ユースボランティアが全国赤十字大会で実践活動報告を行いました!

 令和4年5月19日(木)に「令和4年全国赤十字大会」が明治神宮会館で3年ぶりに開催され、ユースボランティアの加藤 緩凪(かとう かんな)さんが「赤十字から学んだ『奉仕』の精神」と題して実践活動報告を行いました。

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実践活動報告を壇上で行う加藤さん

 加藤さんは、高校時代から青少年赤十字メンバーとして活動し、現在は「埼玉県青少年赤十字卒業生奉仕団」の委員長と日本赤十字社本社直轄組織である「赤十字ユース委員会」のメンバーとして活動しています。この記事では、赤十字大会で報告された内容をもとに、加藤さんが赤十字の活動にどのように関わってきたかについて、そのきっかけや想いと共に加藤さんのストーリーをご紹介します。

青少年赤十字との出会い

 高校に入学した加藤さんは、国際交流に興味があったため「国際文化交流部」に入部したところ、部活の活動の一つに青少年赤十字の活動がありました。初めは、赤十字やボランティア活動に大きな興味はありませんでしたが、防災や赤十字の理念に関する学習会に参加するうちにボランティア活動に興味を持つようになり、他の赤十字関連イベントにも積極的に参加するようになりました。

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高校時代、支部主催リーダーシップ・トレーニング・センターに参加する加藤さん

人生の転機、スタディ・センター

 高校1年生の時、日本赤十字社本社主催の「青少年赤十字スタディー・センター※」に参加しました。

 青少年赤十字スタディー・センター:全国の赤十字活動を行っている高校生が集まり、合宿を通じてリーダーシップなどを学ぶ研修会

 スタディー・センター開始前、加藤さんは「きっと何も達成せずに終わってしまうんだろうな」という消極的な想いを抱え、とても緊張していたそうです。しかし、始まってみれば、素晴らしい仲間との出会いがあったり、赤十字の基本原則である「人道」にも興味を持つようになったりする等、人生の大きな転機となりました。

 「特に印象に残っているのが、先生からの問いかけをきっかけとして、リーダーシップや人道について深く考えたこと」と加藤さんは語ります。

 「班に分かれて話し合ったとき、私たちの班は、意見は多く出るものの、議論をうまく進めることが出来ませんでした。そんなとき担当の先生は有名な思考実験のトロッコ問題※を用いて、意見を取捨選択するヒントをくださいました」

トロッコ問題は、以下のとおり

  • 制御不能となったトロッコが線路の上を走っている。
  • そのまま進むと作業員5人が犠牲になるが、自分の目の前にあるスイッチで線路を切り替えればもう片方の線路にいる作業員1人が轢かれてしまう。
  • 線路の分岐点に立つ自分は、どのように行動すべきか。

 「先生は、人数の多い方を助ける方が善なのか、私たちに問いました。私は、人数の多い方を助けるべきだと最初は考えていましたが、先生の問いかけではっとしました」

 「この気づきを通して、多数決で物事を決めるのではなく、一人ひとりの状況も踏まえて物事を判断すべきなのだと実感しました。自分の意見を押し通したりするのではなく、相手の意見を尊重すること、また何故その考えになったのか、相手の立場に立ってよく考えることが、多様な考えを持つメンバーがいるグループの活動には大切であることに気づきました。スタディー・センターを通して、リーダーシップを発揮する際は物事の一面だけで判断するのではなく、多角的な視点で考えることが重要であることに気づき、それが人道や奉仕の精神に繋がっていると考えました」

 スタディー・センターの講座や指導者の話の中で「人道の奥深さ」に胸を打たれ、更に人道の考えを深めたいと思った加藤さんは、スタディー・センターの自由時間の中で自主的に人道についての講座を企画し、「人間の尊厳とは何か」について仲間の学生たちと共に考える時間を持ちました。

 「スタディ-・センター最終日、自分が想像していた以上に積極的に参加でき、多くのことを学ぶことができたことで自信につながったことを昨日のことのように鮮明に覚えています」と加藤さんは語ります。

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スタディー・センターで仲間と共に開催した講座で話す加藤さん(中)

 スタディ-・センターを通して仲間たちから刺激を受け、自己変容を感じた加藤さんは「埼玉県青少年赤十字高校生協議会の会長になって、埼玉県内の青少年赤十字をもっと盛り上げよう」と心に決めました。スタディー・センターから帰宅する道中で決意を固めた加藤さんは、迎えに来たお母様にその決意を熱く語ったそうです!

青少年赤十字、そして奉仕団での活動

 決意した通り高校2年生で埼玉県青少年赤十字高校生協議会の会長になった加藤さんは、支部職員や他の青少年赤十字メンバーに支えられながら、積極的に1年間活動しました。加藤さんは、青少年赤十字で学んだリーダーシップを活かした活動を通して、「奉仕の精神」について学んだと語ります。

 「青少年赤十字そしてスタディ-・センターをきっかけとして、その後の赤十字活動が私を大きく成長させ、私の考えや積極性にも良い影響を与えていると感じています。自分は人のために何が出来るのか、一人一人に寄り添うことが奉仕の精神の一つだと学びました」

 高校卒業とともに青少年赤十字を引退した後も、赤十字の活動を続けたいと考えた加藤さん。現在は、青年赤十字奉仕団員として手話の学習会を開催する等、青少年赤十字の活動で学んだ「奉仕の精神」を活かして活動しています。また、支部での活動だけでなく、全国の若い赤十字ボランティアが活発になるよう働きかけたいと考え、日本赤十字社本社直轄の組織である「赤十字ユース委員会」のメンバーとしても活躍しています。

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オンライン手話学習会の様子

 「コロナの影響はまだまだ続き、思うように生活や活動ができない日々も多いです。そんな苦しい状況の中でも仲間のモチベーション維持のため、オンラインでできる活動はないか、日々仲間と話し合って模索しています。赤十字の活動で学んだ『人道、奉仕の精神、リーダーシップ』を活かし、今後は、青少年赤十字と奉仕団、奉仕団と奉仕団、赤十字社と奉仕団等、色々な人を繋ぐ架け橋になりたいです」

<関連リンク>

青少年赤十字創設100周年特設ページ:https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/youth/news/information/jrc100th.html

赤十字ユース委員会の活動が紹介されたRCV:https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/news/2022/0303_023983.html

赤十字ユース委員会主催研修会を紹介したトピックス:https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/news/2021/0625_019275.html