アフガニスタン地震から1年、復興への歩みを支える
2025年8月31日、アフガニスタン東部のクナール州とナンガルハール州を中心に、マグニチュード6.0の地震が発生しました。その後も強い余震が相次ぎ、山間部の村々を中心に甚大な被害が広がりました。この地震により2,200人以上が死亡、3,700人以上が負傷し、地域全体で最大300万人に影響が及んだとされています。
震災から1年。アフガニスタン赤新月社は今も復興の歩みを支えています。
地震により倒壊した建物(2025年9月1日撮影)。アフガニスタン赤新月社は発災直後から被災地で被害状況調査や救援活動を実施。©IFRC
村を襲った突然の悲劇
地震発生当時、クナール州のアライ村で農業を営む62歳のイブラヒムさんは、自宅から2時間離れたナンガルハール州のジャララバードにいました。息子からの電話で被災を知り、急いで自宅があるアライ村へ戻りましたが、目の前に広がっていたのはがれきの山でした。
「生まれてからずっと暮らしてきた村がなくなってしまった。」
イブラヒムさんはこの地震で、妻、3人の娘、2人の孫娘を失いました。その中には生後6か月の赤ちゃんも含まれていました。生き残った家族の一人が、6歳の孫娘ナズミナちゃんです。幼い頃に父親を亡くし、この地震で母親も失いました。
「ナズミナは、夜になるとまた山が崩れてくるのではないかと思って泣きながら目を覚ますことがあります。そのため、安心できるように私の手を握って眠っています。」
震災から1年が経った今も、多くの子どもたちが喪失感や不安を抱えながら暮らしており、こころのケアを含む継続的な支援が求められています。
地震で6人の家族を失ったイブラヒムさん。両親を亡くした孫娘のナズミナちゃんとともに、アフガニスタン赤新月社の支援を受けながら生活再建に取り組んでいる。©IFRC
被災者に寄り添うアフガニスタン赤新月社
地震発生直後から、アフガニスタン赤新月社のボランティアたちは被災地へ駆けつけました。「発災後最初に目にしたのは赤新月社の人たちでした。彼らは初日からずっと私たちと一緒にいてくれました」と、イブラヒムさんは振り返ります。
アフガニスタン赤新月社は、全国34支部と3万1,000人以上のボランティアのネットワークを活用し、救助活動や支援物資の配付を実施しました。
アフガニスタン赤新月社は地震により被災した世帯に現金給付支援を実施。食料や医療、住居修繕など、それぞれの家庭が必要な支援を自ら選ぶことができるこの支援は、復興への第一歩を支えている。©IFRC
<アフガニスタン赤新月社を中心とした国際赤十字による主な支援実績>
- 44万6,000人以上に食料支援を実施
- 10万6,000人以上に現金給付支援を実施
- 5万9,000人以上に避難所・住居支援を実施
- 6万3,000件以上に保健医療支援を実施
- 6万4,000人以上に給水・衛生支援を実施
イブラヒムさんとナズミナちゃんも、アフガニスタン赤新月社の支援により、避難キャンプでの生活を続けています。しかし、家や農地、生活基盤を失った人びとにとって復興への道のりは今も続いています。
被災家庭を訪問し、こころのケアや衛生啓発活動を行うアフガニスタン赤新月社のボランティア、シャリファさん。同じ地域で暮らす住民同士だからこそ築ける信頼関係を通じて、被災した人びとの心の回復を支えている。©IFRC
地震だけではない、複合的人道危機
アフガニスタンでは、地震に加え、長引く経済危機や貧困など、複合的な人道課題が続いています。国連によると、2026年には全国で約2,190万人が人道支援を必要とすると見込まれています。一方で、人道支援に必要な資金は不足しています。
今回の地震の被災地であるクナール州やナンガルハール州は、パキスタンやイランから帰還する人びとの主要な受け入れ地域でもあります。2025年には約290万人が帰還し、2026年も帰還が続く中で、多くの家族が厳しい環境で暮らしています。
さらに、干ばつや洪水、厳しい冬による雪害などの自然災害が発生しているほか、一部地域では武力衝突の影響による避難も続いています。地震は、こうした、特に弱い立場にある人びとの暮らしをさらに困難なものにしました。
暮らしを取り戻すために
支援の重点は緊急対応から生活再建へと移りつつありますが、多くの家族はいまだに安全な住まいを確保できず、暮らしや生計を立て直すための支援を必要としています。
アフガニスタン赤新月社と国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、恒久住宅の建設をはじめ、生計支援、医療サービスの継続、安全な水と衛生環境の整備、心理社会的支援(こころのケア)などを進めています。クナール州では、家を失った160世帯を対象とした恒久住宅の建設も始まりました。
また、赤十字国際委員会(ICRC)も、医療支援や給水施設の整備・復旧、生計支援などを通じて被災地の復旧と生活再建を支えています。
イブラヒムさんは、支援してくれた人びとへの感謝をこう語ります。
「皆さんのおかげで、私たちはあの最初の数日を生き延びることができました。子どもたちが尊厳と希望を持って成長できるよう、これからも支援が続くことを願っています。」
アフガニスタンの人びとは、地震の被害に加え、貧困や帰還者の増加、厳しい自然環境、紛争の影響など複数の課題に直面しながらも、今もなお、生活再建への歩みを懸命に進めています。復興には長い時間が必要であり、被災した人びとへの継続的な支援が求められています。
日本赤十字社は、皆さまからお寄せいただいた「2025年アフガニスタン地震救援金」をもとに、IFRCの緊急救援アピールおよびICRCの人道支援活動への資金援助を行いました。これらの支援は、アフガニスタンにおける救援・復興支援や防災・減災活動に活用されています。改めて、皆さまのご理解とご協力に感謝申し上げます。