【速報】イラン・イスラエル間の軍事対立の激化と赤十字の対応について
イラン・イスラエル間の対立しかり、中東地域における武力衝突や緊張がここ数週間でさらに激しくなっています。すでに複数の紛争を抱える当該地域での情勢悪化は、より広い範囲に重大な危機を引き起こす恐れがあり、あらゆる人びとに深刻な影響を与える可能性があります。国内外へ避難を強いられる人びとの数が一層増えることも懸念されます。犠牲者・負傷者の多くは民間人です。また、救援活動に従事するスタッフの犠牲も報告されており、赤十字では改めて戦時のルールである国際人道法の遵守を強く求めています。困難な状況の中、現地の赤十字社は24時間態勢で負傷者の救急搬送や救命活動に追われています。
イラン赤新月社による救援活動
イラン赤新月社(イランの赤十字社に相当)は週末に状況が悪化した直後から、被害を受けた人びとを支援するため、救援・救助活動を開始しました。現地では緊急避難所の設置や医療支援を実施しており、都市部では災害救助犬を含む専門の救助チームが動員されているほか、人道支援物資やその他必要物資の輸送なども行われています。武力衝突による精神的な影響に苦しむ人びとに対しては、心理社会的支援も提供しています(活動の様子がご覧いただける動画はこちら)
救援・救助活動を行うイラン赤新月社のスタッフ©IRCS
心理社会的支援を行うイラン赤新月社のスタッフ©IRCS
イスラエル・ダビデの赤盾社による救援活動
イスラエル・ダビデの赤盾社(イスラエルの赤十字社に相当)も直後より各地にチームを派遣し、影響を受けた人びとの治療や病院への搬送に従事しています。また、治療に必要な3,000ユニット以上の輸血の確保も行われました。
負傷者の搬送を行うイスラエル・ダビデの赤盾社のスタッフ©MDA
夜を徹して救援活動を行うイスラエル・ダビデの赤盾社©MDA
民間人や支援者の犠牲~国際人道法の遵守を~
今回の武力衝突の激化においても、犠牲者や負傷者の多くは民間人です。6月13日にはイラン赤新月社の4人のスタッフがテヘランでの救援活動中に亡くなりました。救援機関や医療機関への武力攻撃により、本来であれば助かる命も失われてしまいます。私たちは、戦時のルールである国際人道法の遵守の重要性を改めて訴えます。民間人や医療機関・医療従事者、人道支援に携わる者は保護の対象です。命の危険にさらされている人びとのために安全に救命活動を行う必要があります。赤十字国際委員会(ICRC)中東事業局長は声明を発表しており、こちらでご確認いただけます。
赤十字の根幹である、苦しんでいる人びとの命と尊厳を守る活動、支援が続けられるよう、皆様のご関心とご支援をどうぞよろしくお願いいたします。