国民の5割、防災の日の由来「知らない」。「将来災害に遭うかもしれない」と考えるのは「半年に1回以下」が54.5%

関東大震災から100年を迎えるタイミングで日赤が国民の防災意識を調査

 日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、本年9月1日(金)に発災から100年となる関東大震災においても、発災当日から救護班を派遣し延べ200万人超の救護に当たり、今も国内外を問わず活動を続けています。
 本年も各地で地震や豪雨による災害が発生し、「いつ、どこで自然災害に遭うか分からない」状況が深まる一方、過去の災害記録や経験の伝承など世代によって防災に対する意識にも差が生まれつつあります。
 まもなく迫る「防災の日」、またその由来となった関東大震災100年を機に、現代を生きる国民の防災意識や備えの実態について、全国の男女合計1,200名を対象に実施しましたので、その結果をお知らせいたします。

<調査結果のハイライト>

  • 9 月 1 日の防災の日が、1923 年に起きた関東大震災に由来することを「知らなかった」国民は 49.2%にのぼる。年代別に見ると、10 代 46.0%、20 代 56.0%、30 代 69.0%、40 代 50.5%、50 代 38.0%、60 代 34.6%、70 代以上 38.6%と、若年世代ほど由来を理解していない人が多くなっている。【図 1】
    また関東大震災については、「どのような災害か内容までは知らない(35.9%)」「全く知らない(8.4%)」と、4 割を超える国民にとって、過去の大規模災害に対する歴史認識が薄れている状況が判明した。【図 2】
  • 「近い将来、自然災害に遭うかもしれない」と考える頻度は、最も多いもので「月に 1 度くらいの頻度(26.1%)」という結果となった。次いで「半年に 1 度くらい(25.3%)」「もっと少ない頻度(19.4%)」と続いた。「考えることはない(9.8%)」まで含めると、半年に 1 度より少ない頻度の割合は 5 割を超え、日常生活において災害発生を想定する機会があまりない実態が見られる。【図 3】
  • 今住んでいる地域における防災対策については、「居住する地域の避難場所の確認(50.3%)」が最も多く、「居住する地域のハザードマップの確認(45.4%)」が続いた。それ以下では、「居住する地域の避難場所までの経路の確認」が 23.6%と大きく数値が減少し、「何も対策はしていない」と回答した人は 23.9%と、4 人に 1人は無策であった。【図4】
    また住んでいる地域で開催される防災訓練には「1 度も参加したことはない」と回答する人は 70.8%にのぼり、地域とのつながりの薄れも示唆された。【図5】
  • 現在取り組んでいる防災への備えのうち、「家庭の防災備蓄品」については「十分に備えている(9.0%)」「十分ではないが、一応備えている(59.7%)」と、7 割近い人は何かしらの備蓄をしていることが分かった。一方、「外出時に持ち歩く防災グッズ」では「何も備えていない」が 63.4%という結果であり、外出時に被災するかもしれないとの意識は持てていないような姿が見られる。【図6】
    家庭で防災備蓄を用意するきっかけとしては、「災害が発生したニュースを見たとき」が 32.8%と最も多い。次いで「常に防災備蓄を備えている(25.2%)」「防災を呼びかける情報に触れたとき(18.1%)」と、何かしらの情報に接触する機会が防災意識に影響を与えている可能性が考えられる。【図7】
  • 災害への備えを考える際に、信頼し影響を受ける情報としては、「テレビ」が 69.7%と最も多く、次いで「インターネット(44.0%)」「自治体など公的機関(38.6%)」と続き、速報性の高さや正確な情報を求めている様子が伺える。【図8】

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 今回の調査から、発災から 100 年が経過した関東大震災について、国民に馴染みのある防災の日の由来になっていることや、その災害内容について、20~30 代を中心に認識が薄れている姿が浮き彫りになり、過去の災害から学ぶことや伝承することの難しさも見られます。
 また日本の各地で震災や水害が発生している現在においても、「自分が災害に遭うかもしれない」と考えながら生活している人は一部に限られ、多くの国民にとってはまだまだ「自分事」として捉えることはできてないのではないでしょうか。それを受けてか、居住地での防災対策や、避難訓練への参加など、身近な場所での防災・減災の行動について、特に若年世代(20~30 代)は取り組みが進んでいないようです。
 災害への備えを考えるきっかけとして、テレビやインターネットなど速報性の高いメディア、また公的機関など正確性の高い情報源から影響を受けると回答した一方で、約3割が家庭の防災備蓄品を備えておらず、さらに、防災グッズを持ち歩く人は少数で、外出時に災害に遭うかもしれないと意識している人は一部に限られるようです。
 首都直下地震や南海トラフ地震の発生が予想されるなか、私たち日赤も、災害発生時のみならず、平時から防災・減災に関する啓発活動に取り組み、国民の意識向上に貢献していきたいと考えています。

<防災・減災に関する日赤の取り組み>

■全国広報キャンペーン「ACTION!防災・減災」

 日赤では、本年4月から上白石萌音さんが広報アンバサダーに就任し、スローガン「赤十字は、動いてる!」のもと、テレビ CM やポスター、キャンペーン特設サイト等で、365 日「動き続ける」日赤の人道支援活動を伝えています。
 世の中で「防災」への興味・関心が高まる9月は、WEB CM 等を通じて「災害への備え」を啓発するキャンペーンを展開します。WEB CM では、上白石萌音さんが地域の防災について考える「災害図上訓練(DIG)」というゲームを体験している様子を収録し、日赤の防災・減災に関する活動を伝えています。
キャンペーン期間:令和5年9月1日~30日
特設サイト:https://www.jrc.or.jp/lp/save365/

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■9月1日からスタート!赤十字防災セミナーの新カリキュラム「ひなんじょ たいけん」

  

 日赤では、地域の方々を対象に「赤十字防災セミナー」を開催しています。同セミナーのカリキュラムに、避難所での出来事を体験するゲーム「ひなんじょ たいけん」が、9 月 1 日から新たに加わります。
 参加者は、大地震が発生した想定で、避難所で起こるさまざまな出来事や課題に対処するカードゲームに挑戦。避難所での心掛けなどについて、ゲーム感覚で楽しく学ぶことができます。

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避難者に模したカード配置を協議する様子
(ひなんじょ たいけん)

<調査概要>

調査名  防災の日に関する意識と実態調査(2023年)
調査対象 10代/20代/30代/40代/50代/60代以上の男女各100名、合計1,200名
調査方法 インターネット調査(楽天インサイト)
調査機関 2023年7月25日~28日
※その他詳細なデータについては、日本赤十字社広報室にお問い合わせください。
※本調査を引用する場合は「2023年日赤調べ」もしくは「日本赤十字社『防災の日に関する意識と実態調査(2023年)』」と記載ください。

本件に関するお問合せ先

日本赤十字社 広報室(メディアの方へ): https://www.jrc.or.jp/media/