シリーズ「モデル奉仕団」 さぬき市赤十字奉仕団

 「モデル奉仕団」とは、社会情勢の変化に即応して、より一層赤十字奉仕団活動の充実強化が期待されること受けて、昭和58年に実施要領を定めたものです。以来多くの奉仕団がモデル奉仕団として指定を受け、指定期間中、重点的に推進しようとする活動を行ってきました。例えば、令和2年度は、15支部52奉仕団が指定を受け、活動を行っています。その中からいくつかをご紹介します。

さぬき市赤十字奉仕団

香川県さぬき市は、人口4万7,000人の市です。12地区に分かれているうち、10地区に赤十字奉仕団の分団があり、290人が団員として活動しています。

近年の多発する災害において、長期の避難所生活や、自宅に戻れず仮住まいを余儀なくされる方がいます。このような大災害が起こった時には、お弁当や軽食ばかりでなく、地域の炊き出し活動が大きな役割を発揮します。香川県支部では、平成30年に、「なん炊っきょんな非常食炊き出しレシピ集」※を作成しています。さぬき市赤十字奉仕団ではこれを活用して、炊き出しメニューを地域に広めていきたいと考え、モデル奉仕団へ申し込みました。
※「なん炊っきょんな」とは、地域のことばで「なにを炊いているんですか?」という意味です。


令和2年度からモデル奉仕団となり、まずは災害に備えて今できることを目標に、3年間の活動を計画しました。計画の作成にあたっては青少年赤十字 防災教育プログラム「まもるいのち ひろめるぼうさい」の内容を参考にして、新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威を奮う中、自分たちができる活動を考えました。

【1年目:令和2年】
1.さぬき市にある 10の奉仕団に「なん炊っきょんな 非常食炊き出しレシピ集」の中から料理実習をしました。

画像 実習メニュー:ちりめんご飯、肉じゃが、りんごのコンポート

2. 子ども用マスクが少ないことを聞き、さぬき市にある7つの小学校にマスクを配布しました。
特に小児用のマスクが少ないということで、2,100人に市販の子ども用マスクを2枚ずつ配布しました。

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3. 絵本『みんながヒーロー』を紙芝居に仕立て、研修会などでわかりやすく説明しました。この絵本は新型コロナウイルス感染症の知識とメンタルヘルスの保ち方について子ども向けに紹介する物語です。きっかけは、高松赤十字病院 医療社会事業課 島津昌代公認心理師/臨床心理士が奉仕団向け研修でこの絵本を紹介したことでした。絵本のメッセージに共感した団員が発案して、紙芝居の作成に至りました。

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【2年目:令和3年】
 1.さぬき市にある10の奉仕団に、非常用炊き出し袋(ハイゼックス)を使った調理方法を習得するため、料理実習を行いました。お米(主食)のメニューだけではなく、煮込み料理(主菜)や甘いもの(デザート)まで幅広く調理しました。

画像 実習メニュー:ケチャップライス、ポトフ、ほっこりぬくぬく小豆島ぜんざい

2.毎年各地区の自治会や社協が協力して実施している避難訓練に参加し、奉仕団員が炊き出しを行っていました。コロナ禍で開催がなかった令和3年は、非常用炊き出し袋を使って料理実習を行い、調理方法を団員に知ってもらえるよう努めました。

3. コロナ禍で献血不足が深刻な状況となっているため、献血推進活動を行いました。

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課題として挙がっているのが、炊き出しにおける感染症のリスクについてです。1年目の活動は、感染症拡大防止のため、活動を中止せざるを得ない時期がありました。しかし、2年目は、少人数で行うこと、健康チェック、検温、手洗い、資機材の消毒など、感染症対策を徹底することで、活動を続けることができました。

3年目の活動としては、炊き出し袋の利点・欠点を理解し、災害時、実際に食事が作れるよう、防災訓練等で地域奉仕団員へ炊き出しレシピを広めていきたいと思っています。また、簡単で美味しくできる炊き出しレシピを考案していきます。

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また、「避難所生活での歯の健康」について学習し、災害時においても健康を保つための活動にも取り組んでいきたいと考えています。

さぬき市赤十字奉仕団の取り組みはまだまだ続きます。