【速報5】トルコ・シリア地震 パレスチナ難民キャンプでの支援活動

 2月6日に発生したトルコ・シリアの国境付近の地震による死者は2月15日時点で41,000人以上になると報告されています。厳しい寒さが続くなか、被災地では、衣服や毛布、医療など、様々な支援が必要とされています。前号では、トルコ赤新月社とシリア赤新月社の支援活動をご報告しましたが、今回はシリア国内にあるパレスチナ難民キャンプでの活動をお伝えします。

■長年にわたる内戦と混乱の中で

 今回の地震はシリア北西部にあるパレスチナ難民キャンプにも甚大な被害を及ぼしました。

 1947年の国連のパレスチナ分割決議以降、第一次中東戦争を発端に居住地を追われた人々がヨルダン川西岸地区やガザ地区、ヨルダン、レバノン、そしてシリア等の近隣諸国に逃れました。彼らはパレスチナ難民と呼ばれ、およそ70年以上にわたって難民生活を送っています。また、2010年に中東各国で起こった「アラブの春」と呼ばれる民主化運動は、その後、シリアでの武力衝突へと発展しました。12年に及ぶシリア内戦により再びレバノンやトルコ、ヨルダン等の周辺国へ逃れた人々もいる一方で、引き続きシリア国内の難民キャンプに身を寄せる人々も多くいます。

画像 Handarat and Al-Nayrab キャンプでのパレスチナ 赤新月社の支援の様子ⓒパレスチナ赤新月社

■難民生活に地震が追い打ち:赤十字の活動

 こうした状況を背景にパレスチナ赤新月社はシリア国内に支部を設置し、難民たちの生活を守るため、継続的な支援を行ってきました。

 2月6日の地震は、厳しい生活を強いられてきた避難民の命と健康にさらなる追い打ちをかけています。パレスチナ赤新月社は直ちに緊急救援チームを派遣し、シリア赤新月社と協力しながらニーズ調査、人命救助、避難所での支援活動を展開しています。これまで、シリア北西部のLatakia 地区のRamp キャンプ(約4,000名規模)、首都アレッポのNarab キャンプとHandarat キャンプに(約6,000名規模)、南部Hama地区のAl’adeen キャンプとZaitonah 診療所(約5,000名規模)に医師や救急ボランティアを派遣しました。

 また、パレスチナ赤新月社は災害下の被災者のこころの健康を守り、レジリエンスを高めるために、子どもたちへの「こころのケア」も実施しています。今後、パレスチナ赤新月社はこれまでの人命救助や医療サービスの提供、避難所支援に加えて、食料支援やこころのケアにもより一層注力する予定です。

日赤はこれらの活動を支援するために、パレスチナ赤新月社に対して1,000万円の資金援助を決定しました。

画像 子どもたちを対象としたこころのケアⓒパレスチナ赤新月社

 今回のような自然災害により、最も深刻な影響を受けるのは社会的に弱い立場に置かれた人々であり、社会の中で十分な保護を受けられない人々です。赤十字は難民キャンプでの活動をはじめ、誰も取り残さないための支援に全力で取り組みます。

皆さまからの温かいご支援をお願いします

 日本赤十字社は、国際赤十字の呼び掛けに応えて現地の活動を支援するとともに、トルコとシリアに職員を派遣して、情報収集と活動の調整にあたっています。日本赤十字社にお寄せいただきましたご寄付は、今も支援を待っておられる方々のために活用させて頂きます。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

「2023年トルコ・シリア地震救援金」

受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。

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