アジア・大洋州地域 給水・衛生分野での「備える力」をつくる
日本赤十字社(日赤)は、アジア・大洋州地域でサイクロンや津波などの災害が起きた際に、給水・衛生(WASH※)分野の支援を迅速に行えるよう、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)を通じて、同地域の各国赤十字社が行う緊急時のWASH活動を長年支援しています。
具体的には、給水・衛生災害対応キット(タンクや浄水剤、簡易トイレや衛生教育用資材など)の配備と、キットを救援活動で活用するための研修を行っており、「物」と「人」の両面からの支援になっています。
本記事では、2025年11月にインドネシアで行われた最新の地域合同研修の様子と、さらに研修の受講生が実際の災害現場でどのように活躍したかをご紹介します!
※ WASHとは、Water(水)、Sanitation(衛生設備)、Hygiene(衛生促進)のこと。
アジア・大洋州地域合同研修 ― 実践を重視した人材育成
昨年11月にはインドネシアでアジア・大洋州地域の合同訓練が行われ、域内の各国赤十字社からWASH担当職員が参加しました。対象者はすでに基礎的な研修を終えており、実際の災害での対応ができる実践力をきたえることを目的とした応用研修です。20名ほどが参加しました。
1週間にわたる研修では、緊急時におけるWASH支援の考え方やボランティアと共に活動する際の安全配慮などの講義に加え、実際の地域コミュニティを舞台とした模擬訓練が行われました。
参加者は、住民の代表との対話を通じてニーズを把握し、給水・衛生活動を計画・実施する一連の流れを体験しました。実際の災害対応を想定した訓練は、各国の参加者にとって非常に実践的な内容となっていました。
日赤からも、職員3名が出張し、研修に一緒に参加することで、研修体系や現地の状況への理解を深めました。
「子どもたちが笑顔で手洗いを学ぶ姿から、赤十字の支援が地域で確かな信頼を得ながら伝わっていることを実感しました」と、参加者(出張者)の一人である東京都支部の後藤職員は振り返りました。もう一人の福岡県支部の田中職員は「住民の方一人一人の共感を大切にした取り組みにつなげていきたい」と展望を語りました。
WASH研修の成果を災害現場で応用
研修で培われた知識と技術が、実際の災害現場で生かされています。
2025年11月末から12月にかけて、東南アジア各地では、記録的な豪雨による災害が発生しました。インドネシアでは、スマトラ島のアチェ州などで洪水や土砂崩れが相次ぎ、道路や橋の崩落、通信・電力の遮断など、広域にわたる深刻な被害が報告されています。
2019年に研修を受講したインドネシア赤十字社のEkiさんはこの災害対応に派遣されました。被災した住民に対し、水処理の方法を実演しながら丁寧に説明し、家庭でも安全な水を手に入れられるよう支援しました。
さらに、これまで整備されてきた機材や水質検査用資材が、今回のスマトラでの洪水対応で実際に活用されていることも確認されました。
まさに、物と人の両面で給水と衛生に関する支援が災害現場で生かされています。
2019年の研修受講生Ekiさん
2025年12月の災害対応で活躍
日赤は、今後も連盟および各国赤十字社と連携し、アジア・大洋州地域における災害対応能力の強化に取り組んでいきます。
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