シリーズ「モデル奉仕団」 奈良県川西町赤十字奉仕団

「モデル奉仕団」とは、社会情勢の変化に即応して、より一層赤十字奉仕団活動の充実強化が期待されること受けて、昭和58年に実施要領を定めたものです。以来多くの奉仕団がモデル奉仕団として指定を受け、指定期間中、重点的に推進しようとする活動を行ってきました。例えば、令和2年度は、15支部52奉仕団が指定を受け、活動を行いました。
その中からいくつかをご紹介します。

奈良県川西町赤十字奉仕団

奈良県川西町は、大和盆地のほぼ中央に位置し、3つの川が集まり、大和川へ注いでいる水辺の町です。古くから水運や農業の町として発展してきました。町には、「島の山古墳」や「筋違い道」などの文化遺産があり、能楽「観世流」の発祥の里としても知られています。

団員122名の川西町赤十字奉仕団は、普段から地域清掃や高齢者施設での交流会、高齢者へのお弁当配食、献血推進、など様々な活動に取り組んでいます。モデル奉仕団としては、「地域とともに歩む日赤奉仕団」を活動名に掲げ、令和元年度から令和3年度までの3年間活動を行いました(報告書はこちらをご覧ください)

1年目は「いざというときのためにやってみよう!防災」と題して、「水害」「避難」「非常食」について、3回連続での「防災講座」を実施しました。
水害をテーマにした防災講座では、川西町の地形で大雨の予想水位を映像化したものをつかって学習。以前、大きな水害があった岡山県真備町と似ているが川西町には高台がないので、最新のハザードマップを参考に安全な場所に避難することが大切ということを学びました。また、2回目の「避難」の回では、車椅子避難やアイマスクをして視覚障害者の介助方法などを学びました。

20220506-66f49a444042352e67654f758763bdb6d148a431.jpg

クリアファイルでマスクケースづくり講座

2年目では別の企画を計画しましたが、新型コロナウイルス染症拡大の状況などを鑑み、代替企画として、婦人会・民生児童委員を対象とした「クリアファイルでマスクケースづくり講座」を行いました。感染症拡大の状況に配慮し、一度の参加者を10名程度に抑え、複数回に分けて実施しました。昨今では、外出の際に必須となるマスクを、食事や運動のタイミングで外した際に、その置き場や保管方法に悩んでいたという参加者の方もみえ、合計69名の方にご参加いただくことができました。

20220506-bec4c2baf78938e0411c22557a8499dc51e79c21.jpg

新型コロナウイルス感染防止啓発品作成

また、幼稚園に出向き、「防災教室」として紙芝居や青少年十字防災教育プログラム「ぼうさいまちがいさがし きけんはっけん!」を使用した講座を行う準備をしていました。しかしながら、こちらも残念ながら中止することとなり、代替として幼稚園に通う園児たちの保護者に献血啓発活動の一環として、ハンドタオル、折り紙で作成した「はらぺこあおむし」、「献血のことを知っていますか?」と題したチラシ等の配布を行いました。

20220506-32623dc32b95d88bc813767e733edca7fe9fcd37.jpg

幼稚園でのハンドタオル・献血協力チラシの配布

3年目の令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大がづき、「防災講座」の代替案として実施し、好評をいただいた「マスクケース」を団員で協力して400枚作成。当初は「さくらまつり」での配布を計画していましたが、あいにくの中止が決定したため、新型コロナウイルスワクチン接種会場での配布を行いました。

20220506-7c82f222bc1b54190b6c8922f95cb3778e95645b.JPG

ワクチン接種会場でのマスクケース配布

また、避難所支援講習会では、段ボールベッド組み立てを体験したり、新聞紙でスリッパ作りも行いました。令和4年1月にはいって行われた防災講座は2部に分けて行われ、第1部として実施した「水が出ない!!どうしよう?」では、2リットルのペットボトルを数本入れたリュックサックやキャリーバッグを運んでみたり、バケツに新聞紙や凝固剤を入れた簡易トイレを作ってみたりしました。第2部は「地震に備えよう!!地震が起こると川西町はどうなる?」と題して、ローリングストック法を用いた備蓄のコツなどを学びました。

20220506-8913871417146db668ab70325f0844938e09a09d.JPG

体験を通して学んだ防災講座

さらに、私たちは寒い時期におなじみの使い捨てカイロの回も行っています。通常はゴミとして処分するしかない使用済みの使い捨てカイロをリサイクルし、ヘドロがあるような水質の悪い自然環境を改善する取り組みを行っている団体へ発送することで、環境改善への支援を行っています。
令和2年度に引き続き、地元の式下中学校も活動に参加しており、約220kgの使い捨てカイロが回収できました。

 当初予定していた内容も、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、変更を余儀なくされることが多々ありました。しかしながら、コロナ禍において、その時に必要とされていること、求められていることに注目し、感染防止対策を十分に行った上で、社会状況に応じた活動をすることが出来ました。

川西町赤十字奉仕団の取り組みはまだまだ続きます。