【速報2】パキスタン洪水:拡大する被害、パキスタン赤新月社の懸命な救援活動は続く
2025年6月末以降、パキスタンを襲っている豪雨による大規模な洪水により、これまでに少なくとも1,006人が死亡、1,060人以上が負傷し、被災者は約690万人に上ります。
パキスタン赤新月社は、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)、赤十字国際委員会(以下、ICRC)、日本赤十字社(以下、日赤)を含む各国赤十字・赤新月社の支援のもと、深刻な被害を受けた地域を中心に、一人でも多くの命を救い、被災された方々に寄り添った支援を届けるため、懸命な救援活動を続けています。速報1に続き、本号ではその活動の一部を紹介します。
■パキスタン赤新月社のこれまでの救援活動
※対象期間:2025年8月23日~9月4日
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巡回診療を派遣し、2,434人(女性1,499人、男性935人)に診察と治療を行い、65人に心理社会的支援を提供しました。今後追加で2班の巡回診療チームをギルギット・バルティスタン州へ派遣するため、医薬品の調達やスタッフ・ボランティア向けの研修・オリエンテーションを実施しています。 |
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給付対象者の選定と登録を行うため、地元当局や関係機関と調整を実施しました。カイバル・パクトゥンクワ州では、ボランティア15人が必要な研修を受講するなど、9月末に予定されている現金給付の開始に向けて、準備を進めています。 |
給水・衛生 |
被災地域に浄水設備を設置し、13,713人に対して、計12万リットルの安全な飲料水を届けました。国内避難民(IDP)の住む地域には、給水ポイントを設置しています。今後、衛生キット3,000個、女性向けのディグニティキット(尊厳キット:衛生・生理用品など)3,300個が配付される予定です。 |

被災地で巡回診療を行うパキスタン赤新月社の巡回診療チーム©PRCS

国内避難民が暮らすキャンプに設置された給水ポイント©PRCS
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移民や難民の人びとの支援を強化するために、パンジャーブ州に担当者が派遣され、現地の状況とニーズを把握し、今後の対応が検討される予定です。並行して、離散家族支援を行うための必要資材の準備を進めています。 |
早期警報 |
パンジャーブ州の86村の住民85,658人に対して、ボランティアが拡声器やモスクからのアナウンスを通じて、住民への迅速な警報伝達を行いました。また、地元行政の協力を受けて、26,061人の避難支援を実施しました。 |
食糧支援 |
ドイツ赤十字社やトルコ赤新月社の支援のもと、カイバル・パクトゥンクワ州の1,000世帯に乾燥食料を提供し、パンジャーブ州では650個の食料パッケージを配付しました。今後も各地で配付を予定しています。 |
コミュニティ参画と説明責任(CEA) |
コミュニティのリーダーや住民との対話、現地視察を通じて、洪水被害の規模や影響を評価しています。特に女性や子ども、高齢者、障がい者など、弱い立場に置かれてしまう人びとが直面するリスクの把握に努めています。また、地域コミュニティにフィードバックシステムを設けて、一人一人の意見や声を支援活動に生かせるような仕組みづくりに取り組んでいます。 |

離散家族支援に関する地域住民向けガイダンス©PRCS
地域住民への早期警報活動©PRCS

トルコ赤新月社支援による食料配付©PRCS

被災地域を訪れたCEAチーム©PRCS
パキスタン赤新月社は、洪水対応の開始以降、連盟、ICRCおよび各国赤十字・赤新月社と緊密な連携を継続しており、支援活動の効果を高めるとともに、誰ひとり取り残さない、包括的な人道支援の実現を目指しています。

■「2025年パキスタン洪水救援金」を受け付け中
現在、日本赤十字社は「2025年パキスタン洪水救援金」を募集中です。お寄せいただいたご寄付は、連盟、ICRC、パキスタン赤新月社および日赤が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動などに充てられます。
引き続き、皆さまの温かいご支援とご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
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