アフリカ食料危機:数十年で最も深刻な食料危機に直面、日赤から3,000万円を緊急支援

 気候変動や感染症、そしてウクライナにおける武力紛争の影響で食料供給がさらに不安定になり、現在アフリカが数十年で最も憂慮すべき大変深刻な食料危機に直面していることを皆さんはご存知でしょうか。

 国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)の報告によると、サハラ以南のアフリカ(サブサハラアフリカ)では日本の全人口を超える1億4,600万人もの人びとが深刻な食料不足に陥っており、緊急の人道支援を必要としていると言われており、この飢餓のレベルは2023年まで悪化し続けると予測されています。

画像 ソマリアで子どもの栄養失調状態をチェックする赤十字ボランティア©IFRC

国際部長が見たナイジェリアの食料危機

 国際赤十字はこの事態を大変重く受け止め、深刻化するアフリカの食料危機に対する関心を高め、対応をより強化していくために、支援国赤十字社の代表を深刻な被害を受けているアフリカ国々に派遣し、その視察結果を元にケニアで支援戦略会議を開催しました。

 2022年9月、日本赤十字社からは田中康夫国際部長がナイジェリアを訪問し、ナイジェリア赤十字社及び国連や政府機関と今後の支援強化に向けての協議を行いました。

「私が訪問したソコト(Sokoto)州は、気候変動(干ばつ)の影響を最も受けている地方の一つです。そのため、本年3月~5月の調査では、ソコトの人口590万人のうち100万人が食料危機・緊急事態下にあり、その数は次の3ヵ月間で127万人(国内避難民27,000人を含む)に増加しています。2021年の同じデータが83万人であったことを考えると、食料危機がさらに悪化していることが伺えます。

 ナイジェリアでは年間に36万人の子供たちが栄養失調に関連する病気で命を落としているなど、子供たちが食料危機の最大の犠牲者です。そして、ソコト州(※1)は国内で最も栄養失調率が高くなっています(5歳未満の子供の7.9%が重度の栄養失調)。

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ナイジェリア ソコトにて地元のイスラム教指導者と赤十字の意見・情報交換©IFRC

 そのような中、赤十字は支援が必要な人びとに支援を届けるべく活動をしています。

 例えばソコトでは、ナイジェリア赤十字社が略奪や部族紛争で夫を殺害された未亡人が大半をしめる『Mother’s Club』の女性たちを対象に、栄養や疾病行動(本人や子供などが罹病した際にとるべき行動)や収入造成に結びつくような活動の支援をしています。女性たちは赤十字から支給された現金を、食料品はもとより、ケガや疾病(皮膚疾患を含む)の治療費、学用品、収入造成活動のための道具の購入などに活用していました」。

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ナイジェリア ソコトにてMother’s Clubに所属している女性が赤十字の支援を説明、感謝の意を述べている©IFRC

(※1)ナイジェリア全体の貧困率が43%であるのに対して、ソコトの貧困率は88%であり、ナイジェリアで最貧困の状態にある(但し、統計が取れない北東部のボルノ州を除く)

連盟は約300億円規模の緊急救援アピールを発出、日本赤十字社も3,000万円の緊急資金援助を実施

 田中国際部長の他にも、ナイジェリアやニジェール、ソマリアの現状を視察した各社の代表は、ケニアの戦略会議で、改めてアフリカの食料危機に対する緊急及び長期的対応を赤十字の優先課題として位置づけることを確認しました。また、ボランティアや支部組織を持ち、支援が本当に必要な人々に直接支援を届けることができる赤十字の強みを活かし、国連機関やアフリカ連合等との間でより強固な連携を図っていくことも合意しました。

 この協議を経て、連盟およびアフリカの被災国赤十字社は、食料危機への対応を強化するために、総額2億スイスフラン(約300億円)の緊急救援アピールを発出しました。202312月までに最も危機的な状況に置かれている14ヵ国(※2)の760万人を対象とするものです。ナイジェリア・ソコトのMother’s Clubの女性たちのように、特に支援を必要とする人びと(例えば、最貧困世帯や子どもが家長の世帯等)を対象に、さまざまな目的に使える現金の給付や緊急時の食料生産の道具の提供、特に栄養失調状態にある子どもへの調査と食事の配付、栄養に関する啓発活動等も実施する予定です。

(※2)14か国:ソマリア、ケニア、エチオピア、スーダン、南スーダン、ナイジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、マリ、コンゴ民主共和国、カメルーン、アンゴラ、ジンバブエ、マダガスカル

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図:食料危機の影響を特に受けている国々(サハラ以南のアフリカ)/ 出典:IFRC Emergency Appeal Africa Hunger Crisis

 日本赤十字社は、アフリカ食料危機に対する緊急資金援助として新たに3,000万円の支援を実施しました。12月から始まる「海外たすけあいキャンペーン」でも、アフリカの食料危機に焦点を当てていきます。赤十字は、ウクライナ人道危機など一般の関心が高い危機の陰に隠れて状況が伝わりにくくなっている、このようなアフリカの人道危機に対しても支援を届けていきます。皆様のご協力、どうぞよろしくお願いいたします。

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