【速報3】トルコ・シリア地震:赤十字は被災地域での救援活動を拡大、国際社会に長期にわたる支援と連帯を呼びかけ

トルコ・シリア国境沿いでの大地震の発生から1週間が経ちました。現地では現在も救援活動が継続・拡大されています。この災害での死者数はさらに増加の一途をたどり、3万3,000人以上と発表されています(トルコ・シリア当局等、2月12日時点)。救助活動が困難を極める中、犠牲者はさらに増えることが懸念されています。

国際赤十字は支援の規模を拡大し、緊急に必要とされる救援物資や資源を用いてそれぞれの地域での活動を支援しています。また、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)事務総長のジャガン・シャパガンは、「痛みや苦しみのレベルは計り知れず、支援の必要性も同様に甚大です。国際社会に対しては今後数日間だけでなく、復興に必要な数ヶ月、数年にわたり、シリアとトルコの人びとを支援するよう呼びかけます」と、緊急時のみならず長期にわたる支援と連帯を国際社会に訴えました。

トルコ赤新月社・シリア赤新月社が活動を拡大中

トルコ赤新月社・シリア赤新月社はそれぞれの国の救援活動の中心的役割として、地域に根差した活動を24時間体制で続けています。各社の活動は以下の通りです。

■トルコ赤新月社(2月11日時点の活動)

避難所支援 被災地に対して3,000張の大型テント、3万8,600枚の毛布を配付しました。加えて、6万張の家族用のテントも調達、配付予定です。
食事の提供 温かい食事やスープ、サンドイッチ等780万食を450万人以上の被災者に提供しました。
血液の提供 被災地域での血液の需要増加に対応するため、国内の全血液を被災地に送り、トルコ全土の人びとに献血を呼びかけています。
水・衛生支援 42万4,000本の飲料水ボトルの配付を行い、乳児用衛生キット(おむつ等)の配付も行っています。
情報提供支援 首都アンカラに168のコールセンターを開き、地震に関する必要な情報提供や支援場所についての案内を行っています。

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温かいスープを準備するトルコ赤新月社ボランティア(CTRCS

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テントに避難している子どもにお菓子を手渡しするトルコ赤新月社ボランティア(CTRCS

■シリア赤新月社(2月9日時点の活動)

避難所支援 シリアの空港や国境から届けられた救援物資をもとにアセスメントを行い、緊急シェルターの整備を実施しました。加えて、1,420世帯のニーズを調査し、100カ所の被害状況のアセスメントを行いました。
救援物資配付 2万8,500人に食料、子どもや母親のための栄養補助剤、衛生物資、毛布、寝袋、マットレスなどの救援物資を配付しました。
保健医療支援 被災地での応急処置や重症患者の病院への搬送、また、巡回医療チームによる地域の啓発活動や医薬品の提供など、2万8,089件の支援を展開しました。
情報提供支援 700人に対して、地震後のリスクに対する予防措置の啓発セッションを行いました。
水・衛生支援 赤十字国際委員会(ICRC)と協力し、アレッポの6つ避難所での水インフラ修理を行ったほか、水タンクの提供なども行いました。また、2万以上の衛生キットを配付しました。
離散家族再会支援 離ればなれになった家族の再会支援のために4つのホットラインを設置しました。

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救助活動を実施するシリア赤新月社ボランティア(CSARC

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がれきの中から助け出された人に応急手当をするシリア赤新月社ボランティア(CSARC

引き続き、赤十字は地域に根差したネットワーク、および国際的なネットワークを活かし、活動を継続していきます。

シリアのパレスチナ難民キャンプでもパレスチナ赤新月社が活動中

被災地であるシリア北西部にはパレスチナ難民キャンプが存在しており、シリア赤新月社との調整のもと、パレスチナ赤新月社(シリア支部)が同キャンプで地震による被災者の救援活動を行っています。

シリアのラタキア県の中のランプキャンプ(約4,000名)、アレッポ県のナラブキャンプとハンドラトキャンプ(合わせて6,000名)など、パレスチナ難民が被災している地域でのキャンプに対して、医療チームや救急ボランティアの派遣を実施しました。今後も、食料支援やこころのケアなどを実施していく予定です。

日赤は、この活動を支援するために、パレスチナ赤新月社に対して1,000万円の資金援助を決定しました。

画像 被災地に運ぶ物資を準備するパレスチナ赤新月社ボランティア©PRCS

すべての被災地域に人道的アクセスを

今回の地震は、12年にも及ぶ長引く紛争や、昨年末から現地で流行しているコレラの脅威、経済危機など複合的な危機の中すでに支援が必要な状況にあるシリアにとって、大きな打撃となりました。厳しい冬、燃料が不足しているという状況も相まって、被災者は今回の地震でさらに厳しい状況に陥っています。

赤十字は、すべての関係者に対し、被害が甚大なシリア北部も含むすべての地域に対する人道的アクセスの必要性を訴え続けています。

救援活動への支援、そしてその後の復興に向けた長期的な支援が必要となることが予測されます。今後とも、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

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「2023年トルコ・シリア地震救援金」

受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。