2024年台湾東部沖地震救援事業
2024年4月3日午前7時58分(日本時間午前8時58分)、台湾の東部沖沿岸を震源としたマグニチュード7.4の地震が発生。花蓮市で震度6強を記録したほか、広い範囲で揺れが発生し、日本の沖縄、フィリピン沖でも津波警報が発出されるなど、大きな影響を及ぼしました。震源に近い観光地の太魯閣(タロコ)渓谷では、大規模な地滑りや落石が発生し、一時数百人が孤立状態に。さらに、地震後に雨が降ったことで、行方不明者の捜索・救助活動が難航しました。

倒れかけている花蓮県の高層ビル©TRCO
この地震では、20名が犠牲となり、1,100名以上が負傷するなど、多くの人々が被災しました。震源地に近い花蓮県や台湾北部の新北市では、建物や自然環境にも甚大な被害が発生しました。花蓮市街地では高層ビルの傾斜や倒壊などにより452棟の建物が損壊し、2,200世帯を超える住宅で解体や修繕が必要な状況となりました。
日本赤十字社の対応
日本赤十字社(以下、日赤)は、台湾赤十字組織(以下、台湾赤)の救援・復興支援活動および防災活動を支援するため、2024年4月5日~6月28日まで「2024年台湾東部沖地震救援金」を募集し、合計28億9,825万6,045円もの支援が寄せられました。多くの皆さまからの温かなご支援に、心より感謝申し上げます。
令和6年6月末から7月初旬にかけて、日赤職員が台湾の被災地と支援予定地および、台湾赤本社を訪問し、被災状況や支援ニーズを確認するとともに、台湾赤と今後の救援・復興支援について協議しました。その結果、「台湾東部沖地震対応基本計画」を策定し、台湾赤との二国間支援事業を決定しました。皆さまからお寄せいただいた海外救援金をもとに、日赤は台湾赤に対して28億2,200万円の資金援助を実施し、発災直後の捜索・救助などから、その後の復興支援まで、台湾赤の活動を支えています。 (令和8年3月時点)

損壊被害を受けた水璉消防署を訪問©TRCO

和平村の緊急避難所の建設予定地を視察©TRCO
台湾赤十字組織の救援・復興支援活動計画とこれまでの実績 (2026年3月時点)
1.緊急救援
花蓮県の高層ビルで救助活動を行う災害対応チーム©TRCO
地震発生直後、台湾赤は花蓮県消防局と連携し、被災者や行方不明者の捜索・救助活動を支援しました。4月3日から30日までの間に、148名の救助要員を現地に派遣。さらに、避難生活を送る被災者のために46張のテントと100枚の毛布を提供し、発災直後の命を守る緊急支援に取り組みました。
2. 犠牲者のご遺族・負傷者への支援

帰省中に被災した女性から、防災対策の重要性について話を聞く台湾赤スタッフ©TRCO
地震によって大切な家族を失ったご遺族や、負傷して入院した人びとの経済的な負担を少しでも軽減するため、台湾赤は直接支援を行いました。犠牲者のご遺族20世帯を訪問して弔慰金を届けるとともに、地震で負傷した24名に支援金を支給。被災後の不安な生活を支える、きめ細かな支援を実施しました。
3. 家庭用品購入のための引換券配付/住宅修繕のための補助金配付

花蓮県のみならず新北市でも住宅が損壊した被災世帯に、生活支援券を配布©TRCO
地震で住宅に大きな被害を受けた世帯が、必要な生活用品をそろえたり、住まいを修繕したりできるよう、台湾赤は経済的な支援を行いました。深刻な被害を受けた610世帯には、1世帯あたり3万台湾ドル(約15万円相当)の生活用品購入券を支給しました。また、中程度の被害を受けた1,067世帯には、1万5,000台湾ドル(約7.5万円相当)の修繕補助金を支給し、住まいの復旧を後押ししました。
4. 生活支援(食料支援等)

花蓮県で生産・加工された農産物を含む食料ボックスを準備する台湾赤スタッフ。被災地域の農家への支援にもつながっている©TRCO
地震や余震、豪雨による土砂災害などの影響で生活に困難を抱える被災者に対し、台湾赤は住まいや食料、生計など幅広い支援を行っています。収入を失った10世帯への緊急生計支援や、生活に困窮する家庭への食費・衣類・通学費などを補助しました。さらに、花蓮産農産物を活用した食料ボックス3,000箱を届け、被災者と地元農家の双方を支えました。
5. 教育支援(学費補助等)

ゲーム的手法を取り入れた学習を通して語学力とデジタルリテラシーの両方の向上を図る@TRCO
地震の影響を受けた子どもたちが、経済的な理由で学びをあきらめることがないよう、台湾赤は教育支援も行っています。2025年12月までに、花蓮県内の小・中・高校生など1,805人に総額570万台湾ドルを超える教育費を助成しました。さらに、理科教育やオンライン英語学習、スポーツ・芸術活動などへの支援を通じて、子どもたちの学びと成長の機会を支えています。
6. 台湾の祝祭における支援

再会と祝福を象徴する中秋節に、被災した家庭へメッセージを添えた贈り物を届ける台湾赤スタッフ©TRCO
被災後の生活を支えるだけでなく、人びとの笑顔を取り戻すことも復興には大切です。台湾赤は、地域団体とも連携し、中秋節などの季節の行事に食料や生活必需品を含む支援物資と祝日の贈り物を送るなどの支援を続けています。また、被災者や生活に困難を抱える家庭に寄り添い、地域のつながりを支えています。
7. 仮設住宅支援

仮設住宅は公園や公共交通機関、生活施設に近接した立地で、安定と希望を育む一時的な避難所として設計されている©TRCO
地震で住まいを失い、住宅の修繕や再建に時間がかかる世帯が安心して生活できるよう、台湾赤は花蓮県政府と連携して30世帯分のモジュール式仮設住宅を建築しました。さらに家具や家電も整備し、入居後すぐに生活を始められる環境を整えました。(2025年11月に完成)
8. 地域を支える社会インフラ施設の建設支援
台湾赤は、花蓮県政府と連携し、災害に強い地域づくりを目指して2つの社会インフラ整備を支援しています。和平村では、平時には地域活動、災害時は避難所や救援拠点となるコミュニティセンターを建設。また、水連村では地域の緊急対応力を高める消防署分署の整備を進めています。両施設は2026年末の完成を予定しており、地域の防災力とレジリエンス(回復力)の向上に大きく寄与することが期待されています。

花蓮県水連消防署 完成予定図©TRCO

和平村避難所兼コミュニティセンター 完成予定図©TRCO
9. 青少年の防災知識の向上

防災キャンプの修了者は花蓮県の小学校で、小学生に基本的な災害意識と対応スキルを指導する役割を担う©TROC
災害に備え、地域を支える若い世代を育てるため、台湾赤は青少年向けの防災教育や地域活動を行っています。防災トレーニングなどを通じて93名の若者を育成し、その修了者たちは花蓮県内10校以上の小学校で防災教室を実施して、153名の小学生に防災の知識を伝えました。また、救急法講習やボランティア活動、海外交流なども行い、防災力と社会貢献への意識を育んでいます。
10. 救護体制の強化、防災支援

多様な地形での複雑な救助に備えるために高度なロープ技術を学ぶボランティア©TRCO
災害が起きたときに地域の人びとが自ら身を守り、助け合えるよう、台湾赤は防災・減災や緊急対応に関する人材育成を進めています。2025年末までに94回の研修を実施し、延べ4,642人が参加しました。地域住民向けの防災訓練に加え、捜索救助チームを対象に、都市型捜索救助やロープ救助、ドローン運用などの専門研修を28回実施し、延べ700人の技術向上を支援しました。
11. 救急法等講習の実施

防災キャンプに参加する子どもたち。彼らは家に帰って学んだことを家族に伝えると語っている@TRCO
いざというときに一人でも多くの命を救えるよう、台湾赤は応急手当や水難救助、医療対応などの知識・技術を学ぶ研修を実施しています。2025年までに13回の研修を開催し、延べ479人が参加しました。救急救命士レベル1(EMT-1)や指導員向け研修、二次救命処置(ACLS)など専門的な講習に加え、子ども向けの救急法キャンプも行い、幅広い世代への救命知識の普及を進めています。
12. 台湾赤の組織強化等

国際合同訓練等を通じて組織の能力向上と地域協力の推進に取り組む©TRCO
災害が起きたときに迅速かつ確実に支援を届けるためには、現場で活動する人材だけでなく、組織そのものの力を高めることも重要です。台湾赤は、人材育成やガバナンスの強化、IT基盤の整備、情報システムの改善などに取り組んでいます。また、国際合同救助訓練への参加や国際人道法の普及活動などを通じて、専門性と国際的な連携を高め、持続的な人道支援を支える組織づくりを進めています。
13. 2025年 花蓮県馬太鞍(マタイアン)渓の堰止湖決壊による洪水災害支援
2025年9月、花蓮県で発生した洪水災害では、多くの住宅が被害を受け、生活再建に必要な家電も不足しました。台湾赤は、日赤からの資金援助(海外送金)を実施した際に生じた約782万台湾ドルの為替差益について、日赤の合意を得たうえで復旧支援に活用しました。行政からの要請のもと、企業と連携し、同年11月には4つの村の400世帯以上に冷蔵庫を届け、被災した家庭が再び自宅で食事を作り、日常の暮らしを取り戻すことを後押ししました。

馬太鞍渓の氾濫により、大量の流木や泥に覆われた街並み©TRCO

寄贈された冷蔵庫が届けられ、日常生活の再建が進む被災者©TRCO
訓練が地域の命を守る力に - 花蓮県光復郷大馬村
台湾東部・花蓮県光復郷の大馬村では、洪水が発生する数か月前、台湾赤の支援を受け、住民主体の防災訓練を繰り返し行っていました。住民は、避難や応急手当、救援物資の配付方法などを実践的に学び、災害への備えを進めていました。
2026年9月23日に洪水警報が発令されると、村長が住民に避難を呼びかけ、住民は貴重品や常備薬を持って落ち着いて避難しました。その結果、大馬村では負傷者が一人も出ませんでした。この経験は、平時からの訓練が、いざというときに命を守る行動につながることを示しています。村長は「防災の重要性を地域全体で理解し、訓練を続けていきたい」と話しています。災害に備える訓練と被災後の生活再建支援。台湾赤はその両方を行うことで、地域の暮らしと復興を支えています。

インタビューの中で、すべての支援者と寄付者に深い感謝の意を述べる大馬村の村長©TRCO
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海外救援金の受付について
「2024年台湾東部沖地震救援金」の受け付けは、2024年6月28日をもって終了いたしました。
受付金額:28億9,825万6,045円
皆さまからの温かいご支援、誠にありがとうございました。
本救援金は、台湾赤十字組織が行う救援・復興支援活動及び防災・減災事業等に使用されます。