ANA×日本赤十字社総合福祉センター 笑顔あふれる交流会

 日本赤十字社が運営する社会福祉施設では、利用者の皆さまがより良い生活をおくれるよう、職員やボランティアが日々生活を支えるだけでなく、さまざまな企業からの支援も受け入れています。
 令和7年10月20日には日本赤十字社総合福祉センター(通称「レクロス」)で、全日本空輸株式会社(以下、ANA)の社員とレクロス内の高齢者福祉施設の利用者による交流イベント「ANA×レクロス 高齢者との交流から学ぶ多様性のヒント」が開催されました。
 このイベントでは、ものづくりやお茶会で利用者にレクリエーションを提供することに加え、ANA社員が高齢の方への理解を深めることも目的としています。

画像 飛行機での思い出を語り合うANA社員と施設利用者

 イベントは、社員が高齢者への接し方を学ぶ機会を模索していたANAと、利用者に楽しい時間を提供したいという日本赤十字社(以下、日赤)の思いが合致したことがきっかけで始まりました。平成26年からレクロスや他の特別養護老人ホームでの交流会が行われ、高齢者だけでなく児童福祉施設のイベントなど、ANAと日赤の社会福祉施設の交流が定期的に開催されており、いずれも利用者から好評を博してきました。
 しかし、令和元年度以降は、新型コロナウイルス感染症の影響で交流会ができなくなっていました。コロナ下でも両者は交流会を行いたいという思いを温め続けており、感染状況が少し落ち着いたことから協議を重ね、ANA社員の参加人数を以前より縮小するなどの工夫を行ったうえで、令和7年度からレクロスとの交流会を再開することとなりました。


 イベント当日はANA社員15名が参加しました。
 午前中はANA社員への講義の時間です。参加者は、レクロス職員による、認知症を正しく理解し支援の輪を広げる「認知症サポーター養成講座」を受講した後、当該施設についての説明を受け、高齢者の特徴について理解を深めました。

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 午後は午前の講義を活用する実践の時間です。
 ANA社員は同施設内にあるデイサービスセンターで、利用者約30名とハーバリウム作りを楽しみました。
 ハーバリウムとは、ドライフラワーをオイルに浸して瓶に詰めた、お花を長く楽しむためのインテリア。
 ANA社員と利用者がチームを組んで、コミュニケーションを取りながら好きなお花やハロウィンの飾りを選んで瓶に詰め、世界に1つだけの作品を作りました。

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 センスが光る大満足の作品が完成しました。
 作品をつくる最中、ANA社員の皆さまは、「相手の目をみて話を聴く」「話しやすい雰囲気をつくる」といった午前中の講義での学びを早速実践。
 学びをすぐに経験につなげることで、高齢者への理解をより一層深めていました。

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 ハーバリウム作りの後は、お茶会でゆったりとした時間を共有します。
 ケーキを一緒に食べながら「上手にできたね!」と作品の出来を笑顔で喜び合いました。
 お茶会ではANA社員の皆さまから機内誌や飛行機風船、トランプのプレゼントもありました。機内誌を見ながら、「どこの国が好きですか?」など会話がさらに弾み、大盛況のうちに交流会は終了しました。

 終了時、利用者の皆さまからはANA社員とのお別れを惜しむ声がたくさん聞かれました。
 ANA社員の皆さまからも
「乗務員としてユニバーサル対応を学んでいる中で認知症についての最低限の知識は持っているつもりであったが、今回、より細かく知ることができた」
「高齢者とひとくくりにすることなく、偏見や思い込みをなくして、一人一人を尊重しながら向き合うことの大切さを実感した」
といった感想がありました。
 久しぶりの交流会は、お互いにとって、普段とは違う新鮮な刺激がいっぱいのひとときとなりました。


 交流会を終えて、担当したレクロス職員からは次の感想が寄せられています。
「私たち職員は業務の中で当たり前のように認知症の方々と接しています。でも、職員が当たり前と考えていた認知症の知識も一般の方々にとってはそうではないことに、今回の交流会から気がつきました。『我がこと丸ごと』が共生社会を作っていくためのキーワードの一つです。認知症をはじめ、地域課題を『人ごと』ではなく『我がこと』として、皆さまが主体的にとらえられるよう実践を重ねていくことも日赤の役割である、と感じています」



 日赤では今後も、企業・団体と協力しながら誰もが安心して元気に生活できる共生社会の実現を目指してまいります。
 社会福祉施設への支援にご興味のある企業・団体の方はぜひ、日赤までお問い合わせください。皆さまからのご連絡をお待ちしております。

お問い合わせ―日本赤十字社