【速報10】ウクライナ危機:日本赤十字社よりモルドバに国際救援倉庫管理責任者を派遣

 日本赤十字社は、ウクライナ人道危機に対応するため、3月25日から職員1名をウクライナ西部に隣接するモルドバ共和国(以下、モルドバ)に派遣しています。

 大阪赤十字病院所属の河合謙佑係長は、海外での大規模災害時の医療資機材輸送などの経験が豊富で、国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)の緊急救援要員として登録されていました。今回の危機に対応するため、ウクライナ隣国で多くの避難民が流入しているモルドバに急遽設置された連盟の国際救援倉庫の管理責任者に任命されたものです。

 河合係長が担当するのは、ヨーロッパ等各地から輸送されてくる救援物資や資機材の搬入、倉庫での適切な保管管理、人びとのニーズに応じた救援物資の的確な輸送手配・搬出業務です。国際赤十字のロジスティクス、サプライ・チェーンの要となり、その先々に各国赤十字社と連携した救援活動が展開されています。

画像 救援物資の状態を確認する河合係長(C)IFRC Victor Lacken

 現在、国際赤十字は一丸となって人びとのニーズに応じた活動を展開していますが、私たちが優先すべき活動の1つが「適切なタイミングでニーズに沿った物資を届けること」です。

 この時、活かされるのはまさに世界192の国と地域にある赤十字の国際的なネットワーク。現在、赤十字は周辺国から、ウクライナ国内の3つの拠点(リビウ、ウジホロド、チェルニウツィ)への輸送パイプラインを確保しており、これまで3,300トン以上の支援物資を届けています。

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ハンガリーのデブレッツェンの倉庫の救援物資(C)IFRC

 モルドバにいる河合係長から、現地の活動について報告です。

 「私は、主にモルドバの首都キシニョフ(キシナウ)にある倉庫で、支援物資の保管管理、適切な配付に向けた計画づくりを担当しています。モルドバにいる赤十字のチームは、アメリカ赤十字社、スペイン赤十字社、カナダ赤十字社等から派遣された職員と、モルドバ赤十字社の職員で構成され、毎日ミーティングを重ねて救援物資だけではなく様々な支援方法の道筋を立てているところです。

 現地に到着してすぐの3月29日にはポルトガル赤十字社からモルドバ赤十字社に寄付された支援物資が到着し、現在こちらの倉庫に保管されています。物資は毛布、衛生用品キット、新型コロナウイルス対応キットなど約8トン分です。これらはウクライナから避難された人びとやモルドバで避難者を受け入れている世帯に配付されています。

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ポルトガル赤十字社の救援物資が到着(C)日本赤十字社

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救援物資の中身を確認する河合係長(C)IFRC Victor Lacken

 4月8日には、キシニョフ(キシナウ)から車で約1時間の場所にある街で支援物資の配付を行いました。物流の基盤となる倉庫関連や、物資の輸送が私の業務の中心になる中で、支援を求めている人びとに直接会い、物資が手渡されている場面を見ると、自分に任されている業務の重要性を再認識します。

 現在、モルドバ赤十字社と協力し、モルドバに赤十字の救援物資の拠点を作るべく、それに適した倉庫の準備をしています。今週(418日予定)には、トルコ赤新月社から約40トン(トラック6台分)の物資が到着する予定で、トルコ赤新月社の職員も交えて受け取りに向けた最終調整を行っています。支援を必要としている人びとに、救援物資が適切に届けられるよう、業務に励みます。」

 このようなロジスティクス業務を担当する職員による管理の下、適切なタイミングで適切な場所に適切な物資が届けられています。このような活動も、国際赤十字の多岐にわたる活動の一つです。今後とも、ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。

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「ウクライナ人道危機救援金」

受付期間: 2022年3月2日(水)~2022年5月31日(火)

使途: 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。