2023年の内戦により、スーダンでは15万人以上が戦闘により命を奪われた危機的状況にもかかわらず、「忘れられた紛争」と言われるほど、世界からの支援が足りていない現実があります。
国内全18州に支部を持つスーダン赤新月社(以下、スーダン赤)は、紛争初日からこれまでに、延べ9000人以上のボランティアと共に、絶え間ない人道支援活動を続けています。救急搬送や応急処置、食料や水の配布、避難支援、家族との再会支援など、約135万人に対して支援を提供してきました。2023年4月には、北ハルツームのスーダン赤支部の倉庫に何者かが侵入し、救急車両や物資が奪われる事件が発生した他、2025年にはスーダン赤のボランティア5人が活動中に襲撃を受け殺害されました。
スーダン赤のボランティアで看護師のワジダンさんは、「2023年の紛争以後、私は国民として、ボランティアとして、これまでの人生で最もつらい体験をしました」と語ります。彼女は、避難民キャンプで暮らす子どものケアや食事の配布に携わる中で、爆弾でひどいけがを負った人々の姿や、家族を失った人々が訴える悲しみなど、多くの凄惨な出来事に直面してきました。今なおその状況は続きますが、多くのボランティアが諦めることなく、この人道危機に対応しています。
また、赤十字国際委員会(ICRC)では、戦傷者の治療にあたる国内88カ所の病院施設の支援や、水道の復旧支援、国内避難民に対する緊急生計支援などを行っています。ミリアナ・スポリアリッチICRC総裁は「国際社会はスーダンの民間人が想像を絶する恐怖に耐えているのに見て見ぬふりをしてきました」と批判。「民間人は残酷な攻撃や横行する性暴力、必要不可欠なサービスに対する故意の攻撃にさらされています」と指摘した上で、「スーダンの人々の運命は、この残虐行為を食い止めるための断固たる行動にかかっています。民間人が安全や尊厳を奪われ、民間人を守るべき戦争のルールが踏みにじられているのを、世界は傍観してはなりません」と訴えています。
ICRC保護要員として駐在する日本人職員・淡路愛さんは、「人道危機のスケールがあまりにも大きく、援助が追いつかないのが現状。それでも、私たちが提案する支援に喜び、涙する人々の姿が救いです」とも。一人でも多くの人がこの「忘れられた紛争」に関心を寄せることが、スーダンの人々の救済につながります。











