パレスチナ・ガザ:いのちを守り続けるために ~開設から2年を迎えたラファ赤十字野外病院~

赤十字国際委員会(以下、ICRC)が2024年5月にガザ南部のラファに設置した赤十字野外病院は、開設から2年を迎えました。この野外病院は日本赤十字社を含む16の赤十字・赤新月社の協力、そして現地のパレスチナ赤新月社との連携のもとで運営されており、このたび、改修・機能強化に必要な物資の搬入が完了しました。現在、ラファで機能している数少ない医療施設である同病院は、外来診療を提供する地域の拠点となっています。時に多数の死傷者が一度に運ばれてくることもあり、厳しい状況が続く中、赤十字・赤新月の医療スタッフは24時間体制でいのちを救う活動を行っています。

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ラファ赤十字野外病院のエントランス©ICRC

ラファ赤十字野外病院の機能強化とこれまでの実績について

今回の改修と機能強化に向けた取り組みは、数々の承認プロセスを経て実現しました。これにより病院全体の機能が大幅に改善され、病床数も60床から72床に増えました。そのほかにも、手術室や救急・外来部門、産科・小児科の機能向上、病棟の過密状態の緩和、術後ケアの改善などが行われています。

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エジプトでの医療機器および物資の積み込み©ICRC

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野外病院に搬入される資機材©ICRC

2024年5月の開設時からこれまでの同病院の実績は次の通りです。

  • 手術:1万1,300件以上
  • 診察:約25万件
  • 分べん:約1,200
  • リハビリ/理学療法の実施:約1万9,200
  • 輸血:1,500件以上

ガザを取り巻く状況

現在、ガザでは公的医療制度そのものがほぼ機能しておらず、202310月以降、すべての病院が何らかの物理的な被害を受けたことが報告されています。多くの病院や診療所が被害を受ける中、わずかに稼働している施設も深刻な人手不足と物資不足に直面しており、水や電力、最低限の医療物資や医薬品の安定供給すら困難な状況です。さらに、現場で切実に必要とされている高度な医療機器のガザへの搬入は依然として許されていません。こうした資源不足の中でも、いのちを救うための緊急手術は必要ですが、麻酔薬や消耗品が十分に確保できないため、実施は極めて困難です。また、戦闘は市街地や医療施設周辺でも続いているため、患者だけでなく医療従事者自身も常に安全を脅かされています。このような厳しい状況下でも、パレスチナ赤新月社は救急搬送や複数の医療拠点・診療所の運営を通じて地域医療を懸命に支えています。野外病院は、これらの現地の取り組みを補完し、ひっ迫した医療体制を支える重要な役割を果たしています。

求められる行動と国際人道法について

国際人道法では、紛争下であっても病院や医療施設、医療従事者、患者は尊重され、保護されなければならないと定められています。しかし、ガザへ搬入が許可される人道支援物資は、現地のニーズに追いついていないのが現状です。野外病院が活動を続けるためには、医薬品や医療機器、消耗品が継続的かつ安定して届けられることが不可欠です。赤十字は、すべての紛争当事者に対し、国際人道法の遵守と、医療活動の尊重、そして市民の命を守る行動を強く訴え続けています。

野外病院をはじめとした、赤十字の活動は皆さまから寄せられるご寄付によって成り立っています。ガザを含む、中東人道危機救援金の募集は以下より行っております。赤十字の活動の根幹である、苦しんでいる人びとのいのちと尊厳を守る活動が続けられるよう、引き続きご関心とご支援をお寄せくださいますようよろしくお願いいたします。

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