「野菜の日」とアフリカのベジタブルガーデン

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アマランサスという雑穀を家庭菜園で育てる、ルワンダの女性(C)ルワンダ赤十字社

 皆さまは8月31日が「野菜の日」であることをご存知でしょうか。8(や)・3(さ)・1(い)という語呂合わせから、人びとの野菜への関心を高め、その魅力を広めることを目的に制定されました。日本では、日頃から野菜の摂取を心掛けたり家庭菜園を楽しんでいる方も多いかと思います。一方で、野菜は今、開発協力の分野でも注目を集めています。

 アフリカでは、慢性的な栄養不足や貧困に加え、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)や、気候変動により激甚化・頻発化する豪雨・干ばつなどの自然災害により、不況や物流への打撃、収穫高の激減、食料価格の高騰が一気に生じ、深刻な食料問題に直面しています。このような状況の打開策として、また保健衛生や生計支援活動の一環として、それぞれの地域に根差した野菜作りが積極的に進められているのです。「野菜の日」を機会に、世界の食料問題の改善にも寄与する野菜について、考えてみませんか。

 今号では、日本赤十字社(以下、日赤)が国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)を通じて支援を行っているアフリカ地域の赤十字社の取り組みをご紹介します。

給食の食材を保育園の菜園で

日赤の支援を受け、マラウイ赤十字社(以下、マラウイ赤)が実施しているのは、0歳~5歳までの乳幼児1,426人が通う5つの保育所への支援です。(マラウイでの詳しい活動の様子はこちらから)

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 保育所は地域の人びとが運営し、訓練を受けた保育士たちが活動の担い手です。マラウイ赤は給食のお粥用のトウモロコシと大豆の粉、そして調理器具や食器のほか、保育所が自給自足できるように種や肥料も提供しています。保育所の子どもたちの家庭の多くは、経済的に貧しく食べ物が不足しているため、子どもたちにとって、みんなで食べる給食は不可欠な栄養源であり、一番の楽しみでもあるのです。新型コロナの拡大でマラウイ全土で学校が封鎖された際には、子どもたちが健康を害することのないよう、保育所から自宅に給食を配達しました。

保育所の菜園で青々と育つトウモロコシ(C)IFRC

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 現在までに、3つの保育所の菜園で給食用に充分な量のトウモロコシと大豆が収穫でき、残り2つの保育所では来期の収穫を待っているところです。今後は、収穫したトウモロコシと大豆を製粉する技術を保育士たちに教えるための研修が計画されています。保育所の菜園で育ったトウモロコシや大豆が、子どもたちの食べるお粥に変わるまで、あと少しのところまで来ています。

収穫して製粉を待つトウモロコシ(C)IFRC

家庭菜園で可能性も育てる

 ナミビア赤十字社(以下、ナミビア赤)が、孤児や貧困世帯の子どもたち、またHIV陽性者に対して行っている様々な保健衛生・生計支援活動のひとつに、家庭菜園の指導があります。(ナミビアでの詳しい活動の様子はこちらから)

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 子どもたちの成長やHIV感染症の治療には、食事面や衛生面での継続的なケアが必要で、かねてから食料や衛生用品などの支援を行ってきました。しかし、野菜の配給は1年から2年に1回と非常に限定的で、また貧困や食料不足から、受益者たちは食事の回数や量を減らし、栄養価の低いものを食べるようになるなど、配給だけで栄養を確保するには到底困難な状況でした。そこで新たに導入されたのが、家庭菜園の支援です。

研修で肥料の与え方を学んでいるところ(C)IFRC

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 ナミビア赤は農業研修を行い、人々に基本的な知識と技術を学んでもらいます。その後、作物の種と農具を提供し、彼らが家庭菜園を始めてからは家庭訪問を通じてアドバイスを行っています。受益者たちは、キャベツ・玉ねぎ・トマト・大角豆(ささげ)・ニンジンの種を平等に受け取り、農具は共同で使用し、現在は各々の家庭菜園でこれらの野菜を収穫できるまでになりました。家庭菜園を行うには、農業に適した充分な土地の確保、所有権や利用権、水や資金など多くの課題を解決しなければなりません。しかし、小さな家庭菜園は大きな可能性を秘めています。家庭菜園を通じて新鮮な野菜や家畜用の飼料が継続的に得られるようになれば、家庭の経済的負担の緩和につながり、また栄養価が高くバランスの良い食事が取れるようになります。さらに、野菜を売って所得とすることや、再び食料問題が生じた際にも地域住民たちが協力して、自ら対応する力(レジリエンス)を培うことに繋がるのです。

家庭菜園で立派に育った野菜(C)IFRC

一つの野菜から広がる未来への可能性を信じて、日赤はアフリカ地域の赤十字社とともに、これからも地域の人びとに寄り添った活動を続けていきます。

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