ウクライナ人道危機:あれから1年、多くの命が脅かされてから。

 2022年2月24日に激化した武力紛争から1年が経過しました。

 この1年、ウクライナ人道危機はウクライナ国内外の何千万もの人びとの生活に多大な影響を与えてきました。多くの人びとが愛する人や故郷を失い、心身の傷を負いました。また、エネルギーやインフラ、食料においては、ヨーロッパから遠く離れた地域にまで深刻な打撃を与え、世界各地で混乱が生じました。

 武力紛争が激化した当初300万人だった人道支援ニーズは1年後の現在1,800万人にまで拡大し(OCHA2023年2月現在)、人道危機の規模がいかに大きいものなのか、また人びとの生活がいかに一変したかということを示しています。

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攻撃を受けた地域で緊急対応チームが活動 ©ウクライナ赤十字社

 危機が始まって以来、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)や赤十字国際委員会(ICRC)をはじめ58の赤十字・赤新月社が、世界中の皆様からの支援を基にこの人道危機への救援活動を拡大してきました。1年が経過してもなお拡大し変化するニーズに対し、避難、住居、水、食料、医療、捕虜訪問など、さまざまな側面から支援を行い、多くの命を救い続けています。

■武力紛争激化から1年、これまでの赤十字の活動を報告しました

 日本赤十字社(日赤)は、赤十字のこの1年間の活動を皆様にお伝えするため、新聞広告、特設ウェブサイト、活動報告会、写真展など、さまざまな媒体を通じて報告を行ってきました。1年という節目にこの人道危機の現状、赤十字の活動をご理解いただき、危機は続いていること、現地の人びとや赤十字含め支援者は危機に立ち向かい続けていることをお伝えできれば幸いです。

- 新聞広告及び特設ウェブサイト

 国際赤十字のこれまでの支援実績(202212月末時点)と、皆さまから日赤にお寄せいただいた82億円を超える「ウクライナ人道危機救援金」が連盟・ICRC・日赤でどのような活動に使われてきたのかをお知らせするため、2023年2月24日の全国紙(3紙)朝刊に出稿いたしました。 (データのダウンロードはこちら

 より詳細な活動報告、現地からのありがとうの声や映像は特設ウェブサイトからご確認いただけます。

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※二次利用できるデータとして一部文言の変更を行なっています。

- 活動報告会(オンライン)

 2023年224日、武力紛争激化からちょうど1年を迎えた日に「ウクライナ人道危機 1年間の赤十字活動報告」を実施いたしました。

 実際にウクライナに派遣された日赤職員の話や、戦闘地域に近いウクライナ東部で活動を行うICRC日本人職員の現地からの話を通じて、上記の新聞広告ではお伝えしきれない活動の詳細についてご報告いたしました。

 当日は150名を超える方々が本報告会にご参加くださり、現地からの声や映像により活動がよく伝わったとのお声をいただきました。

 日赤がウクライナ赤十字社と協力して実施している事業の様子、その進捗を現地の映像を交えてお伝えしています。下記の動画から報告会の様子をご覧ください。

- 写真展(3月15日まで実施中)

日本赤十字社本社1階にて、国際赤十字のウクライナ及び周辺国における活動、そして同人道危機対応のために現地へ派遣された日赤職員の活動を写真でお伝えしています。

日 時 2023年2月15日(水)~3月15日(水) 9:0017:00(土日祝日を除く)

会 場 日本赤十字社 本社1階 正面玄関ホール(所在地:東京都港区芝大門1--3)

入場料  無料

申し込み 事前申し込み不要 / 入退場自由

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写真展に展示中の日赤職員の活動写真

■終わりの見えない武力紛争。2年目に突入して・・・

 武力紛争は終わりの見えない状況のまま2年目に突入しました。

 長引く危機の中で、人びとは家、仕事、離ればなれになってしまった家族との生活など、現実的な選択を迫られるようになっています。武力紛争によって負ってしまった身体的なけがや、抱えてしまったトラウマ・ストレスに加え、そのようなひっ迫する問題も1つずつ取り組まなければならない現実があります。

 この人道危機はたとえ武力紛争が終息しても、終わるものではありません。

 今後も危機の影響を受けた人びとは、住居や生活資金、医療や物資、こころのケア、新たな土地での生活に慣れるためのサポートなど、多面的かつ継続的な支援を必要とし続けます。

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へルソンで困難な状況に置かれた人に寄り添う赤十字職員©ウクライナ赤十字社

 国際赤十字そして、私たち日本赤十字社は、危機に苦しむ人びとに寄り添い続け、息の長い支援を届けるため、連帯してこの危機への対応を続けます。

 これからも赤十字活動への変わらぬご理解とご支援をよろしくお願いいたします。

「ウクライナ人道危機救援金」

受付期間:2022年3月2日(水)~2024年3月31日(日)

使途: 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。

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