【速報】ウクライナ南部ダム決壊: 赤十字の緊急救援と国際人道法

2023年6月6日の早朝、ウクライナ南部へルソン州のカホウカ水力発電所のダムが決壊し、大規模な洪水が発生しました。いくつかの地域では水位が8メートルを超えたことが報告され(ウクライナ赤十字社:6月7日時点)、人びとの避難や、飲料水や必要物資の運搬に影響が出ており、これまでに、少なくともヘルソン州の80の村が浸水し、40,000人以上が被災したともいわれています(OCHA:6月7日時点)。

洪水は今後一週間は続くと予測されていますが、同ダムは周辺州を含めたウクライナ南部の最大級の水源であることから、水が引いた後も同地域一体の飲料水や工業・農業用水への深刻な影響が続くことが懸念されています。

ウクライナ赤十字社は救援活動を実施中

ウクライナ赤十字社は、洪水の影響を直接受けている人たちの支援を最優先事項とし、ダムの決壊後すぐにへルソン州および周辺州の緊急対応チームを被災地域に派遣、昼夜を問わず救援活動を続けています。6月7日までに、地元当局と協力し、1,900人の避難を支援しました。その中には自力での移動が困難な79人も含まれていました。

画像 救命ボートで住民の避難を支援する赤十字スタッフ ©ウクライナ赤十字社

また、長引く洪水は、水源の汚染につながり、感染症などの病気を引き起こす可能性があります。ウクライナ赤十字社は、そのリスクを注意深く監視しながら、被災したコミュニティに対して、健康リスク・水を媒介とする病気に関する情報提供や、飲料水の配付の準備を進めています。

画像 高齢女性の避難を支援する赤十字スタッフ©ウクライナ赤十字社

画像 被災者に寄り添う赤十字スタッフ©ウクライナ赤十字社

ダムは国際人道法の保護対象施設

カホウカ水力発電所のダムの決壊は、大規模かつ予測不可能な人道的影響をもたらす可能性があります。ダムは危険な力をもつ施設として、国際人道法の下で特別に保護されています。

今回のダムの決壊は、20222月以降必要不可欠な民間インフラに影響を与えた最も大きな損害のある事件の1つであり、紛争当事者が国際人道法とそれが民間物に与える保護を尊重する必要性を改めて浮き彫りにしています。

皆さまから寄せられた「ウクライナ人道危機救援金」を通じて日本赤十字社はウクライナ赤十字社の「緊急対応基金」に支援をしておりますが、今回ウクライナ赤十字社はこの緊急対応基金を使って救援活動を展開しています。引き続きご支援の程よろしくお願いいたします。

ウクライナ人道危機救援金

受付期間:2022年3月2日(水)~2024年3月31日(日)

使途: 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。

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