レバノン首都の爆発災害から1年

 昨年の84日にレバノンの首都ベイルートで発生した大規模爆発災害から1年が経過、現地は犠牲になった人々の追悼の日を迎えました。この日にあわせて、被災者支援を続けているレバノン赤十字社(以下「レバノン赤」)が「大規模爆発から1年(1 Year After The Blast)」と題する動画を公開しました。

↓画像をクリックして動画を閲覧できます(英語字幕あり)。

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ご支援いただいた全ての人たちに感謝を伝えるレバノン赤十字社事務総長©レバノン赤十字社

 負傷者6,500人超、死者200人以上をもたらした大惨事の中で、レバノン赤は、延べ3,500人以上の負傷者の応急処置や救急搬送、6,000個以上の輸血用血液バッグの提供等を行いました。また緊急期以降は、被災世帯に対して被災状況調査を実施し、特に困窮状態にある10,000世帯以上を対象とした現金給付支援、計25万人に対する食糧・衛生用品の配付、保健医療サービスの提供等も行ってきました。

 レバノン赤事務総長のケタニー氏は「世界中から寄せられた支援を決して忘れない」と述べ、「この支援で被災者の命と尊厳を守ることができた」と感謝の意を表しました。その上で、発災から1年が経過した現在でも苦しい境遇にある人びとがいることについて、継続した支援が必要であることを訴えました。

「レバノン赤十字社の支援によって生活を維持することができました。」

↓画像をクリックして動画を閲覧できます(英語字幕あり)。

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©レバノン赤十字社

 レバノン赤の現金給付支援では、特に厳しい境遇にある人びとに対し、最長7カ月間、ひと月300ドルの現金給付が行われました。この支援を受けた3人の子どもを養うあるシングルマザーがおかれた状況は次のようなものでした。この家族が住んでいた家屋は爆発によって窓もドアも破壊され、長く眠れない日々が続きました。子どもたちも精神的に大きなショックを受けており、家屋を修復する余裕もないありませんでした。この家族の境遇に対し、レバノン赤は現金給付支援を決定。この支援により、家族は、家屋の修復から食糧・水など必要物資などを確保することができるようになりました。上の動画では、そんな家族たちの様子を垣間見ることができます。

 母親は、「家族に手を差し伸べてくれた唯一の団体がレバノン赤だった。3人の子どもに食べ物を与えることができ、病院に連れていくこともできました」と、涙を流しながら振り返りました。

日本赤十字社の支援

 日本赤十字社(以下、「日赤」)は、発災直後から救援金の募集を開始し、レバノン赤の救援活動に対して計2,610万円を支援しました。

 また、今回の爆発事故ではパレスチナ赤新月社(以下、「パレスチナ赤」)のレバノン支部の病院スタッフたちも救援活動を実施しました。日赤は2018年から同スタッフに対して医療技術の向上のための支援を行っており、以前、日赤医療チームが病院スタッフに研修したトリアージや多数傷病者(MCIMass-Casualty Incidence)対応が、今回の救急・救命の現場で実践されたと報告されました。

混迷深まるレバノンの現在

 発災から1年が経ち被害の復旧は着実に進んでいる一方、国の混乱はさらに厳しいものとなっています。201910月以降、レバノンは政治・経済の混乱に新型コロナウイルス感染症の影響も重なり、日常生活では日々の停電時間が半日以上にわたる等長期化したり、ガソリン等燃料不足の深刻化でスタンドでの給油に数時間の行列ができるなど、社会インフラの維持すら困難な状態に陥っています。

 日赤は、レバノンに暮らすシリア難民やパレスチナ難民の他、レバノンの最貧困層にある最も脆弱な人々の生活が少しでも改善されるよう、レバノン赤やパレスチナ赤と共に、引き続き支援を継続していきます。

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