(速報4)ハイチ大地震:救援が進む被災地~病院ERUの出動も決定~

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被災者への救援物資の配付が本格化

8月14日に発生したM7.2の大地震から2週間以上が経過しました。

国連の発表では、被災者は約80万人、そのうち被害が大きかったハイチ南西部のニップ県・グランダンス県・南県の3県で約65万人が支援を必要としている状況です。ハイチ政府の8月25日の発表によると、死者は2,207人、負傷者は12,268人にのぼり、いまだに320人が行方不明です。また、少なくとも13万棟の家屋が全半壊しており、家を失った多くの人々が余震に怯えながら、水・衛生や安全といった環境が不十分な空き地などで避難生活を余儀なくされています。

そうした中、最も支援を必要としている被災者への救援物資の配付などの支援が本格化しています。ハイチ赤十字社は、オランダ赤十字社や国連児童基金(UNICEF)などの協力を得て、発災直後から被害が大きかった南県の各地域において、毛布や衛生用品キット、水を入れるポリタンク、ビニールシートなどを配付し、8月23日までに600世帯以上に救援物資が届けられました。被災者への救援物資の配付は、ベルギー・ルクセンブルク・オランダの各国赤十字社から派遣された救援ERUが中心となり、さらに本格化しています。8月30日には、南県のレカイ郡トーベック地域の一地区で被災した200世帯(1,344人)に対し、食料、毛布、バケツ、ポリタンク、家屋修繕のためのツールキット、ブルーシート、キッチンセット、衛生用品キット、蚊帳を配付しました。

さらに、被災した地域では、身体的・心理的な健康へのリスクが高まる中、こころのケア(MHPSS)、給水・衛生及び衛生促進(WASH)、子ども・少女・同伴者のいない若い女性に対するジェンダーに基づく暴力のリスクに対処するための保護(PGI)など、様々なニーズへの対応が求められています。

高まる保健医療ニーズ、病院ERU出動へ

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現地では、多くの医療施設も被災しています。世界保健機関アメリカ地域事務所(PAHO)の初期調査では、地震による負傷者の約8割が整形外科的な処置の必要な患者と報告されていますが、被災地の医療施設の約3割にあたる28施設が甚大な被害を受け、医療サービスの提供が困難な状況です。

さらに、地震の影響による損傷がひどく、倒壊を恐れて、一部の病棟を閉鎖している施設もあります。地震発生後も被災地で患者の受け入れ・治療を続けることができている病院はごくわずかで、医療資源や病床数も限られる中、患者が床に横たわっている状況で、現場では多くの患者の対応に追われています。安全な水へのアクセスと衛生環境がさらに悪化している状況で、新型コロナをはじめとする感染症への予防や対応を求められています。

こうした保健医療ニーズの増大に対し、ハイチ保健省と世界保健機関アメリカ地域事務所(PAHO)や国際赤十字などの関係者間で対応策が話し合われました。そして、ハイチ政府は世界保健機関(WHO)が定める国際的な基準を満たした医療チームの受け入れを要請しました。

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国際赤十字では、ハイチ赤十字社からの要請に基づき、保健医療などの専門コーディネーターたちを現地に派遣し、8月27日には、フィンランド赤十字社を中心として、手術や入院機能をもつ病院ERUの出動を決定しました。

先遣隊はすでに現地入りしており、9月2日(現地時間)には、外科医を含む医師・看護師・助産師・理学療法士などからなるチームがハイチに到着予定です。病院ERUは被害の大きかった南県レカイエを拠点に活動する予定で、これから国際赤十字による医療支援がますます加速していきます。

日本赤十字社では、被災された方の救援及びハイチ共和国での赤十字の人道支援のために救援金を募集しております。

皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

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