【速報】コンゴ民主共和国およびウガンダでエボラ出血熱の感染拡大、最前線で続く赤十字の対応
アフリカのコンゴ民主共和国東部でエボラ出血熱の新たな流行が確認され、周辺国への拡大が懸念されています。
2026年5月15日、同国北東部のイトゥリ州で、現地当局がエボラ出血熱の発生を確認しました。今回の流行は「ブンディブギョ株」によるものですが、この株に関する情報はいまだに少なく、これまで主流だった「ザイール株」のような承認済みワクチンや有効性が確立された治療法がありません。そのため、早期発見や接触者の追跡、感染予防といった基本的な対策の徹底が極めて重要となっています。
こうした状況を受け、世界保健機関(WHO)は5月17日、本流行を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言しました。
コンゴ民主共和国では、感染が疑われる人は1,000人以上、感染が確定された人は120人以上とされ、感染による死者は17人、感染が疑われる人を含めると、死者数は260人以上に上ります。また、隣接するウガンダでも感染者7人と、死者1人が報告されています(5月27日時点、米国疾病管理予防センター[CDC][1])。感染はイトゥリ州内のモンブワル、ルワンパラ、ブニアなど複数地域で広がっており、早急な対策が求められています。
[1] https://www.cdc.gov/ebola/situation-summary/index.html
エボラ対応の最前線で活動するコンゴ民主共和国赤十字社のボランティア。啓発活動や感染対策を通じ、感染拡大の防止に取り組んでいる。©IFRC
今回の流行は、紛争などの影響で現地の治安情勢が悪化し、避難を余儀なくされている人が増加している中で感染が広がっていることで、国境を越えた拡大リスクが高まっている点も特徴的です。すでにウガンダでは越境に関連した感染が確認されており、南スーダンなどの周辺国でも警戒が強まっています。人の往来が多い地域では、1国のみでの封じ込めは難しく、国境を超えた連携が不可欠です。
国際赤十字の対応
国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)は、コンゴ民主共和国および周辺国で約300万人を対象に、2,750万スイスフラン(約56億円)の緊急アピールを発出しました。最大で1,800万人が感染リスクにさらされているとされ、広域的な対応が求められています。
支援は、感染地域の住民のほか、医療従事者や患者の家族、難民や国内避難民などを中心に行われ、女性や子どもなど社会的に弱い立場にある人びとも重点的な支援対象とされています。
現地では、コンゴ民主共和国赤十字社のボランティアが最前線で活動しており、ブニアやルワンパラでは200人の赤十字ボランティアが戸別訪問による啓発活動などを実施しています。また、エボラでは感染者の遺体も感染力が非常に高いため、「安全で尊厳のある埋葬」が重要な取り組みとして実施されており、そのための防護服や資機材の配備も進められています。
ボランティアの戸別訪問により、活動初日だけで645世帯に情報が届けられるなど、地域に根差した支援が進められている。©IFRC
「信頼」が感染拡大防止の鍵
エボラ出血熱の流行では、感染に加え、不安や誤った情報の拡散も大きな課題となります。住民が適切な行動を取るためには、地域社会との信頼関係に基づく対話が不可欠です。赤十字のボランティアは、地域に最も近い存在として、感染の早期把握や行動変容の促進に重要な役割を担っています。
日本赤十字社は、現地の救援活動を支援するために、連盟の緊急アピールに対し500万円の資金援助を決定しました。赤十字は今後も、現地の人びととともに感染封じ込めに向けた支援を続けていきます。