【速報9】イスラエル・ガザ人道危機:アルクッズ病院48時間以内に燃料切れ、医療活動の継続が困難に

※記事には現場の状況を示すセンシティブな画像・映像が含まれます。閲覧にはご注意ください。

 大規模な衝突から一カ月が経ちました。イスラエルの人質は解放されず、ガザ地区は過酷な爆撃と地上攻撃が続き、危機的な人道状況が続いています。イスラエル側の死者は1,400人以上、パレスチナ側の死者は1万人を超えました(うち4割以上が18歳以下)。日本赤十字社が2019年から支援しているアルクッズ病院(ガザの主要病院のひとつ)も医療提供が限界を迎えつつあります。24時間稼働させずに時間を区切って燃料を使い、ガザ域内の赤十字国際委員会による備蓄の支援を受けて耐えてきましたが、11月6日、ついにまもなく稼働ができなくなるとの声明が出されました。

パレスチナ赤新月社からの緊急声明(11月6日発表)

 パレスチナ赤新月社は、ガザ市とガザ北部地域に必要な援助と物資を提供するよう、国際社会に緊急に呼びかけます。医療サービス、特にアルクッズ病院とこれらの地域の救急サービスを維持するために残された資源を守ることは極めて重要です。状況は危機的で、一刻を争うものです。

 救急車や救急サービス、アルクッズ病院の稼働、避難民の救援に必要不可欠な資源は依然ガザ地区内に届いておらず、さし迫った脅威となっています。アルクッズ病院の備蓄燃料は48時間以内に底をつき、救命機器、新生児用保育器、集中治療室は機能しなくなります。さらに、医療物資や医薬品の不足が深刻で、医療スタッフ、患者、負傷者のための食料や飲料水も著しく不足しています。さらに、14,000人以上の避難民が攻撃により家を追われ、3週間以上、病院の敷地内に居住している状態です。

 ガザ地区全般、特にガザ市と北部地域に対する攻撃と空爆が激しさを増し、ほぼ1か月間にわたり、これらの地域の状況は日に日に悪化しています。住宅、インフラ、公共施設に対する継続的かつ無差別的な標的と破壊があり、ガザ市南部に位置するアルクッズ病院を含む複数の病院が継続的に被害を受けています。病院周辺では1週間以上にわたり、建物からわずか50メートルの距離まで、激しい爆撃が行われている状態です。病院スタッフや患者、避難民の少なくとも60人が負傷し、病院の建物や救急車、救援車両にも大きな被害が出てきています。

画像 アルクッズ病院内、床で傷病者の手当をする病院スタッフ©PRCS

パレスチナ赤新月社 アル・ハティブ社長からの言葉

 パレスチナ赤新月社のユヌス・ニメル・アル・ハティブ社長(東日本大震災の赤十字復興支援会議(2018年)に資金提供社の代表として来日し、岩手、宮城、福島を訪問)は、この切迫した状況を前に、国際社会に対し、停戦と必要な人道支援の実現に向けた働きかけを訴えています(ビデオメッセージ)。

パレスチナ赤新月社からの訴えを受けて 国際社会ができること

 アルクッズ病院は周辺地域への絶え間ない砲撃や爆撃の中、患者や負傷者、避難民へのケアを続けています。日本赤十字社はこれまで、現地の状況や速報を継続的に発信し、皆様にイスラエル・ガザ人道危機の現状をお伝えしてきました。

多くの民間人が命を落としているこの状況は、到底看過できることではありません。

一刻も早く、この武力衝突を止め、国際人道法が守られる環境を確実にするために、国際社会は協力する必要があります。

このニュースを読んで頂いている皆様に、現場からの声を通じて、イスラエル・ガザ人道危機の現状と、国際社会が為すべきことが伝わることを願っております。

引き続き、みなさまのあたたかいご支援をお願い致します。

「イスラエル・ガザ人道危機救援金」

受付期間: 2023年10月17日(火)~2024年1月31日(水)

使途  : 赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟、イスラエル・ダビデの赤盾社、パレスチナ赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動等に使用されます。*周辺国等に人道危機が波及した場合には、その対応を含む。

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