【速報16】トルコ・シリア地震:日赤から国際赤十字保健医療コーディネーターを派遣、2億円の資金援助を実施(シリア)

日本赤十字社(以下、日赤)は、トルコ・シリア地震で被災したシリアにもこれまで継続的に連絡調整員を派遣し、現地でシリア赤新月社(赤新月社はイスラム圏の赤十字社)が行う活動を支援してきました。

この度、地震の被害に加え、これまでの内戦や経済制裁の影響で復旧の見通しが立たない保健医療分野を重点的に支えるため、シリア赤新月社(以下、シリア赤)に2億円の資金援助を行いました(国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)の緊急救援アピールを通じ、保健医療分野に使途指定)。

また、同分野における活動を支援するため、日赤から国際赤十字保健医療コーディネーターを派遣しました。

シリア赤に対する保健医療分野の支援

日赤は、2億円の資金援助を通じて、シリア赤新月社が実施する以下の活動等を支援します。

〇巡回診療チームの支援

以前の記事でもお伝えしたように、日赤は2011年以降継続的にシリア赤の巡回診療チームの支援を行っています。シリア赤は武力紛争による病院への被害などの影響を受け、地震以前からへき地に住む人びとの健康を守るために巡回診療チームを派遣していました。

日本赤十字社は、地震後すぐにこの支援を拡大、現在12チームの活動を支えていますが、さらに規模を大きくして32チームの支援を行います。

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シリア アレッポの巡回診療車(C)SARC

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シリア ラタキアでの巡回診療の活動(C)SARC

〇移動型保健医療チームの支援

シリア赤新月社には、上記の「巡回診療チーム」のほかに、定期的に各拠点を訪問し、保健サービスや教育活動を行う「移動型保健医療チーム」を運営しています。全国に28チームあり、産婦人科医・助産師・こころのケアや保健啓発ボランティアなどでチームを編成して僻地に赴いており、手洗いの仕方や母子保健についての知識の普及なども行っています。

画像 ラタキアでコレラの啓発セッションを行うシリア赤ボランティア(C)SARC

巡回診療チーム、移動型保健医療チーム両者の働きによって、保健医療インフラが乏しい各地においても、包括的な支援が提供できています。

〇身体障がい者に対する支援

シリアは長期の紛争の影響で身障者が人口の24%にものぼります(各国平均の2倍程度)。以前より赤十字国際委員会を中心に支援が進められていましたが、この度の震災でのニーズの増加が見込まれるため、本事業について連盟も活動を拡大していくことにしています。

画像 避難テントにてリハビリを行うシリア赤理学療法士(C)IFRC

日本赤十字社から国際赤十字保健医療コーディネーターを派遣

上記の活動を現地できめ細かく指揮・サポートするため、4月20日、日本赤十字社は姫路赤十字病院の髙原美貴看護副部長をシリアのダマスカスに派遣しました

髙原看護副部長は、これまで中東ヨルダン等でも国際赤十字の保健医療支援活動に携わってきました。今までの国内外での経験を活かしながら、国際赤十字・赤新月社連盟の保健医療コーディネーターとして、現地で1年間活動する予定です。

髙原看護副部長は「『わたしたちは、苦しんでいる人を救いたいという思いを結集し、いかなる状況下でも人間のいのちと健康、尊厳を守ります』という日本赤十字社のミッションステートメントが常に私の心の中にあります。特にこの「結集」するというところが赤十字の強みと考えます。一人ひとりがなんとかしたいと思っているその思いを、「結集」する役割を担うチャンスを最大限に生かし、有効な支援につなげたいと考えています。」と意気込みを語りました。

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写真:髙原看護副部長

日赤はこれからも中長期的に現地を支援していきます。引き続き、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

「2023年トルコ・シリア地震救援金」

受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。

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