避難民・自然災害×事務管理



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事務管理 古島 崇裕
最新の派遣先:バングラデシュ(ERU)

プロフィール紹介
千葉県出身。東京都赤十字血液センター所属。
派遣歴:ハイチ(2010)、ネパール(2015)、バングラデシュ(2017~2018)

国際要員を目指したきっかけ

学生時代は国際関係論を専攻し、長期休暇にはバックパッカーで世界を放浪していました。卒業論文で国内避難民の法的保護について研究したときに赤十字の存在を具体的に知り、人道支援に携わりたいと日本赤十字社に入社しました。入社1年目にスマトラ島沖地震・津波が発生し、日赤が医療チームを継続して派遣している姿を目の当たりにして、自分もそのような活動に参加したいと思うようになりました。

国際要員として登録されるまでの道のり

入社後の部署(本社青少年・ボランティア課、その後国際部企画課)は、人道支援に関わる業務もあったため、研修へは快く送りだしてくれました。国際要員の方から、通常業務にきちんと取り組むことが海外派遣への第一歩だと聞いていたので、一つ一つの日常業務を丁寧にこなすことを心掛けていました。派遣経験を経て、(特にERU)の事務管理要員の場合)、活動地で行う業務は総務・人事・会計等の管理業務が多く、国内におけるそれらの知識・経験がベースになることを強く感じています。また、派遣中は自分が抱えている日常業務を他の職員が担当してくれることになるため、帰国後は派遣経験を職場の業務に還元するように心がけました。取材や講演、原稿執筆の依頼があれば快く引き受け、自分の経験を職場や赤十字のボランティアのみなさん、寄付者の方にお伝えし、赤十字の国際活動を少しでもご理解いただけるよう努めました。また、派遣経験の豊富な先輩から、「国際救援と国内救護の本質は同じ」ということを耳にしたため、本社から支部への異動となった際にも救護課への配属を希望し、配属後は国内救護の企画・調整業務に携わりました。

現地での活動のやりがいは?

「赤十字の仲間と人道の原則の下で同じ目的に向かって活動できる」、これに尽きます。赤十字の人道支援の主体は被災者であり、現地の赤十字ボランティア、外部の支援機関はそれぞれの得意分野を活かして、被災者の生活を側面から支えるために被災地に赴きます。私がバングラデシュで活動したときも、私たちの医療チームには現地の赤十字ボランティアや避難民にスタッフとして加わってもらい、避難民キャンプで医療支援を行いました。そのときのチームは日本人スタッフと現地スタッフを合わせると時期によっては総勢70人以上になり、約30km離れた避難民キャンプと宿泊地との間を片道1時間半以上かけ、9台以上の車両で毎日移動する活動形態でした。また、活動内容も、避難民キャンプでの巡回診療とこころのケア活動を行っていたところに、私のチームからは感染症対策を見据えた固定式の診療所の設置と運営が加わりました。これら全ての事務管理をリーダーとして取りまとめる立場だったため、その業務は質・量ともにハードでした。そのような環境であっても、チームとして支援活動が軌道に乗っている姿を裏方として支えたり、現地スタッフが私たちと生き生きと活動している姿を見たりすることにやりがいを感じました。

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井戸の設置についてスウェーデン赤十字社スタッフと協議する様子©日本赤十字社

今後の目標

価値観や文化的背景が異なるスタッフを取りまとめ、同じ目的に向かって活動するチームを支えるためには、チーム内外の関係者と対話を重ねた上で、チームの進むべき道を明らかにし、チーム全体を前へと進めるリーダーシップが不可欠です。また、事務管理業務においては、他の職員と協力して業務を進めるにあたって、共通言語としてのロジスティクスやIT等の専門性が必要です。これらを高めるため、日常業務を通じてリーダーシップに磨きをかけるとともに、隙間時間を見つけて専門分野の学習を継続したいと考えています。

最後にひとこと

赤十字の国際活動はやりがいに満ちています。事務管理は地味な業務に思えますが、チームを支える大事な仕事です。少しでも興味があれば、ぜひチャレンジしてください!

  • ※ERU(Emergency Response Unit,緊急対応ユニット):大規模な自然災害等が発生した際、医療や給水衛生活動等が開始できるように専門家と資機材をセットにしたチーム