NHK海外たすけあいキャンペーン、12月1日スタート ~感染症から誰も取り残さない~

日本赤十字社は2021年12月1日から25日まで、NHK海外たすけあいキャンペーンを実施します。
世界各地で紛争や自然災害、病気などで苦しんでいる人々を救うために日本赤十字社とNHK、NHK厚生文化事業団が例年12月に実施している募金キャンペーンで、今年39回目を迎えます。
今年は、世界で新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、“感染症から誰も取り残さない。”をテーマに、より困難な状況に置かれている人々を取り残さず、活動し続けている赤十字の姿をお伝えします。

2021年「NHK海外たすけあい」キャンペーン概要

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〇キャンペーン期間
12月1日(水)~12月25日(土)

〇キャンペーンテーマ
「感染症から誰も取り残さない。」

〇NHK海外たすけあい特設サイト
 https://www.jrc.or.jp/lp/kaigai/

(写真:2021年NHK海外たすけあいポスター)

コロナウイルスの影響でさらにひっ迫:世界中の紛争や災害、病気から命を守る日本赤十字社の活動

新型コロナウイルス感染症の影響により私たちの生活が大きく変化する中、困難な状況にある人々はより深刻な影響を受けています。
今、世界では「紛争+感染症」、「災害+感染症」といった複合的人道危機への対応が求められているのです。
こうした危機への対応において、格差によって失われる命があってはなりません。
赤十字は、世界192の国と地域に広がる草の根のネットワークという強みを活かし、「救うことを託される」存在としてどんな時にも誰一人取り残さないよう支援を届け続けるとともに、危機に立ち向かい、自ら乗り越える力を備えるための支援も行っています。
世界各地における危機の現状と、具体的な赤十字の支援活動の一部をご紹介します。

紛争に伴う難民・避難民などへの対応

バングラデシュ:

2017年8月にミャンマーのラカイン州で発生した暴力行為により、隣国バングラデシュでは現在も86 万人以上が避難民キャンプでの生活を送っています。帰還へ向けた兆しが見えない一方、避難から4年が経過して支援団体は減少傾向にあります。キャンプでは人口密集や上下水道の未整備により不衛生な状態が続き、避難民の生活環境は過酷で、まだまだ支援が必要です。

>>日本赤十字社の活動:

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日本赤十字社では、緊急の医療救援に続いて 2018年5月から保健医療支援事業を開始し、現地のバングラデシュ赤新月社を中心に、保健医療の提供、慢性疾患への対応や疾病予防などに重点を置いて支援を行っています。
コロナ禍においても感染症対策を講じながら診療所や地域保健の活動を着実に継続してきました。テレビやラジオの情報へのアクセスが制限される人々に対して、世帯訪問などを通じて感染症対策などの正しい情報を普及しています。
今後も、保健医療提供体制をさらに安定的なものとするとともに、バングラデシュ赤新月社の医師や看護師、助産師の能力強化、避難民自身が保健衛生に関する知識の普及の担い手となれるように避難民ボランティアの人材育成と避難民自身による健康保健活動を促進していきます。(写真:避難民キャンプで子どもたちに手洗い方法を伝える日赤看護師 (C)Atsushi Shibuya/JRCS)

頻発、激甚化する災害への対応

アジア・大洋州地域:

災害時、被災者にとって不可欠な支援の一つに、安全な飲み水や生活用水の確保、清潔なトイレの設置など衛生環境の整備があります。近年、サイクロンの発生やそれに伴う洪水などが増加しており、災害時の給水・衛生活動のニーズが一層高まっています。世界中で発生する自然災害のうち4割以上がアジア・大洋州地域に集中しています(2019年災害報告、CRED:災害疫学研究所)。

>>日本赤十字社の活動:

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日本赤十字社は、海外で発生する災害への緊急即応体制整備の一環として国際赤十字・赤新月社連盟と協働し、2011年度からアジア・大洋州地域における給水・衛生災害対応キットの配備に取り組んでいます。このキット一式には、浄水ユニットやタンク、浄水剤、水質検査キット、簡易トイレ設置用資材、衛生教育用の文具などが含まれています。最近では、災害時の移動や展開が容易である、より小型のキット(1時間あたり700 リットルの浄水が可能)が多く配備されています。
これらのキットは、予め災害多発国や周辺地域に整備され、災害時には現地の赤十字・赤新月社のスタッフやボランティアがすぐに活用することができます。災害発生の傾向や頻度を踏まえてキットを戦略的に事前配備するとともに、救援活動を行うための現地スタッフやボランティアの人材育成も併せて行い、災害発生時のより迅速な救援活動を目指しています。(写真:被災者に安全な水を届ける赤十字スタッフ (C)IFRC)

人々のレジリエンスを高めるために

アフガニスタン:

アフガニスタンは、1970年代から続く紛争により、政治・経済・社会インフラが壊滅的な被害を受けていることに加え、近年は、気候変動がもたらす自然災害によって、食料や水の枯渇等により、人々は深刻な危機に晒されています。特に、深刻さを増す干ばつと度重なる洪水は、国民の8割が従事する農業の土地と家畜を奪い、家屋、社会インフラ、道路等、人々の生活のあらゆる面に甚大な影響を及ぼしています。紛争国としてのイメージが強いアフガニスタンですが、1980年から2015年までの自然災害による死亡者数は100万人あたり1,150人と、低所得国に分類される中で2番目に多く、その半数は地理的条件や気象に関連した災害であることが報告されています(世界銀行)。
その一方で、2021年8月の政変により、これまで海外からの資金援助に頼っていたアフガニスタンの公的医療システムが立ち行かなくなり、多くの医療施設が閉鎖に追い込まれています。そのような状況下、現地のアフガニスタン赤新月社は、日本赤十字社を含めた国際赤十字・赤新月社連盟の支援を得ながら医療施設の運営に加えて巡回診療サービスを全国で展開しています。

>>日本赤十字社の活動:

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日本赤十字社は、緊急救援の他、2020年7月から、国際赤十字・赤新月社連盟と協力し、アフガニスタン赤新月社が主体となって行う5カ年の事業を開始しました。
この事業は、干ばつや洪水の影響を受けている地域において、2つの活動を軸に、対象地域の各村落とそこに暮らす人々のレジリエンス強化を目指しています。
1)災害時対応計画の策定をはじめとする「防災・減災活動」;防災マップや安全計画の作成、防災訓練、災害対応キットの配備や救急法研修など。
2)生計手段の強化・多様化から気候変動への適応を図る「生計支援活動」;研修や新規事業開始のための初期投資や技術支援、植樹など。(写真:厳しい環境下で生活する子どもたち (C)アフガニスタン赤新月社)

南部アフリカ地域:

HIV の感染者は世界で約 3,770 万人、そのうちサブサハラアフリカ(アフリカのうちサハラ砂漠より南の地域)の感染者数は約 2,530 万人と約 67 %を占めており、同地域は世界で最もHIV 感染症の影響を受けている地域と言われています(2021年、UNAIDS DATA)。

>>日本赤十字社の活動:

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日本赤十字社は、2003年から国際赤十字・赤新月社連盟を通じて、南部アフリカ地域におけるHIV感染症/エイズなどの感染症対策をはじめ、生計支援や教育などの包括的な支援を行っています。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により世帯の生活状況や子どもたちの栄養状態の悪化などの問題が生じる中、特にボランティアの世帯訪問を通じた住民への感染症の予防啓発や、子ども・貧困世帯への物資の支援を行いました。ナミビアでは、児童や生徒を対象としたキッズクラブ(学童保育)を運営し、学業サポートやカウンセリング、ライフスキル教育を提供しました。当初は内向きであった子どもがクラブの活動を通じて明るくなるなど、子どもたちの成長の一助となっています。(写真:キッズクラブにてふるまわれる給食に満面の笑みの子どもたち (C)IFRC)


海外たすけあいキャンペーンを通じて皆様からお寄せいただくご寄付は、こうした様々な支援として世界各地に届けられます。今年も皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

特設サイトでは、日本赤十字社の国際活動についてより詳しくご紹介しています。

~関連番組のご案内~

・ドキュメンタリー番組「日本赤十字社Presentsバングラデシュ避難民に寄り添って ~海外救援看護師のルポルタージュ~」

バングラデシュの避難民キャンプで厳しい生活を送る避難民が「ジャパンクリニック」と呼ぶ日本赤十字社の診療所と、避難民の痛みを分かつように奮闘する海外救援看護師のルポルタージュ。番組ではミャンマーでの暴力発生当時の貴重な証言も収録しています。

・NHK番組「あなたのやさしさを2021~NHK海外たすけあい~」

新型コロナ禍において、ルワンダで保健衛生活動を展開する日赤職員の姿を通じて、感染症から誰も取り残さないために、今、わたしたちにできることはなにか?を問いかけます。
・初回放送日:12月2日(木)23:30~23:35<総合>
※放送日時は変更となる場合があります。
※NHK海外たすけあい期間中、数回の再放送<総合ほか>を予定しております。