【終了】 ハイチ(2021年ハイチ地震救援)

画像 被災者への救援物資の配付を終えた赤十字ボランティアたち©Luc Alary/Canadian Red Cross

2021年ハイチ地震

2021年8月14日(土)午前8時29分(現地時間:日本時間14日午後9時半頃)、中米カリブ海の島国ハイチ共和国でマグニチュード7.2の大地震が発生しました。震源は首都ポルトープランスから南西125kmで、震源の深さは10km。死者2,200人以上、負傷者1万2,000人以上、行方不明者300人以上、全半壊した家屋13万7500軒以上、被災者は80万人以上にのぼり、そのうち被害が大きかったハイチ南西部のニップ県・グランダンス県・南県の3県で人道支援を必要としているのは約65万人と報告されました(国連報告)。ハイチでは2010年にはマグニチュード7.0の大地震が発生し、22万人以上が死亡し、人口の3分の1にあたる230万人以上が被災するという大きな被害がもたらされました(2010年ハイチ大地震の救援・復興支援の詳細はこちら)。今回の被災者の多くが2010年にハイチを襲ったこの大地震を経験しているため、救援活動においてこころのケアもとても重要となりました。

画像 地震の震源と揺れの強さを示す地図©IFRC

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地震被害の様子©IFRC

国際赤十字とハイチ赤十字社による支援

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ハイチ赤十字社(以下「ハイチ赤」)は、発災直後からスタッフ・ボランティアを動員し、被災者の捜索・救助、負傷者の救急搬送や応急手当などの活動を行いました。

また、国際赤十字・赤新月社連盟(以下「連盟」)は発災の翌日の8月15日、被災者の救援活動を支援するため1,000万スイスフラン(約12億円)の緊急救援アピールを発出し、救援活動を本格化させました。大規模な災害等が発生した際の国際赤十字の災害対応ツールのひとつである緊急対応ユニット(ERU: Emergency Response Unit)も、スイス赤十字社のロジスティクスERU、フィンランド赤十字社のIT通信ERU、オランダ赤十字社・ベルギー赤十字社・ルクセンブルク赤十字社の救援ERU等が次々と出動し、現地での救援活動を支えました。

画像 レカイに展開された病院ERU©Finnish Red Cross

現地では多くの医療施設も被災しました。地震発生後も被災地で患者の受け入れ・治療を続けることができていた病院はごくわずかで、医療資源や病床数も限られる中、現場では多くの患者の対応に追われ、また安全な水へのアクセスと衛生環境がさらに悪化している状況で、新型コロナをはじめとする感染症への予防や対応を求められました。こうした保健医療ニーズの増大に対し、ハイチ保健省と世界保健機関アメリカ地域事務所(PAHO)や国際赤十字などの関係者間で対応策が話し合われ、ハイチ政府は世界保健機関(WHO)が定める国際的な基準を満たした医療チームの受け入れを要請しました。国際赤十字では、ハイチ赤十字社からの要請に基づき、保健医療などの専門コーディネーターたちを現地に派遣し、8月27日にはフィンランド赤十字社を中心として、手術・入院機能をもつ臨時のテント型の野外病院(病院ERU)の出動を決定。病院ERUは南県のレカイに設置され、9月21日の開院から11月末までの約3カ月間、現地の医療を支えました。

連盟は10月29日、緊急救援アピールを1,920万スイスフランに増額改訂し、地元のハイチ赤を中心に、被害のとくに大きかった南県とグランダンス県を中心に、最も脆弱な立場にある被災者35,000人を対象として、2023年2月までの18カ月間の支援を行う計画です。

日本赤十字社による支援

画像 病院ERUで手術室看護師として活動した赤井看護師(日本赤十字社医療センター所属)©Finnish Red Cross

日本赤十字社(以下「日赤」)は、ハイチでの地震発生直後から、中米パナマにある連盟アメリカ地域事務所等と緊密に連携して情報収集・調整を行い、8月18日には、緊急支援として連盟が発出した緊急救援アピールに対して2,000万円の資金援助を行いました。また、早期復興に向けて増額改訂された同アピールに対応し、2,289万円の追加資金援助を行いました。

また、同日からは被災された方の救援及びハイチ共和国での赤十字の人道支援のために海外救援金「2021年ハイチ地震救援金」の受付を開始しました(受付期間:2021年8月18日~11月30日)。

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日赤はさらに、フィンランド赤十字社を中心に被害の大きかった3つの県の1つである南県のレカイで入院・手術機能をもつ臨時の野外病院として展開していた病院ERUに、薬剤師2名と看護師2名を継続的に派遣し、医療サービスの提供を支えました。(写真左:10月から約1ヵ月間派遣された日本赤十字社和歌山医療センターの榊本亜澄香[さかきもと・あすか]薬剤師©日本赤十字社)

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病院ERUでの薬剤師の業務は、手術や治療に必要な医薬品や医療物資の適切な保管・管理、現地スタッフの指導・育成など、多岐にわたります。また、手術室看護師として派遣された日赤看護師2名も、24時間対応の手術だけでなく現場のさまざまなニーズに応えて日赤で培った経験と技術・知識を活かして被災者のいのちと健康を守る一翼を担いました。(写真右:病院ERUの手術室で働く福岡赤十字病院の川口真由美[かわぐち・まゆみ]看護師©Finnish Red Cross)

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病院ERUは、診療活動を終了した11月末までに、5,423人の患者を受入れ、入院患者114人、手術91件、出産114件を取扱いました。また心理社会的支援(こころのケア)では、366人に相談サービス(うち子どもは47人)、1,695人にグループ活動(うち子どもは1,524人)を提供しました。(写真左:病院ERUの後期の活動と現地ハンドオーバーを担当した大阪赤十字病院の仲里泰太郎[なかざと・やすたろう]薬剤師©日本赤十字社)

救援金の使途(2022年3月31日時点)

1. 資金拠出     連盟緊急アピールへの資金拠出:緊急救援        15,225,201円

            連盟緊急アピールへの資金拠出:早期復興        22,890,000円

2. ERU要員派遣   ERU要員派遣                      908,199円

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           合    計                     39,023,400円

ご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。

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