ラオス救急法普及支援事業を通じて育む「地域でいのちを守る力」

 9月9日は、世界救急法の日(ワールド・ファースト・エイド・デー)です。

 この日に合わせて今回は、 国際赤十字・赤新月社連盟(以下、「IFRC」)バンコク準地域事務所に保健要員として派遣されている福岡赤十字病院の前澤要員が、プロジェクトマネージャーを務めているラオス救急法普及支援事業の活動についてお伝えします。

 プロジェクトマネージャーの主な役割は、事業計画や進捗管理、関係機関との調整、モニタリング・評価などです。ラオス赤十字社、日本赤十字社、IFRCの多くの関係者と連携しながら、事業が円滑に進むよう調整を行っています。

赤十字の取り組み~救急法普及を通じた人材育成~

 ラオス人民民主共和国では、地方部を中心に医療へのアクセスが限られている地域が多く、洪水や地滑りなどの自然災害や交通事故による傷病者に対して、適切な応急手当を行える人材の育成が重要な課題となっています。
 こうした背景から、日本赤十字社は2019年よりIFRCを通じてラオス赤十字社の救急法普及を支援し、指導員の育成や教材整備などを進めてきました。
 2022年には、医療体制が十分ではない6県の学校を対象とした第2期事業を開始し、第1期、第2期を通じて、ラオス国内で50名以上の救急法指導員を育成するとともに、約2500人の教員と生徒に救急法を広めました。2025年からは対象地域を全国18県へ拡大した第3期事業が進められています。

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日赤本社・支部職員によるラオス赤十字社モニタリング訪問 🄫IFRC Bangkok CCD

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ラオス赤十字社プロジェクトマネージャーと連携する前澤要員 ©IFRC Bangkok CCD

現場で感じた着実な成果と技術の広がり

 現地に足を運び、地域や学校で実施される救急法講習や指導員研修を直接視察し、事業の成果や現場の様子を確認するようにしています。現場を訪問した際には、講習で生徒や教員が真剣に学び、ラオス赤十字社の指導員が自信を持って教える姿が見られ、事業を通じて育成された指導員が各地域で救急法を広める担い手として活躍し、その成果が現場で着実に生かされていることを実感しています。
 また、プロジェクトマネージャーとして、現地の指導員と直接対話することで、現場のニーズを確認し、より必要な支援につなげていけるように日々取り組んでいます。

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受講生に正しい手技を教えるラオス赤十字救急法指導員©IFRC Bangkok CCD

赤十字の仲間が積み重ねてきた協働の成果

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ラオス赤十字・タイ赤十字社・IFRCの国や組織を超えたチームでの協働(左が前澤要員) ©IFRC Bangkok CCD

 第3期事業では、新たな教材やガイドラインを活用した研修の評価、指導員を育てるマスタートレーナーの育成に関する助言を求める声が、ラオス赤十字社から寄せられました。この要望を受け、日本赤十字社、タイ赤十字社、IFRCが連携し、当初の計画にはなかったタイ赤十字社からの技術支援を実施できるよう調整を行いました。

 技術支援の研修には全国18県から約70名が参加し、ラオス赤十字社とタイ赤十字社の指導員が互いの経験や知識を共有しながら学びました。印象的だったのは、ラオス赤十字社が自ら事業をより良くしようと主体的に動き始めていたことです。

 そこには「支援する側」と「支援を受ける側」という関係ではなく、同じ赤十字の仲間として学び合い、より良い救急法教育を共に築いていこうとする姿がありました。こうした協働は、一度の活動で生まれたものではなく、2019年の第1期から積み重ねられてきた、すべての関係者の継続的な協力によって育まれてきたものです。

持続可能な地域に根付く救急法を目指して

 国際協力において重要なのは、外部からの支援を継続することではなく、現地の組織が主体となり、活動を継続・発展できる体制を築くことです。ラオスでの活動も、救急法の指導のみを目的とするのではなく、現地で人材を育成し、その人材がさらに地域へ知識と技術を広めていく仕組みづくりが重要だと考えています。

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真剣に指導するラオス赤十字ボランティア指導員©IFRC Bangkok CCD

 今後も、派遣先であるIFRCバンコク準地域事務所のプロジェクトマネージャーとして、ラオス赤十字社をはじめ、日本赤十字社、タイ赤十字社など多くの関係者との協働を通じて、ラオスの人々が自らいのちを守り、互いに支え合える地域づくりを支援していきたいと考えています。そして、この事業で育まれた人材や協力関係が将来にわたって受け継がれ、ラオス国内で救急法がさらに広く根付いていくことを目指していきます。

20260828-f92223094bd66b24eba5d95193684c27fd521dc2.jpegラオスヴィエンチャン市内の高校での救急法講習 ©IFRC Bangkok CCD

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