アフリカの子どもたちの笑顔を守るプロジェクト

世界中が新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)に立ち向かっている今、支援を必要としているアフリカの子ども達やそのご家族に寄り添い、自らの力で困難に立ち向かう力を育む取り組みをご紹介します。その名は「産休サンキュープロジェクト」。日本赤十字社(以下、日赤)が企業とのパートナーシップ事業の一環として実施しているもので、日本に生まれた赤ちゃんの誕生をきっかけにご支援を頂き(*)、アフリカと日本の両方で、赤ちゃんとそのご家族に優しい社会づくりを実現することを目指しています。今号では、本プロジェクトのニュースレター最新号の一部を抜粋してお届けします。

ニュースレター最新号はこちらから

コロナ禍でも希望の光を失わないように

 現在アフリカ地域は、新型コロナが招いた不況や食物供給への打撃に加え、気候変動により年々激しさを増す干ばつや豪雨の影響で、深刻な食料危機に陥っています。世帯の生活状況や子ども達の栄養状態の悪化などの問題が生じる中、現地の赤十字社は、子ども達や貧困世帯への物資の支給を通じた支援に力を入れています。

 例えば、日赤が国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)を通じて、長きにわたり支援を行っている、エスワティニ赤十字社が運営するシレレ診療所。HIV感染症の治療を受ける70人の子ども達に対して、食糧パックや衛生用品、通学バッグ、文具などを配付しました。HIV感染症の治療は、継続的な治療薬の服用に加え、食事や衛生面でのケアなど、包括的な支援が重要です。これらの物資は、新型コロナの影響で世帯の家計状況がひっ迫する中で、子ども達の治療を継続するために不可欠であり、また子ども達が楽しみながら治療を行い、自信を取り戻す要となっています。

 また、ナミビアでは、キッズクラブと呼ばれる学童保育の運営を通じて、HIV感染症で親を失った孤児や貧困世帯の子ども達150人に対して、心理的支援と物資の提供を行いました。週2日の放課後、就学期にある子ども達に宿題の手伝いやお絵描きを通じた心のケアを実施するほか、軽食の提供、マットレスや毛布などの衛生用品、そして特に重度な貧困世帯や新型コロナの影響で経済的に困窮する世帯の子ども達に対しては、安心して眠ることのできる住まいの建設や食糧パックを配付しています。

 しかし、支援が必要なすべての子ども達に手を差し伸べられるというわけではありません。新型コロナの影響などで支援が必要な子どもの数が増加する一方で、物資や食事の支援は定員数に限られ、それ以外の子ども達に行き渡る余裕がないのです。貧困と空腹に耐える他の子ども達にも支援が行き渡るよう、本プロジェクトを通じて支援の拡充を目指しています。

画像 シレレ診療所内にて順番に並んで物資を受け取る子ども達(C)連盟

画像 キッズクラブにてふるまわれる給食に満面の笑み(C)連盟

困難な中で誰ひとり取り残さない

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障害を持つ人々から話を聞くブルンジ赤ボランティア(C)連盟

 新型コロナ以前、ブルンジでは保健や防災に関するアニメ映画を上映して、疫病や災害を未然に防ぐ教育を行っていました。しかし、新型コロナの感染拡大で不特定多数の人が集まる集会が制限されたため、ブルンジ赤十字社が導入したのがフォーカスグループディスカッションという取り組みです。対象となるのは、アルビノやバツワと呼ばれる人々、障害を持つ人々など、ブルンジで社会的に差別をされてきたコミュニティ。ボランティアによる訪問を通じて、新型コロナに関する情報や予防策を伝えたり、彼らの直面する課題や意見を聞き、活動に反映することで、ブルンジ国民の一員としての誇りと自信を醸成することに繋がっています。

ルワンダのラジオと赤十字の役割

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ルワンダの農村でラジオを聞く住民とボランティア(C)ルワンダ赤十字社

 1994年4月7日から約100日間で数十万人から百万人ともいわれる人々の命が奪われたとされるルワンダでの内戦。読者の皆さんは、その際、ラジオを通じて人々に暴力行為を扇動する放送が流され、放送を耳にした人々が殺りくに加担したことをご存知でしょうか。それから、四半世紀以上が経過した今でも、ルワンダ人の主な情報源はラジオで、国民の8割以上がラジオから情報を得ています。

 その一方で、国営や民営など一般のラジオ放送を通じた情報発信は一方通行になりがちです。声を挙げられない視聴者の声を聞き、本当に必要な情報を伝えるにはどうすれば良いのか。この問いに、赤十字は画期的な工夫をして解決にあたっています。カギとなるのは現地のボランティア。彼らは人々が一般のラジオを通じて感じた不安や誤解、不信感などを聞き取り、連盟や現地の赤十字社に伝えます。さらに、現地ボランティアは、スピーカーを積んだ巡回宣伝カーで地域全体に回ったり、車の入れないところにはメガホンを持って徒歩で巡回しながら、住民の疑問への答えや本当に必要な情報を持ち帰って分かりやすく伝え、双方向のコミュニケーション作りに貢献しているのです。

 日赤は引き続き、アフリカの人々が正確な情報をもとに、お互いが助け合えるような社会の実現を支援していきます。
 

日本赤十字社では、賛同してくださるパートナー企業・団体・個人の皆さまを募集中です。

(*)ご支援のかたちは、パートナー企業の従業員の家庭で誕生した赤ちゃんの数に応じたご寄付や、従業員または顧客等からの募金を通じてご支援を頂くなど様々です。また、個人の皆さまからはYahoo Japanネット募金(QRコードからアクセスできます!)にて受付けております。企業・団体、個人の方のご参加をお待ちしています。

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<お問い合わせはこちら>

日本赤十字社 国際部 開発協力課

産休サンキュープロジェクト担当

電話:03-3438-3111(代表)

E-mail:sankyuthankyou@jrc.or.jp

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