.jpeg
作成した資料の説明を行う日赤看護師(写真一番右)©JRCS/MRCS/IFRC

※タイにおける支援については、今後のニーズ等を確認のうえ、検討します。

写真と動画で見る、最前線の活動

20250529-0af2bdd46f93fad4bf1de95e908193884164a988.jpg
3月28日の地震直後から被災された方々の捜索・救助など、最前線での活動に当たってきたミャンマー赤十字社のボランティアや職員©MRCS
20250529-19123ca7b179cf5fb11053e19bd9ed447374d380.jpg
マンダレーなどでは地震のあとに火災に見舞われた地域もあり、景色は一変した©MRCS
20250529-2b6573824587c9a31b89b424edeaab319b4ceef6.jpg
地震により電力や水道網といったインフラ機能の多くも遮断された。ミャンマー赤十字社の給水・衛生チームは発災直後から、安全な水(飲料用水および家庭用水)の提供を続けている©MRCS
20250529-4bdfe131decfdcc0e38ead3dc93dc8db9bc800e9.jpg
今回の地震では医療施設の多くも被災したことから、ミャンマー赤十字社はマンダレーとサガイン(ザガイン地方の都市)で巡回診療を開始し、休みなく活動を続けている©MRCS
20250529-ad0521129a4c6603bac63a79a930276efac233d6.jpg
防水シートやビスケットなど、ミャンマー赤十字社からの救援物資を受け取る被災された方©MRCS
20250529-c8b001d37af937f30a7ccf93e216b9a83cfaf0d9.jpg
被災された一人ひとりの声に耳を傾け、必要とされる支援を届けるための努力が続けられている©IFRC
20250529-c266b2574ca297fdee4d717f01d2fd9cf2e9cbc5.jpg
被災された方々の状況を理解し、最も必要とされる支援を届けるためにミャンマー赤十字社は聞き取りを継続している©MRCS
20250529-d1963305eaff665534240db449018b3cc069d80f.jpg
被害の大きさを受け、モン州など被災地域外からも赤十字ボランティアが派遣された。彼らへのこころのケアも重要となる©MRCS
20250529-304850c4ffc35a15643052119ff0c0ef92147109.jpg
ミャンマー赤十字社から、離れ離れになった家族の再会を支援する活動を紹介するリーフレットを受け取った被災された方©MRCS
20250529-515860288fc96cfe6c48da80ea294f66f558a1a7.jpg
子どもたちが自由に遊んだり感情を表現したりするための場所として、サガインにある僧院に「チャイルドフレンドリースペース」が設置された©MRCS
20250529-af779e039adf4cf0e10d3f328b3458c6e1ff4a2d.jpg

徐々に回復期フェーズに移行する中で、少しでも震災前の「日常」を取り戻すべく、ミャンマー赤十字社による現金給付支援も行われている©MRCS

20250529-66da4135acae4f7f7cb2adf7572d29d43f909ac5.jpg

浄水フィルターの配付に併せて衛生講習を行うミャンマー赤十字社©MRCS

20250529-b5602a23f589231f06db1842d3205398b848e414.jpg
隣国タイでも58人が犠牲となる被害が発生。タイ赤十字社は、ビルの倒壊現場で捜索等に当たるほか、ミャンマーに向けた救援物資の寄贈も行った©TRCS
20250529-3d2a1c83f64cb64ac500e070227c8145370bef3e.jpg
ミャンマー宛て救援物資の準備を進めるタイ赤十字社スタッフ©TRCS
20250529-b22e250cf702297f0ef5861e1ca659e75fec4a63.JPG
ヤンゴン国際空港にて、日赤が寄贈した救援物資を受け取る日赤職員(写真左) ©JRCS/MRCS/IFRC
20250529-2424adb6cde5c954a8231e987e715f8d4268458e.JPG
甚大な被害を受けたマンダレーでミャンマー赤十字社が展開する巡回診療に帯同する日赤看護師(写真中央左)©MRCS/IFRC
20250529-dab24993a0388c4ea9869563ff19ea6e551ca889.jpg

ミーティングを行うミャンマー赤十字社巡回診療チームと日赤ERU要員©JRCS/MRCS/IFRC

20250529-f929458ae97295f930bfc86d021c4fa05aa22662.jpeg

巡回診療活動の合間、折り紙を通して子どもたちにこころのケアを行う日赤看護師(写真右)©JRCS/MRCS/IFRC

これまでの速報/赤十字国際ニュース

【速報】ミャンマーでマグニチュード7.7の地震が発生、赤十字は最前線で活動中
【速報2】ミャンマー地震:日赤は現地へ連絡調整員の派遣を決定
【速報3】「2025年ミャンマー地震救援金」受付開始
【速報4】ミャンマー地震:日赤から3,000万円の資金援助を決定
【速報5】ミャンマー地震:最前線で続けられる活動、日赤職員も現地入り
【速報6】ミャンマー地震:発災1週間、赤十字は救援活動の継続と更なるニーズ調査を並行
【速報7】ミャンマー地震:現地ニーズに応え物資の現物寄贈を決定
【速報8】ミャンマー地震:ミャンマーで活動を続ける日赤職員の声、支援物資も現地に到着
【速報9】ミャンマー地震: 日赤看護師がマンダレーで活動開始
【速報10】ミャンマー地震:被災された方々が安心できる場所を取り戻せるように
【速報11】ミャンマー地震: 継続するニーズに対し、日赤から緊急対応ユニット(ERU)を派遣
【速報12】ミャンマー地震:発災から1か月、ニーズはまだ大きく
【速報13】ミャンマー地震: あらゆる活動を支える赤十字ボランティア
【速報14】ミャンマー地震:日赤職員が現地で活動を継続、「世界赤十字デー」に合わせ、さらなる支援を呼びかけ
【速報15】ミャンマー地震:発災からまもなく2か月、被災地はいま

「2025年ミャンマー地震救援金」

受付期間:2025年4月1日(火)~ 2025年6月30日(月)
使 途 :連盟、ICRC、ミャンマー赤十字社、タイ赤十字社および日赤が行う、ミャンマーおよびタイにおける救援・復興支援活動や防災・減災活動等に充てられます。