「地震大国」の日本とトルコ、国際シンポジウムを開催

 10月7日、赤十字国際シンポジウム「いのちを守り、暮らしをつなぐ ~関東大震災から100年、トルコ・シリア地震から半年~」をオンラインで開催しました。日本・トルコ合わせて250人を超える多くの方々にご参加いただき、基調講演、パネルディスカッションなどを通してお互いの知見や活動内容を共有する濃密な3時間となりました。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
 今回の赤十字国際ニュースでは、シンポジウムの様子をご報告します。

■地震大国として手を携える

 シンポジウムは、トルコとの時差を考慮して、日本時間午後3時(トルコ時間午前9時)、日本赤十字社(日赤)とトルコ赤新月社(トルコ赤)の社長、そしてそれぞれの社の研究・教育機関である「日本赤十字看護大学附属災害救護研究所」と「トルコ赤アカデミー」の所長らからの開会挨拶からスタートしました。1890年にまで遡る両国の交流や、災害発生後の「対応」から平時の「防災」へとシフトしつつある災害対応の国際潮流にも触れ、またトルコ側からは今年2月のトルコ・シリア地震の際に日本から寄せられた支援に対する感謝が述べられました。

 続く基調講演では、日赤からは丸山嘉一災害救護研究所情報企画連携室長が「関東大震災から100年 日本赤十字社の救護活動」、トルコ赤からはイブラヒム・オゼル災害管理・気候変動局長が「2023年トルコ・シリア地震における救援活動」とのテーマで発表を行いました。特に、災害時におけるトルコ赤の活動範囲は食料支援から物資や現金の給付、移動式トイレなどの衛生設備や通信設備の提供にまで及ぶという発表に、驚かれた日本の参加者も多かったかと思います。

 それぞれの強みは異なるかもしれませんが、共に平時から地域に根差した活動を行い、緊急時には現場でいち早く活動を展開し、そして被災された方々の自立までを支えるという使命を担っていることが改めて確認されました。

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■避難生活時の「医・食・住」

 パネルディスカッションでは、日赤とトルコ赤からそれぞれ二人ずつパネリストが参加しました。避難時における災害関連死やボランティア活動、食料支援など多彩なトピックについて活発な議論が交わされました。
 トルコ赤がこれまでに行った温かい食事の提供が4億2千万食を超えるということ、そしてトルコ赤のボランティア登録や管理がすべてオンラインで行われているという事実は、日本の視聴者には驚きを持って受け止められていました。そして、日本が現在直面する高齢化社会という課題は数十年後のトルコが経験するかもしれないという総括コメントは、トルコからの参加者にも新たな視点で伝わりました。
 人口構成や難民受け入れなど全く違った社会課題を持つ日本とトルコの両国が協働し、多角的な視点から地震という災害に立ち向かう新たな可能性が感じられました。

画像 パネリストの一人、トルコ赤のアルパー・ギュラー災害対応部長©日本赤十字社

■今後起こり得る災害に備えて

 赤十字・赤新月社として、これまでの災害対応から得た経験や教訓を共有、また学術的な側面から捉え直し、社会及び今後の人道支援に還元していくことを目的とした今回のシンポジウムでした。
 近い将来に「次の大地震」が発生すると予想されているのは日本だけではなく、トルコも同じです。地震の発生そのものを防ぐことはできませんが、地震が起こってしまった時に一つでも多くのいのちを守り、一つでも多くの暮らしをつなぐために、今後も活動を続けてまいります。

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1923年 関東大震災
皇居前広場救護所大テントの活動状況©日本赤十字社

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2023年 トルコ・シリア地震
温かい食事を準備するトルコ赤ボランティア©TRCS

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