災害対応緊急基金(DREF)が支える災害への備えと支援

 近年、世界各地で洪水や干ばつ、熱波、感染症の流行など、人びとの暮らしを脅かす危機が増えています。その一方で、人道支援に充てられる資金は世界的にも減少傾向にあり、必要な支援を必要なときに届けることがますます難しくなっています。
 こうした中、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が運営する「災害対応緊急基金(DREF:Disaster Response Emergency Fund)」は、世界各地の赤十字社・赤新月社による迅速な人道支援を支える重要な仕組みとなっています。

災害発生後だけでなく「災害前の対策」にも活用

 DREFは、災害や人道危機が発生した際に、各国赤十字社・赤新月社が早急に対応できるようにするために、資金を提供する基金です。大規模災害だけでなく、国際社会の注目を集めにくい中小規模の災害にも対応できることが特徴です。
 さらに近年では、災害が発生する前の対策として「予測に基づく行動(Anticipatory Action)」の資金としても活用されています。気象予測やリスク分析をもとに、台風や洪水、熱波、干ばつの発生や感染症の拡大前に必要な対策を講じることで、被害の軽減を目指しています。

画像 スリランカ赤十字社はIFRCのDREFを活用し、デング熱の流行に備えた予防活動を実施。学校での清掃活動や啓発活動を通じて、地域の感染リスク低減を目指す。©SLRCS

2025年は1,450万人を支援

 2025年、DREFは83か国の赤十字社・赤新月社が実施した170件の活動に対し、7,740万スイスフラン(約155億円)を拠出し、その活動を通じて約1,450万人が支援を受けました。
 支援の多くは洪水や暴風雨などの自然災害への対応でしたが、人口移動や感染症への対応も増加しています。特にコレラやエボラ出血熱、マールブルグ病などへの支援が拡大しました。
 また、資金の大部分は災害対応のために充てられていますが、「予測に基づく行動」への拠出額は過去最高の1,270万スイスフラン(約25億円)に達し、全体の約16%を占めました。災害やリスクが発生してから対応するのではなく、事前の備えを重視する取り組みは年々拡大しています。

2026年はより複雑化する人道危機へ

 2026年も、気候変動による災害や感染症、人口移動などの人道課題の深刻化が見込まれています。このような状況下で、IFRCは新たなDREF戦略の下、各国赤十字社、赤新月社の備えと対応能力の強化を進めています。
 特に、世界有数の災害多発地域であるアジア大洋州地域では、災害対応能力の向上や人員派遣体制の強化、予測に基づく行動計画の整備といった、地域主導の防災・減災活動に重点的に取り組んでいます。

画像 2026年7月の豪雨による洪水被害が広がる中、バングラデシュ赤新月社のボランティアは避難支援や応急手当、救援物資の配付などの活動を続けている。©BDRCS/IFRC

エルニーニョ現象への早期対応

 こうした取り組みが特に重要となるのが、現在進行しているエルニーニョ現象への対応です。IFRCによると、アジア大洋州地域では2026年後半から2027年にかけて強いエルニーニョ現象が発生する可能性があり、猛暑や干ばつ、水不足、食料不安などが懸念されています。一方で、一部地域では、豪雨や洪水のリスクも高まると予測されています。
 各国赤十字社、赤新月社は、早期警報システムの強化や飲料水へのアクセスの確保、生計支援、および保健衛生の啓発を進めています。アフガニスタンでは、熱波や水不足の状況をモニタリングしながら、将来発生し得る洪水や保健医療上のリスクに備えています。
 こうした活動は、DREFを活用した「予測に基づく行動」の具体例です。

画像 2026年3月の鉄砲水で被災した地域で、アフガニスタン赤新月社が救援物資を配付している様子。DREFは、現地赤新月社による迅速な支援活動を支えている。©IFRC

皆さまのご寄付が世界の災害対応の支えに

 災害はいつ、どこで発生するかわかりませんが、その影響を軽減するために事前にできることがあります。
 DREFは、災害発生後の迅速な支援だけでなく、現地の赤十字社、赤新月社が地域で主体となって災害に備える活動を実施することで、人びとの命と暮らしを守っています。
 日本赤十字社もDREFに継続的に資金援助を行っており、2026年には、皆さまからお寄せいただいたご寄付をもとに1,300万円を拠出し、世界各地で発生する災害や人道危機に迅速に対応する活動を支えました。

 DREFは、社会課題にあわせて寄付の使い道を選べる日本赤十字社の「寄付メニュー2026」に掲載されています(45頁目)。世界で発生する災害や人道危機への迅速な対応、そして災害に備える活動を支えるため、ぜひご支援をご検討ください。

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