台湾花蓮県は、昨年の4月に台湾東部沖沿岸で発生したマグニチュード7.4の大地震の影響で、観光地の太魯閣(タロコ)渓谷が大規模な地滑りと落石を起こして閉鎖された他、建物の倒壊や土砂災害によって18人の犠牲者と1100人以上の負傷者を出すなど、大きな被害を受けました。
地震から1年以上経過し、懸命な復興活動が続けられている最中、今年9月22日から23日にかけて、大型台風18号が台湾南部を通過。
それに伴う大雨の影響で、23日午後3時頃に県内の河川・馬太鞍渓(ファンタアンけい)の上流にあるせき止め湖が決壊し、推定6000万トンの水がいっきに下流へ押し寄せました。大量の泥水が堤防を越えて下流の地域を襲い、馬太鞍渓橋を崩壊させ多くの住民が逃げきれず、家屋に取り残される危機的状況に。このときの様子を、「まるで津波のようだった」と住民は話します。
台湾赤十字組織(以下、台湾赤)は、知らせを受けて直ちに緊急対応を開始。花蓮県の救助ボランティアの隊員15人が3隻のゴムボート、5台の車両に分かれて被災地へ向かいました。ボランティアとして、日ごろから訓練を重ねる精鋭揃いの救助隊は、同日夕方には被災地に到着し、消防本部から得た行方不明者リストを元に捜索を行い、91歳の高齢女性をはじめ、次々と被災者の救命に成功。深夜3時まで捜索を続け、翌朝8時には再び任務に当たるなど、1人でも多くの命を救うために懸命の救助活動を行いました。
また、台北からも、台湾赤職員と水上安全ボランティア7人の支援隊が2艇のモーターボートを積んで花蓮県へ急行。ボランティアたちは救助隊と協力し、家屋の2階以上に取り残された住民の救出に当たりました。

泥水が急激に上昇したため、多くの住民は靴を履く暇もなく裸足で避難。特に高齢者は、泥に足を取られて歩行すら困難な状況。赤十字ボランティアたちは、そのような高齢者や住民らを支えながら歩行を助け、ときには背負って安全な場所まで運びました。
救命救助のみならず、物資支援も即時に開始。発災当日には、緊急避難所となっている小学校に寝袋100個、衛生キット66セット、毛布200枚をいち早く届けました。その後も、9月27日までに寝袋267個、日用品セット126組、毛布500枚、寝具マット450枚の物資を配布するなど、被災者のニーズに合わせた支援を続けています。




