【速報14】ウクライナ危機:各地のニーズに合わせ着実に支援を実施

 2月24日に始まったウクライナの紛争激化から3か月が経ちました。

 国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)は、紛争の影響を特に受けている8か国(ウクライナ・ポーランド・ハンガリー・スロバキア・モルドバ・ルーマニア・ロシア・ベラルーシ)と、ヨーロッパをはじめとする二次的な影響を受けている国々で、これまでにない速さと規模で人道支援を広げ、210万人を超える人々に支援を届けています。(5月24日時点)

■各地での人道支援

ウクライナ

 2022年2月、ウクライナのキーウ州に位置する町ヴィーシュホロドにて、隣町デミディフへ繋がる橋が破壊されたとき、現地の人々は町から避難することも、人道支援を受けることもできませんでした。ウクライナ赤十字社のスタッフ・ボランティアそして地元住民が協力して川を渡る歩道を建設、15,000人を超える人々がその歩道を利用して町から避難することができました。また、人々の避難のみではなく、歩道の建設により多くの救援物資を持ち込むことに成功し、大きな人道支援に繋がりました。

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建設した歩道で避難を誘導するウクライナ赤十字社スタッフ©Ukrainian Red Cross

ハンガリー

 ハンガリーではこれまで少なくとも465000人の避難民を受け入れてきました。

 危機が始まって以来、避難民が多く到着するハンガリー国境の町ザホニーの駅には救援物資配付・情報提供を行う場所、一時避難施設が設けられ、現在はスペイン赤十字社が、保健医療の緊急救援チームを配備、医療支援を継続しています。

 下記の写真はチームリーダーのアルバート医師が、ウクライナから来た高齢の避難民を、一時避難所のベッドに移動させるのを手伝っている様子です。

 一時避難所では、チームメンバーの看護師がウクライナからの避難民を慰め、こころのケアを行う様子も写されています。

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高齢の避難民の移動を手伝うスペイン赤十字社の医師©IFRC/Marko Kokic

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こころのケアを行う看護師©IFRC/Marko Kokic

 これまでに約6,800人のボランティアが参加し、126,000人以上が救援物資を、そして17,000人が衛生キットを受け取りました。また、10,000人以上が心理社会的支援(こころのケア)を受けています。

スロバキア

 スロバキアでは連盟が過去最大規模の緊急現金給付プログラムを開始したことで、避難民が生活支援金を受けることができるようになりました。

 連盟の支援チームは、スロバキア赤十字社のボランティアと職員を対象に、受給者登録と給付に関する研修を行いました。

 この現金給付プログラムはカード会社を通じて行われ、デビットカードにより、世帯ごとに6か月間、緊急の生活支援金が毎月提供されます。金額は家族構成によって異なり、スロバキアの社会保障制度に沿って調整されます。ヨーロッパのほとんどの国で使用でき、個々人のニーズに合わせた支援が可能になりました。

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現金給付プログラムの研修を行う連盟職員 ©IFRC/Marko Kokic


動画ではウクライナをはじめ周辺国での国際赤十字の活動をお伝えします。ぜひご覧ください。

©国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC) 日本語訳:日本赤十字社)

■2年間で360万人、中長期的な人道支援を目指して

 この3か月間、国際赤十字は一丸となって、紛争の影響を受けた人々に人道支援を行ってきました。しかし、各地での大きな人道ニーズに対して、私たちの活動はまだ始まったばかりです。たとえ明日紛争が終結したとしても、混乱の回復と復興には何年もかかるといわれています。

 これからも赤十字は、ウクライナと周辺国の人々の様々なニーズを満たすためにどのような支援ができるかを模索し、より多くの人に支援を届けるための挑戦を続けます。

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「ウクライナ人道危機救援金」

受付期間: 2022年3月2日(水)~2022年9月30日(金)

使途  : 国際赤十字・赤新月社連盟、赤十字国際委員会、および各国赤十字・赤新月社が実施する、ウクライナでの人道危機対応及びウクライナからの避難民を受け入れる周辺国とその他の国々における救援活動を支援するために使われます。