日本全国のユースボランティアがオンラインで炊き出しや災害エスノグラフィーを体験! ~赤十字ユース委員会の防災・減災に関するオンライン研修~

2021年5月29日に、赤十字ユース委員会が「防災・減災に関するリモート研修」を実施しました。

日本赤十字社のユースボランティアは、全国で合計6,327人(2020年3月末時点)。赤十字ユース委員会はそのユースボランティア(以下、「ユース」という。)の活動を活性することを目的として、全国から約10名のユースが集まり活動している組織です。※赤十字ユース委員会の詳細はこちら>2021年度委員募集時のパンフレット.pdf

今回の研修は、2019年にユースを対象に実施した「研修に関するアンケート」の結果で、防災研修に関するニーズが高かったことから企画されました。

ユース委員会の呼びかけに応じて、今回の研修に参加した54名の参加者のうち、65%が活動歴1年未満のユースでしたが、中には4年、6年、10年以上活動されている人も。それぞれ、「災害に関する知識があまりないため災害について知りたい」「災害が起きた際に慌てることなく活動できるようにしたい」「普段自分の団内で防災に関することに興味がある人が多いので、自分が団内に広めるきっかけを作りたい」「主催者側がどのようにプログラムを進めていくのかを参考にしたい」「将来DMATで人の役に立ちたい」など多様な目的、思いをもって参加していました。

今回の研修のプログラムは、講義、炊き出し体験、災害エスノグラフィーの3本立てです。

1 講義                                     

1講義.pngまず午前の講義では、日本赤十字社茨城県支部安全奉仕団/赤十字ユース委員会所属で、赤十字防災セミナーの講師でもある土井慶信さんから「赤十字ってなに?」という基本から災害の基礎知識、防災・減災の重要性等を伝えました。また、「自分が助かることが一番大事です。助かったら、周りの人を助けてあげられます」と自助や共助の大切さも伝えました。講義形式でしたが、土井さんが参加者に問いかけると、ユースはチャットやリアクション機能を使って積極的に応えていました。例えば、災害に備えてどのような工夫をしているかを問いかけた際には、「家具を固定する」「寝室に靴を置く」「飲用水を常備する」など多様な工夫が共有されました。

2 炊き出し体験                                

2-1炊き出し.png次に炊き出し体験のプログラムを担当したのは、日本赤十字社広島県支部 健康・栄養赤十字奉仕団の中下涼さんです。管理栄養士の資格を持ち、豪雨災害の避難所での活動経験もある中下さんは、偏った食事が災害関連死を引き起こす恐れがあることを伝え、「助かった命をどう守りますか」と参加者に問いかけました。

2-2 炊き出し.png2-3 炊き出し.pngそしてお昼の時間にあわせて、炊き出し体験を兼ね昼食を参加者とともに調理しました。今回作ったのは、アルファ化米のごはんと、キャベツとツナを使ったおかずです。リモート研修でしたが、各自のキッチンやカセットコンロ、ハイゼックス(災害時の調理用の袋)などを用いて中下さんの実演に沿って一緒に調理を進め、出来上がった食事をとりながら感想を語りあいました。

中下さんは、その他にもお茶や牛乳、卵を使って炊いたご飯を見せたり、ハイゼックスを用いて全て1つの鍋とお湯で作ったというランチプレートを見せたりして、ハイゼックス調理の特徴や工夫、魅力を伝えました。また、工夫次第では楽しみながら災害に備えることができることや、他のボランティアや地域の人や企業とつながりを持ち連携することの大切さも伝えました。

3 災害エスノグラフィー                            

午後には、被災者の体験談をとおして災害の追体験をする災害エスノグラフィーを実施しました。参加者は阪神・淡路大震災の避難所生活の体験談を読み、思いもよらぬ災害に直面したとき、何に悩み、苦労し、どのように問題を解決していったのか、一連のプロセスを明らかにしました。担当するのは、冒頭の講義を行った土井さんです。

3-1 エスノグラフィー.png参加者は5人程度のグループに分かれ、1つの掲示板を一緒に編集しながら印象に残ったことや考えたことなどを共有しました。

今回取り扱った体験談から、「避難所にペットが来るなんて知らなかった」という感想や、避難所における共助やリーダーシップの大切さ、心のケアの必要性を感じたという意見がありました。

また、今回の研修は全国のユースが参加していたため、宮城、茨城、広島、熊本などそれぞれの地域での被災経験が共有されたり、「経験をしたからって油断したらだめだよね」と防災・減災への意識を高めあったりしました。

4 終わりに                                  

4 終わりに.png今回の研修を通して、参加者からは「多くの学びがありました。被災県として自分たちもオンラインイベントを企画しようと思うので、全国のユースにもぜひ参加してほしいです」などといった声がありました。

講師となったユースからも、「今日の学びを実際の生活につなげてください。講習にもぜひ積極的に挑戦して、防災・減災を広めましょう」「今回の研修を通して、ユースのオンラインの対応力、レスポンスの速さなど強みを再確認しました。みんなで一緒に私たちの強みを活かしてボランティア活動をしていきましょう」と呼びかけられました。






(関連リンク)

・赤十字ユース委員会とは>2021年度委員募集時のパンフレット.pdf

・#みんなで乗り越える~日赤ユースがいまできること~(https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/news/200417_006158.html

・#KeepClapping日赤ユースから、最前線でコロナの対応を行っている方々へ感謝の気持ちを込めて~#みんなで乗り越える~(https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/news/200508_006184.html

・赤十字ユースボランティアの活動を知ろう!~あゆみ~(https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/news/210205_006428.html

※全6ブロック分を赤十字ボランティアトピックス(https://www.jrc.or.jp/volunteer-and-youth/volunteer/news/)にて公開中