【速報15】トルコ・シリア地震:日赤支援で巡回診療を強化。震災から2か月、被災地の今(トルコ)

2月6日に発生したトルコ・シリア地震から2か月が経ちました。トルコ・シリア両国内では、トルコ赤新月社・シリア赤新月社(赤新月社はイスラム圏の赤十字社に使用されます)が今も救援活動が続けていますが、救援から復興に向けた中長期支援の活動計画も同時に話し合われているところです。

日本赤十字社(以下、日赤)は、これまで国際赤十字を通じた8億3,000万円の資金援助、救援物資の寄贈薬剤師の派遣と医薬品の寄贈、救援車両支援などを行ってきました。引き続き両国の赤新月社の救援活動を支援しつつ、中長期的な復興支援活動を支えていきます。

日赤からの支援で巡回診療の強化を実施

3月上旬に日赤からトルコに医療調査チームを派遣保健・医療ニーズにかかる調査を行いましたが、日赤はこの調査結果をふまえて、トルコ赤新月社が行う巡回診療サービスの強化に向けた支援を行うことを決定しました。

トルコ赤は保健省からの依頼を受け、特に被害の大きい人口約700万人が住む6州(Gaziantep, Kahramanmaras, Hatay, Adiyaman, Malatya, Osmaniye)の保健医療を支えるため巡回診療車を通じた保健・医療支援を行っています。

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トルコ赤が実施する巡回診療サービスの支援

当該地域では、医療施設の倒壊や医療職の流出により医療システムが十分機能していない状態であることから、トルコ赤は、急遽、検診車8台を借り上げて、医師・看護師等からなるチームを乗せて巡回診療のサービスを提供しています。

トルコ赤から日赤に対して、この6州の中で、特に支援の手が届きにくい山間部や農村部で長く避難生活を送らざるを得ない被災者に対しても保健・医療を適切に届けるため、巡回診療車と必要な医療資機材、そして医師・看護師ら医療者を組み合わせた支援を行いたいとの打診がありました。

依頼を受け、日赤は、緊急に支援が必要な車両及び医療資機材の調達のため、3億円の資金援助を実施しました。

日赤は、これから、この活動を中長期的に支援すべく、巡回診療にかかる経費の支援とともに、日赤、トルコ赤のこれまでの災害対応・防災・減災の知見を相互共有していく予定です。

震災から2か月。トルコの被災地は今

日赤は巡回診療支援に加え、様々な分野でトルコ・シリアの赤新月社の活動を中長期的に支援していきます。

トルコに連絡調整員として派遣された篠﨑順治職員から、震災から2か月が経った現地の状況をお伝えします。

「私は、今回の震災により、住民の3割以上がお亡くなりになり、家屋の7割以上が倒壊してしまった村を訪問しました。震源地の市街地から車で約30分ほどの山道を登っていくとその村に到着します。この村には病院や診療所がなく、ほとんどの人が畜産や農業で生計を立てていて、自家用車はもっていません。

そのような状況において、トルコ赤新月社は、家屋再建までの住居用テント、巡回診療、こころのケア等を提供しています。日本赤十字社は、この巡回診療を軌道に乗せる支援を行っていく予定です。特に印象的だったのは、これだけ壊滅的な被害だったにもかかわらず、この村の人たちが日本から支援のために訪問した私を歓迎してくれたことです。子どもたちが手を繋いで歌って回るこころのケアの輪に入れてくれ、お母さんたちは私たち(日本の支援者)に神のご加護がありますようにと祈ってくれました。

画像 トルコ赤の子ども向けこころのケア活動に参加する篠﨑職員

被害がより甚大だったカフラマンマラシュでは、自治体により崩壊した家屋の瓦礫撤去が進められています。写真のようにまだまだ道半ばですが、少しずつ進んでいます。

トルコ赤新月社は、トルコ政府の災害対応計画の中で、『食料・栄養』の分野を担う責務が課せられていて、テントやコンテナ住居で生活する場所の近くに拠点を構えて食事を提供しています。1拠点あたり数百人に3度の食事をバランスを考慮して提供し続けることは、準備やお皿洗いまで含めると大変な作業です。地元の自治体、企業、ボランティア等の協力を得ながら継続していますが、中長期的には懸念があるようでした。

また、トルコ赤新月社の地元の支部は、衣類、毛布、オムツ等を提供する被災者用マーケットを提供すると共に、支部まで来られないような世帯のために自らが被災者のところに出向いて必要なものを提供しています。

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カフラマンマラシュの崩壊した建物と徐々に進む撤去作業を見守る篠﨑職員

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このあたりは、アイスクリームが有名な場所で『Dondurma』というトルコ語でアイスクリームを意味する看板が数多く見られます。

崩れかけた建物の隣に仮設の小屋を建てて営業を再開しているアイスクリーム屋さんも印象的でした。

一人ひとりの思いや置かれた状況は異なりますが、被災地で続いている人々の生活を継続的に支援することが大切であると実感しました。」

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被災して崩れた建物の隣に小屋を建てて営業を続けるアイスクリーム屋さん

皆さまからの温かいご支援をお願いします

被災地での支援活動は継続していきます。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

「2023年トルコ・シリア地震救援金」

受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。

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