「当たり前をすべての人に」ボランティアと歩む点字図書センターの取り組み

 1月4日は、「世界点字デー」。世界点字デーは、視覚障害者が情報にアクセスする権利を守ることを目的に制定されました。点訳(活字を点字に訳すこと)・音訳(文字を音声に起こすこと)された出版物が増え、簡単に利用できるようになることは、視覚障害者の方が自由に情報を手に入れるために大変重要です。
 視覚障害者用の点字刊行物や録音物の製作・貸出などは、全国76の点字図書館が中心となって行っていますが、このうち2つは日本赤十字社(以下、日赤)が運営しています。

 今回は、その中から「日本赤十字社北海道支部点字図書センター(以下、点字図書センター)」の活動を紹介します。

■点字図書センターの役割

 点字図書センターでは、視覚などに障害のある方々を対象に、点字図書・録音図書・テキストデイジー図書※などの製作・貸出を行っています。
 また、「読みたいけれど、まだ点訳・音訳されていない本」や「カフェ・居酒屋のメニュー表」、「家電製品の説明書」など身近にあるけれど手が届かない情報の点訳や音訳、対面朗読(ご希望の本を対面で読む)・FAX代読、代筆(各種書類に対面で書き込む)など、利用者個人に合わせたサービスも提供しています。

※テキストデイジー図書:図書・資料の文字をパソコンなどで文字起こしし、視覚障害者などの利用者が読みやすいように編集した電子図書のこと。文字起こししたデータを合成音声で読み上げさせたり、パソコン上で文字を拡大したりして、聞いたり読んだりすることができる。

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(左)(写真)「あの本をもう一度読みたい、この本も読んでみたい」といった利用者の希望に応えるため欠かせないデイジー図書の再生機の貸し出しも行っています

■当たり前を届ける担い手の養成

 1冊の図書を点訳・音訳するには、早くて3か月、長いときは半年から1年かかることもあるため、必要なサービスを利用者へ届けるにはボランティアの存在が不可欠です。
 点字図書センターでは、北海道からの委託を受けて「点訳・音訳奉仕員養成事業」を推進しており、道内で活躍する、点訳赤十字奉仕団(12団)・音訳赤十字奉仕団(7団)・テキスト製作奉仕団(1団)向けに、より良い点訳・音訳を目指すため研修を実施しています。例えば、音訳においては、原本に写真がある場合、写真の説明を補足することがありますが、その説明は「必要な情報を漏れなく盛り込み」かつ「簡潔に」することを意識する必要があります。また、著者の意図を変えず原本の内容を忠実に音訳することの重要性など、基礎的な内容も繰り返し伝えています。

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経歴が長い方も多く、研修は「貴重な復習の機会になった」と好評です

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図書製作に関する質問や相談を共有し、和気あいあいと交流を図っています

■施設から広がる共生社会の輪

 ボランティアに参加しようと思った経緯や活動の魅力・やりがい、日常に訪れた変化を、札幌市音訳赤十字奉仕団のボランティアの方は次のように語っています。

 「とある朗読の勉強会で音訳赤十字奉仕団の団員募集を知りました。もとから本が好きで、文章を声に出して届けるということにも興味があったため、ぜひと思い応募してみました。養成講習会を経て実際に音訳を開始すると、『発音・発声の仕方』『小さな雑音』など、気を付けなければならないことが多く、日常で流れてくるテレビ・ラジオなども、意識して聴くようになりました。
 人名や地名などの読みの調査や誤読の校正に加え、完成まで長い時間がかかることなど、大変なことは多いですが、『自分が音訳した本が利用された』と知ったときは、それ以上の喜びがあり、また得られるものがあると思っています。」

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(左)(写真)どんな発音・発声の仕方であれば聞き取りやすいのか、読者の立場に立って音訳することを心掛けています

 このように、ボランティアの方々は、活動からさまざまな気付きや新しい視点を得ています。
 点字図書センターは、引き続き、「すべての人が平等に情報を受け取ることが当たり前」となるよう、ボランティアの皆さまと協力しながら活動を続けます。