国際赤十字の女性リーダー、日本に集う:人道支援に込める思い

GLOW Red(グローレッド:Global Network for Women leaders in the Red Cross Red Crescent Movement)は、国際赤十字・赤新月運動における女性リーダーの活躍と育成を目標に掲げる世界的ネットワークで、120の赤十字・赤新月社および国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)と赤十字国際委員会(ICRC)から700人を超えるメンバーが参加しています(発行日現在)。2025年9月9日(火)~10日(水)に、GLOW Redは大阪・関西万博内ウーマンズ パビリオンにてパネルディスカッションを、さらに9月11日(木)~13日(土)には日本赤十字社(日赤)本社にて第5回年次会合を開催し、21か国から総勢40人を超える女性リーダーが日本に集結しました。今回は一連のレポートをお届けします。

大阪・関西万博ウーマンズ パビリオンでパネルディスカッションを開催

画像 パネルディスカッション1日目の様子

1日目には「多様性のある組織の構築を目指して」というテーマのもと、「多様性のある組織を構築するためのリーダーの役割」、「多様性から包摂へ:企業文化の変革」と題した2つのパネルディスカッションを展開しました。前半のセッションでは、誰もが安心して働ける職場づくりについて、女性リーダーとして果たすべき役割や、多様なメンバーが集まることで生まれるチームの強みについて話し合われました。後半では、登壇者自身の経験をもとに、企業文化が時代とともにどう変わってきたかや、女性の活躍を後押しする制度(多様性・公平性を確保するため、属性ごとに一定の割合で人数を割り当てたり人数枠を設けたりするクオータ制など)について、意見交換が行われました。持続的な組織改革のヒントが詰まった、実りある時間となりました。セッションでは以下をはじめとするたくさんの意見が出ました。

「変革は言葉ではなく、歩みで示すもの。」

「多様性は始まりにすぎない。真の包摂は、時間をかけて築くもの。」

画像 パネルディスカッション2日目の様子

2日目は「災害や紛争における女性リーダー」というテーマのもと、「緊急事態における女性リーダーの役割」、「危機における女性幹部職・リーダー」という2つのパネルディスカッションが行われました。前半では、コロナ禍を例に、ジェンダーによる偏見を乗り越えて活躍する多様なリーダーの重要性が語られました。また、リーダー自身にもセルフケアや心の健康を大切にすることが必要だという視点も共有されました。後半では、将来起こりうるさまざまな危機に備えるために、関係する誰もが意見を出しやすいインクルーシブ(包摂的)な意思決定の仕組みが必要であることが話し合われました。代表的な意見は以下の通りです。 

「変化を起こす力は、誰の中にもある。世界のどこかを動かすのは、あなたかもしれない。」

「流れに乗るだけじゃなく、自分の道を切り開く勇気を。」

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大阪・関西万博ウーマンズ パビリオン、国際赤十字・赤新月運動館を訪問したGLOW Redメンバー

4つのパネルディスカッションいずれにおいても、一般参加者とGLOW Red参加者の参加率を50%ずつ確保し、質疑応答の時間を設けました。今回ご協力いただいたウーマンズ パビリオンそしてご参加くださいました方々に、この場を借りて御礼申し上げます。

GLOW Red第5回年次会合を日赤本社で開催

モンゴルにおける第4回年次会合に続いて、5回目となる今回の会合は日本で開催されました。
実は今回の年次会合に参加したGLOW Redメンバーの多くはIFRC理事会メンバーを兼ねています。2022年の選挙でクオータ制を導入したIFRC理事会はメンバーの男女比率がほぼ1:1となりました。GLOW Red年次会合を開催することは、支援を必要とする多様な人びとのニーズに応えられる組織でありたい、という視点で日赤におけるジェンダー平等を考え、推進するうえで貴重な機会でした。

画像 日赤本社にて議論を重ねるGLOW Redメンバー

年次会合1日目は主に日赤職員との意見交換、2~3日目は今後2年間のGLOW Redの活動指針および優先事項の検討に費やされました。

赤十字の支援を必要とする人びとのために

赤十字が支援する人びとは老若男女、十人十色、千差万別です。ありがたいことに、世界には約1770万人の赤十字ボランティアがいます。各地域のことを一番よく知っているのはそこに住む人びと、そして赤十字ボランティアの皆さんです。彼らの声に耳を傾けると同時に一人ひとりの置かれた状況(バックグラウンド)を理解し、本当に必要な支援を届けるために、そして誰一人取り残すことのないよう、赤十字も多様性に富んだ組織である必要があります。

GLOW Redと協力しつつ、国際赤十字そして日赤は今後もジェンダーの観点に配慮した支援を続けるために尽力してまいります。

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