【速報6】ネパール洪水:発生から1カ月半、被災者に寄り添う支援を
2026年8月26日朝(現地時間)にネパールと中国との国境付近で発生した大規模な土石流・洪水から1カ月半が経過しました。多数の死者・行方不明者が発生し、9月29日時点で1,100人以上が避難生活を続けています。
道路や通信などの復旧は進みつつありますが、安全な住まいの確保や保健医療、給水・衛生、心理社会的支援(こころのケア)、生計回復など、被災者の生活再建に向けた支援が引き続き求められています。
支援を届け、安心を取り戻すために
ネパール赤十字社は、約1,000人のボランティアを動員し、救援物資や安全な水の提供、保健医療、現金給付、こころのケア、安否確認支援などを実施しています。
橋が流失した地域では、ロープの橋を設置し、住民が対岸へ渡れるよう支援しています。また、仮設診療所や給水タンクを設置し、医療や安全な水を届けています。
避難所では、子どもたちが安心して過ごせる「子どもにやさしい空間(Child Friendly Space)」も運営しています。ゲームやパズル、お絵描きを楽しむ子どもたちの姿も見られ、赤十字ボランティアは「避難直後は強い不安を抱えていた子どもたちも、今は笑顔を見せてくれています」と話しています。
山間部や孤立地域では、依然として道路でのアクセスが難しく、支援活動の大きな課題となっています。こうした状況を受け、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の調整のもと、ヘリコプターによる空輸が行われ、道路が寸断された地域に約14.4トンの救援物資が届けられました。
ヘリコプターを利用して道路が寸断された地域へ救援物資を届けている©IFRC
「そばにいて、話を聞くことはできる」
甚大な被害を受けたラスワ郡では、家々や水力発電所が数メートルもの泥の下に埋まりました。家を失った人びとは、混雑した避難所で生活を続けており、多くの人が強いストレスや心の傷を抱えています。
洪水を目の当たりにした男性は当時の状況を次のように振り返ります。
「家の最上階にいたとき、水が押し寄せてくるのを目の当たりにしました。人が流されていくのを見ても、助けることができませんでした。それ以来、眠れない日々が続いています。」
また、被災者に心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)を行う赤十字ボランティアは次のように語ります。
「話しながら涙を流す人もいます。何時間も同じ話を繰り返す人もいれば、愛する人の写真を見ながら、洪水が起こる前の暮らしを語る人もいます。PFAのボランティアとして、どんな言葉を尽くしても、彼らが失ったものを取り戻すことはできません。それでも、そばに座って話を聞き、あなたは一人ではないと伝えることはできます。泣いているときは静かに寄り添い、話したいときには耳を傾け、その人がこころの中に抱えている思いを受け止めるようにしています。」
住まいや生活用品を届けるだけでなく、深い悲しみや不安を抱える人びとに寄り添い続けることも、復興に欠かせない支援となっています。
自らも被災を経験した赤十字ボランティアたち。子どもたちが安心して過ごせる「子どもにやさしい空間」を支えている。©IFRC
日本赤十字社の支援
日本赤十字社は、IFRCの緊急救援アピールに対してこれまでに計4,000万円を拠出したほか、救援物資の支援を行っています。また、IFRC緊急対応要員として、保健医療コーディネーター1名、MHPSS(精神保健・心理社会的支援)コーディネーター1名、そして日赤の連絡調整員1名を現地へ派遣しました。
現地で活動した連絡調整員は次のように話しています。
「被災地では、今もアクセスが難しく、支援を届けることが難しい地域があるなど、緊急支援が続いています。一方で、家族や住まいを失い、不安を抱えながら日々を過ごしている方々が生活を立て直していくためには、これからの復興支援も大切だと感じました。また、今後起こるかもしれない災害への備えを同時並行的に考えていくことも喫緊の課題です。最前線で被災者に寄り添った活動を継続するネパール赤十字社のスタッフやボランティアとともに、長い目で支援を続けていくことの重要性を改めて実感しました。(日本赤十字社 国際部・連絡調整員 芳原みなみ)」
洪水で被害を受けた地域の住民に安全な水を届けるため、ネパール赤十字社とIFRCが給水タンクの設置を行ったヌワコット郡を訪問した芳原職員(写真右)©IFRC
日本赤十字社は今後も、ネパール赤十字社やIFRC、赤十字国際委員会(ICRC)、各国赤十字社・赤新月社と連携し、被災した人びとが安心して暮らしを取り戻せるよう、現地のニーズに応じた支援を続けていきます。
「2026年ネパール洪水救援金」
受付期間:令和8(2026)年9月3日(木)~令和8(2026)年11月30日(月)
使途:国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、赤十字国際委員会(ICRC)、ネパール赤十字社および日本赤十字社が行う、被災者への救援・復興支援活動および防災・減災活動などに充てられます。