(速報)アフガニスタン人道危機:最前線で活動を継続中

アフガニスタン人道危機救援金の受付開始 ー 皆さまからの温かいご支援をお寄せください。

 メディアで報道されていますとおり、2021年8月以降、アフガニスタンの人びとは、かつてないほど深刻で、複合的な人道危機に直面しています。赤十字は、国の全土に活動拠点を持つアフガニスタン赤新月社(同国の赤十字にあたる。以下、アフガン赤)が中心となり、赤十字国際委員会(以下、ICRC)と国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)(※)とともに、決して立ち止まることなく、支援を必要とする人びとのために活動を続けています。事態が流動的な中にあって、活動が困難な場面もありますが、赤十字による人道支援の現状をご報告します。

※各国の赤十字・赤新月社、ICRC(主に武力紛争等の状況下での支援・保護を担う)、連盟(主に災害時等の調整を担う)の3機関を総称し「国際赤十字・赤新月運動」と呼び、役割分担し人道支援を行っています。

長年にわたり築き上げた信頼をもとに

 2021年5月、アフガニスタン南部へルマンド州において、タリバンによる武力活動が活発化し、同年6月から各地において戦闘が激化。8月15日、タリバンが全土を掌握するに至りました。それを機に同国の2,300を超える医療施設が閉鎖される事態においても、アフガン赤とICRCは、同国各地で400を超える医療施設を運営・支援し、戦闘などによる負傷者の治療を続けてきました。ICRCが支援する施設では、紛争が激化した2021年6月1日以降、4万人を超える患者の治療にあたっています。その数は、前年同期間の1.8倍にのぼります。医療体制の維持と強化は、人びとのいのちと健康に直結することから、ICRCは支援先施設数をこれまでの2倍に増やし、全力で取り組むこととしています。

 赤十字は、「中立」「公平」「独立」の基本原則に沿って、タリバンを含む同国の様々な政治・行政機関や団体との地道な対話を通じて、信頼関係を築いてきました。アフガン赤は、全国34州の全てに活動拠点となる支部を持ち、支援の手が行き届きにくい地域にも活動を広げている数少ない人道支援組織です。その土地のボランティアが、地域のニーズを聞き取り、特に弱い立場に置かれた人びとに寄り添って活動して来ました。長年培われたアフガン赤のへ信頼と地道な活動の成果の蓄積によって、不安定な状況下でこそ、人びとにとって必要不可欠な存在となり、人道支援活動の継続を可能にしています。

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国土の隅々まで支援を届けるアフガニスタン赤新月社のスタッフとボランティア (c) Meer Abdullah/ARCS

報道の陰で進行する“静かな人道危機”

 アフガニスタンが直面する人道危機は紛争だけではありません。特に、全国規模の干ばつの被害は深刻で、国民の8割以上が生計を依存する農業や畜産、また安全な水の確保に危機的な影響を及ぼしています。2021年6月には、干ばつによる「国家緊急事態宣言」が発出され、連盟も、同宣言に先駆けて同年4月に「緊急アピール」を発出。各国赤十字・赤新月社へ緊急支援を要請し、食料配付等を実施しました。

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   国内避難民への支援が急務 (c) Meer Abdullah/ARCS

 紛争、干ばつ等の自然災害によって、大規模な国内避難民が生じていることも、同国が抱える人道危機の一つです。国連人道問題調整事務所によると、2021年に入り、57万人を超える国民が、食料や仕事、より安全な暮らしを求めて大都市に移動しています。寒さの厳しい冬を迎える同国では今後、さらなる国内避難民の増加が危惧されており、食料やシェルターなど、人びとの健康と安全を守る上で必要最低限の支援が急務となっています。

 さらに、同国でもやはり、新型コロナウイルス感染症が脅威となっています。アフガン赤が運営する医療施設では、患者への治療に加えて、36の移動型医療チーム(Mobile Health Team)を派遣して、医療施設へのアクセスが容易でない遠隔地の人びとへの医療サービスに力を入れています。

 様々な問題の背景には、40年にわたって断続する紛争や、近年深刻さを増す気候変動の影響があります。同国の生活インフラ、自然資源、そして一人ひとりの生活は脅かされ、国民の90%が1日2ドル以下の生活を送り、人口の3分の1を上回る1,100万人以上が深刻な食料危機に直面しています。

救いたいという想いを結集して

 今回の政変を受けて、連盟は、2021年9月6日、干ばつへの緊急アピール規模を3,600万スイスフラン(43億円相当額)に拡大し、「“複合的な人道危機への”緊急アピール」へと改訂。16州56万人を対象に、食料の配付、生計再建、避難民への緊急シェルターと生活必需品の提供から、感染症対応を含めた保健衛生分野や災害対策など、総合的な支援計画を発表しました。また、ICRCは医療支援や離散家族支援、収容されている人々の尊厳を守る活動などを急務として、2022年にかけて1億5,000万スイスフラン(177億円相当額)の支援の必要性を訴えています。外部からの国際支援が現地に入りにくい状況において、国際赤十字・赤新月運動が一丸となって人道支援活動を継続します。

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   人びとの声に耳を傾ける (c) Meer Abdullah/ARCS

ピーター・マウラーICRC総裁 2021年9月5日、同国訪問時の言葉:

「アフガニスタンの人びとは40年もの間、紛争の犠牲になってきました。心身に負った傷が癒え、回復するには今後数年を要するでしょう。ICRCはこの地に留まり、人びとが立ち直るための支援に専念します。国際社会が引き続きこの国に心を寄せ、他人事として見過ごすことなく、投資を続けていくことができるかどうか。すべてのアフガニスタン人の未来は、そこにかかっています」 (ICRC駐日代表部ホームページより引用)

 日赤は、アフガニスタンの人びとのいのちと健康、尊厳を守るため、本日よりアフガニスタン人道危機救援金の受付を開始しました。皆さまの温かいお気持ちを、アフガニスタンの人びとが必要とする支援の形に変えて、現地にお届けいたします。救援金へのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

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