復興支援

数カ月の緊急救援の後、被災地が立ち上がる復興が始まります。

赤十字は、緊急救援後もその場に残り、地域の人たちが自ら立ち上がるのを支えます。

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大規模な災害が発生すると、住居・病院・学校などの再建、給水・衛生環境の改善、生計手段の回復など、復興には長い時間を要します。緊急救援の段階が終了した後も、被災者が健康で安全なくらしと尊厳を取り戻し、将来のリスクに備え、より良い地域社会を作るための継続的な支援が必要です。赤十字では、被災国の政府や行政機関等と連携し、国際赤十字内での調整を行いながら、多岐にわたる復興支援事業を実施します。

日本赤十字社も、海外における大規模災害の際には、国際赤十字の一員として中長期にわたる復興支援を行って来ました。

レジリエンス

さまざまな災害や危機に対して事前にリスクを把握、軽減し、ひとたび災害が発生すれば適切に対処し、逆境から立ち上がる復元力、回復力のことをレジリエンスと呼びます。 赤十字の復興支援では、今後の災害が発生した際には自らの力で立ち上がることができるよう、このレジリエンスを強化する支援を実施しています。

保健

知識の輪

災害は人びとの健康に深刻な影響を与えます。感染症の蔓延などに加えて、地域の保健・医療インフラが崩壊し、長期にわたって地域住民の健康が脅かされます。そこで、赤十字は、被災国の政府や行政の復興計画に沿って、医療施設や地域のヘルスポストの再建や機能の強化を支援します。

また、赤十字ボランティアによる地域住民参加型保健事業(Community Based Health and Fast Aid)を実施し、住民が主体となってその地域固有の保健リスクを明らかにし、その予防や応急対応に関する知識や技術を身に着けることにより、支援が終了した後も自分たちで保健リスクを回避し、健康を増進することを目指します。

参考:コミュニティヘルス分野に関心がある方へ

水・衛生

人びとが安全な水にアクセスすることが出来るよう、井戸や給水設備の補修や建設を支援します。

20240227-c77e5cd677f7e706ee6a7d0fe6ef519da5e6321b.jpg給水パイプの施工作業に励む住民たち©日本赤十字社

住宅や学校に安全で清潔なトイレを普及し、あわせて住民に対する衛生教育を行うことで、子どもの下痢など、水に起因する感染症の予防に努めます。

生計支援

災害により、収入の手段を失い、あるいは仕事の場や道具等を失ってしまった人びとに対し、自分たちの力で生計を立て直すための支援を行います。

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日本赤十字社の支援により購入したヤギによって生計を立てる女性©日本赤十字社

漁業で用いる道具や船舶、農具、店舗を再開するための場所を提供するなど、個々のニーズにきめ細やかに対応します。また、職業訓練を通して、自立的に収入を得るための知識や技術を提供します。

近年では、住民に現金を給付し、それぞれが必要な生計に活用する「現金給付(キャッシュ)プログラム」も積極的に行っています。

救援物資の配布などを永久に続けることは不可能であり、現地の人びとが自らの力で収入を生み出し、生活を再建することはとても大切です。

住宅再建

赤十字は、国連・国際機関やNGOが携わる大規模な人道支援活動において、「住宅再建(シェルター)」の分野で中心的な役割を担うことが定められています。

住宅再建.jpg一家総出で家屋再建に励む被災者©日本赤十字社

安全な住居は、人びとの健康や尊厳に大きく関わり、また地域全体の復興の第一歩となるためです。具体的には、人びとが家屋を立て直すための資金や資材、工具などを配布する場合や、赤十字が行政機関などとの調整の下で仮設住宅を建設することもあります。また、地域の大工などに地震に強い住宅の再建などの技術研修を提供することもあります。

組織強化

外部からの支援が終了した後も、その国の赤十字・赤新月社は現地の人びとに寄り添い、必要な支援を続けて行きます。一方で、災害の際は現地の赤十字・赤新月社も被災している場合があります。現在から将来にわたってニーズに即した持続的な活動を実現するため、被災施設の修繕、ボランティアの育成や事業管理体制の強化など、現地赤十字・赤新月社の組織強化にも取り組みます。

近年終了した主な復興支援事業