【速報7】日赤職員が見たウクライナ人道危機

 ウクライナでの戦闘が激化して1か月。これまで1000万人以上の人びとが住むところを追われ、ウクライナ国内外への避難を余儀なくされています。日本赤十字社は、国際赤十字運動の一員として、この危機に対応しています。
ウクライナから逃れた人びとを受け入れているハンガリーの首都ブダペストには、日本赤十字社の芳原みなみ職員が3月半ばから連絡調整員として滞在しています。

ハンガリーには、これまで33万人以上がウクライナから避難してきました(UNHCR2022年3月25日時点)。

ハンガリー赤十字社(以下、ハンガリー赤)は、国内に21の拠点があり、800900人のスタッフがいます。今回のウクライナ人道危機で、ハンガリー赤は国境近くの3か所でヘルスケアセンターの活動に携わっています。

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ブダペストにあるハンガリー赤十字社本社

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ザホニー駅の様子

ザホニーは国境の町で、ウクライナからの列車がハンガリーに入ってくる駅の1つです。ザホニーには1日に1000人ほどが到着しており、そのうちザホニーに一時的に留まるのは150200人。他の人は、ブダペストやオーストリアのウィーンなどのほかの町に移動したり、ハンガリー国内の親戚や友人のところに行っているそうです。

ザホニー駅近くのヘルスケアセンターでは、ハンガリー赤の救急救命士1名と看護師1名が医療ボランティアとして常駐しており、数名の非医療職の赤十字ボランティアもいます。医療ボランティアは、もともと病院などの医療施設で通常勤務をしているため、勤務の合間や休日の空いた時間を縫ってシフトを組みながらボランティア活動を行っている状況です。

ザホニーに一時滞在する避難者の中でヘルスケアセンターに診察に訪れるのは1日あたり20~30名ほどで、緊急の事案が発生した場合は、近隣の医療施設と連携して搬送を行っています。

画像 ヘルスケアセンターでハンガリー赤ボランティア・国際赤十字スタッフと協議する芳原職員

 新型コロナウイルス感染症も懸念事項の1つ。ウクライナ国内の新型コロナワクチンの2回接種者は人口全体の35%、ブースター接種率(3回接種率)は2%程度と欧州の中でも低いため、今後コロナ感染が拡大し、特に基礎疾患のある人びとの重症化が進めば地域の医療体制にも負荷がかかる可能性があります。

 ハンガリー政府はさらなる避難者の流入に備えるため、外国人による医療活動に関する許可を一時的に緩め、これまで2~3週間必要だった手続きを2~3日に短縮しています。国際赤十字としても、隣国のオーストリア赤十字社が医療スタッフを送り、ハンガリー赤の活動を支援していますが、さらに継続的なサポートができないか模索しています。ザホニーでの医療支援に携わっているハンガリー赤ボランティアのアニコさんは、「ウクライナから避難されてきた方々がいつでも医療を受けられる体制を必要な限り維持していくために、国際赤十字からのサポートがあると助かります。」と語っています。

 国際赤十字のアセスメントチームとともにザホニーを訪れた芳原職員は、「ハンガリー赤十字社のボランティアは目の前で支援を必要としている人びとに必要な支援を継続して届けられるよう一生懸命に活動しています。避難されてきた方がたを支えるために全力で取り組んでいる地元の医療ボランティアを、外国人である私たちが少しでも助けられる方法がないか探っています」と報告しました。

 このような状況をうけ、国際赤十字・赤新月社連盟は、3月24日(日本時間3月25日未明)、ハンガリー赤とすでに調整を始めていたスペイン赤十字社を中心に、国際赤十字の緊急救援のしくみを活用して、ハンガリー赤が実施するウクライナからの避難者に対する医療支援のため、各国赤十字社の医師・看護師などを派遣することを決定しました。

 また、先週ハンガリーで開催された国際赤十字の緊急支援会議には日本赤十字社から佐藤国際救援課長も参加し、先日3月25日(金)に、会議の報告や現地の様子を含めた報告会「ウクライナ人道危機にかかる赤十字緊急活動報告」を実施しました。

報告会の様子は下記よりご覧ください。

これからも、ウクライナ人道危機に対する活動は続いていきます。引き続き、皆さまのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

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ウクライナ人道危機救援

受付期間: 2022年3月2日(水)~2022年5月31日(火)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。