【速報6】モロッコ地震:発災から1カ月、急がれる被災者の厳冬期対策。日赤から9000万円の追加資金援助を決定

2023年9月8日にマグニチュード6.8の地震が発生した北アフリカのモロッコは、発災から1カ月以上が経ちました。震源地付近のアトラス山脈は、モロッコの都市マラケシュの南西に位置し、同地震により大きな被害に見舞われました。3000人が命を落とし、数千人が負傷、倒壊・損壊した建物の数は56000棟を超えたとされています(10月6日時点、モロッコ政府発表)。被災者への支援は山間部の孤立した地域へも届きつつあるものの、依然としてアクセスが難しい場所もあり、さらには迫りくる冬の厳しい寒さへの備えと支援が急務となっています。

山間部の被災地に迫る冬と急がれる厳冬期対策

被災地に冬の足音が近づいています。被災地の標高は1500~2000メートルと非常に高い地域もあり、夜間はすでに気温が急激に下がっています。簡易的な避難所で過ごす人びとにとって寒さは特に厳しく、家を失ったり、避難を余儀なくされている人への暖かい避難場所の提供や、冬に向けた必需品の配布といった支援ニーズが拡大しています。

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モロッコ地震で被災した山間部の村©IFRC

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山間部の被災地に並ぶテントの仮設住居©IFRC

ライファさん(右写真奥)は自宅で被災したとき、妊娠9カ月でした。地震後に女の子を出産し、現在は自身の家族に加え、村の他の女性や子どもたちとテントに身を寄せあって暮らしています。落ち着いた暮らしを取り戻すため、家族と暮らせる住居が必要と話しています。

来る冬に向けた一刻も早い支援提供のため、現地ではモロッコ赤新月社が国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)の支援のもと、地元の公的機関と協力し、懸命な救援活動が続けられています。

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地震直後に出産したライファさんと新生児の女の子©IFRC

発災直後から支援を届けるモロッコ赤新月社

モロッコ赤新月社は、地震の発生直後から被災者の捜索・救護活動を開始し、巡回診療を展開したほか、必要な物資の配布や献血者募集の呼びかけ、心理社会的支援(こころのケア)の実施など幅広い支援を続けてきました。これまでに290名以上のボランティアが活動に従事し、5万人に必要な支援を提供しています。ボランティアはアクセスが難しい最もへき地の村へも支援を届けるなど、活動の生命線となっています。喫緊のニーズである厳冬期対策に加え、今後、中期的にはトイレやシャワーといった衛生環境の整備や、食料や水などの生活必需品の継続的な配布、医療サービスや心理社会的支援の提供等が求められています。

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ロバを使って山間部に支援を届けるモロッコ赤新月社©IFRC

日赤から9000万円の追加資金援助を決定

連盟は、モロッコ赤新月社の救援・復興活動を支援するため、1億スイスフラン(日本円で約160億円)の緊急救援アピール(資金援助要請)を発表し、地震による深刻な影響を受けた地域の50万人を対象に保健・医療支援や安全な水・衛生環境の整備、安全な避難場所や救援物資、食料、生活必需品の提供、生計支援、保護活動など、包括的な支援の実施を目指しています。

日本赤十字社は、現地の膨大な支援ニーズに対処し、また、被災者の生活再建に寄与するため、連盟の同アピールに対して9000万円の追加資金援助を決定しました。これにより、日本赤十字社から同アピールへの資金援助額の合計は1億2000万円となります。今後も被災地の最前線で被災者に寄り添い、継続的な支援を拡大・提供するモロッコ赤新月社、並びに国際赤十字と連携・調整を図りながら、現地で求められる支援を届けてまいります。引き続き「2023年モロッコ地震救援金」への温かなご協力をよろしくお願いいたします。

「2023年モロッコ地震救援金」

受付期間: 2023年9月12日(火)~2023年11月30日(木)

使 途 : 国際赤十字・赤新月社連盟、モロッコ赤新月社、日本赤十字社が行う救援・復興支援活動、防災・減災活動等に使用されます。

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