【速報8】日赤職員が見たトルコ・シリア地震

トルコ・シリアの国境付近で2月6日に起こった大地震。被災地では、現地の赤新月社(イスラム圏の赤十字社)のスタッフやボランティアを中心に、懸命の救援活動が続き、国際的な赤十字のネットワークがそれを支えています。日本赤十字社は、支援の調整を図るため、トルコの首都アンカラと、シリアの首都ダマスカスにそれぞれ職員1名を派遣しています。

現地はいまどのような状況で、何が必要とされているのでしょうか。赤十字の最新の活動とともに、2名からの報告をお伝えします。

トルコ:地震多発国の赤十字社同士として

トルコの首都アンカラには、日本赤十字社の芳原みなみ職員が2月13日より滞在し、被害状況の把握や、支援を円滑に進めるための連絡調整を行っています。芳原職員からのレポートです。

〇特に支援が必要な人びとに目を向ける

トルコはもともと世界で最も多くの難民を受け入れている国です。370万人以上の難民がいると言われており、多種多様なバックグラウンドを抱えた方々が多く住んでいます。そして、今回の地震は、多くの難民が住んでいる地域をも襲いました。彼らは避難民としてシリアなどから逃れ、そして地震による被災者となってしまったのです。災害で最も影響を受けるのは、もともと社会的に脆弱な立場にいる人びとです。赤十字は、このような人びとも含めて誰をも取り残すことなく、支援が必要な人びとに確実に支援を届ける、という意識をもって活動を続けます。」

minami san.png

トルコ アンカラより芳原職員

〇支援者もまた被災者であること

「トルコ赤新月社の職員やボランティアと話すと、彼ら自身も被災者であり、日々心を痛めながら活動を続けていることを感じます。彼らは発災の直後から働き詰めですが、常に被災者のためを思って寝る間も惜しんで活動を続けています。私自身も東日本大震災や熊本地震の被災者支援に携わりましたが、発災直後から最前線で活動する人たちは、自分自身や家族、友人や同僚が被災しながらも活動していたことを思い起こしました。『被災者』として数字で表れている以上の方々が今回の地震の影響を受けているのだと改めて実感し、トルコの国外から支援に入っている私たちとしては、現地で活動するスタッフやボランティアの負担を軽減しながらできることをしていきたいです。」

地震多発国の赤十字社として

「トルコと日本はいずれも地震多発国であり、東日本大震災の際にはトルコの方々から多くの支援を頂きました。そのような地震大国の赤十字社同士として、これまでの協力関係や地震対応の知見などを活かして、息の長い支援を行っていきたいと思います。」

IMG_0039.JPG

カフラマンマラシュの現在の様子

VJTL4339.JPG

トルコ赤新月社の職員から救援活動の説明を受ける芳原職員

シリア:様々な人道危機を乗り越えるために

シリアの首都ダマスカスには、日本赤十字社 中東地域代表部首席代表の松永一職員が2月5日より滞在し、シリアの被害状況の把握や活動の調整を行っています。

〇武力紛争が続くシリアでの活動

「私は現在ダマスカスにおります。ダマスカスの中心部は戦闘の影響はあまり見られませんが、一歩郊外にでると武力攻撃を受けた家屋や廃墟が広がっており12年間の武力紛争の影響を改めて感じます。加えてこの国では経済危機、新型コロナウイルス感染症、そしてコレラの発生が起きています。特にコレラへの感染が報告されている地域は国の北部で、今回の地震で被災した場所と重なります。シリアの被災者は、同時に幾つもの人道危機に見舞われているという事実を覚えて頂きたいと思います。」

matsunaga san.png

シリア ダマスカスより松永職員

支援の困難に直面して

「一方、地震のあとも民間人の殺害や誘拐が起こるなど不安定な状態が続いていることも課題です。セキュリティーの問題から、なかなか私自身をはじめ外国人が被災地に立ち入ることができず、もどかしく感じています。物価が高騰し、また以前から燃料などが不足していることから、車両での移動が制約されることも円滑な支援の妨げとなっています。シリア赤新月社の現地支部が中心となって対応していますが、赤十字としても一部の地域に支援を届けるのが難しいという課題も抱えています。引き続き、赤十字として人道支援を届けるという使命を果たせるよう、セキュリティのアセスメント、関係者との協議を続けていきます。」

〇自然災害へ備えがなかった人びとへの支援

「現地の人と話していた際、『銃撃戦の中だったら自分のことを守ることができるが、地震のときはどう守ればよいかわからない』という言葉を聞き、衝撃を受けました。シリアは長年、武力紛争が続いて来ましたので、一般の市民も武力攻撃にかかわる備えは日々していますが、自然災害への備えは十分に出来ていなかった、ということを改めて感じました。今回の地震で被災者の方々は身体の傷だけではなく、精神的にも大きなショックを受けています。そのため、今後は子どもたちを含めたこころのケアも、赤十字が担うべき重要な活動になると思います。」

訴えたい息の長い支援の必要性

現地にいる芳原職員も松永職員も、被災された方々への緊急的な救援活動にとどまらず、将来の復興も見据えた中長期的な支援の必要性を肌で感じています。現地の人びとに寄り添い、切れ目のない支援を継続していくために、皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。

「2023年トルコ・シリア地震救援金」

受付期間: 2023年2月9日(木)~2023年5月31日(水)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟の緊急救援アピール等に対する資金援助、トルコ赤新月社並びにシリア赤新月社による救援・復興活動、日本赤十字社による救援・復興活動等に使われます。

本ニュースのPDFはこちら(601KB)