「水の日」とルワンダの水問題

洪水、土砂崩れなどに被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

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村にひとつの水汲み場。毎日何時間も水汲みに携わる女性は、他の仕事をすることができません。(C)RRCS

 日本では各地で梅雨明けを迎え、青空が広がっていますが、8月1日は「水の日」です。「水の日」の目的は、一年で水の使用量がもっとも増える時期に、水資源の有限性や水の貴重さなどについて国民の関心を高め、理解を深めることです。日本に住む私達の多くは、蛇口からいつでも水が得られることが当然で、夏に水不足になって地域のプールが使えなくなったり、河川が氾濫した際に初めて水問題に直面することが多いと思います。けれど、もし「当たり前」の水がなかったり、河川や湧水を管理できないと何が起きるでしょうか?

日本赤十字社(以下「日赤」)がルワンダ赤十字社(以下「ルワンダ赤」)と実施している「ルワンダ気候変動等レジリエンス強化事業」は、まさにこの問題に取り組んでいます。

「水道はない」のが当たり前、ルワンダの村

 日赤が活動しているルワンダのギサガラ郡の村々では水道がなく、主に女性や子供たちが片道20分から30分かけて、谷底にある水場まで水汲みに行っています。家と水場を数往復するだけで何時間もの労働になります。とはいえ、水は、生存のための飲み水に限らず、身体や衣服を洗ったりなど、文化的な生活を送るためにも欠かせません。手間がかかりますが、村人たちが何よりも優先する日課が、その日に必要な水の確保なのです。
 一方で、河川や湧水を自分達の手で管理することができないと、直ちに飲み水や生活用水を得られなくなる危機に直面します。大雨で、水場が土砂に流されてしまったり、水が泥まじりになってしまったり、あるいは水場までの細い道が洪水や土砂崩れで行き止まってしまったら、たちまち水不足になります。
また、何とか飲み水を確保しても、汚染された水が原因で感染症が蔓延する恐れもあります。

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谷底にある水汲み場に通う、ルワンダの子ども達。水汲みで疲れて学校を辞めてしまう子どももいます。(C)RRCS

まじかに迫る気候危機の恐怖

 そして今、ルワンダの人々をさらに脅かす気候危機が迫ってきています。気候危機は、人々が長い間慣れ親しんでいた天気のパターンを、大きく変えてしまいます。天気予報が見られず、どんな災害が起こるか予想がつかず、どうやって対応したらいいか分からない、安全な水や食料を手に入れることも困難でいつもお腹を空かしている、という人々にとって、天気のパターンが予期できなくなるのは、恐ろしいことです。ルワンダの農村では、気候危機は遠い世界のニュースではなく、いきなり家の側の川が氾濫して橋が流され孤立してしまう、裏山が崩れ落ち家を失ってしまう、畑が壊滅し食べ物や生計手段を絶たれてしまう、水場が水没し安全な水が利用できなくなってしまうという、そしてそれが予想できないという、ときわめて具体的で切羽詰まった危機なのです。

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洪水により生じた大規模な土砂崩れの様子(C)IFRC

洪水で浸水した家屋(C)IFRC

 事業の3年目にあたる今年度、日赤はルワンダ赤と協力して、村に水に簡易水道を作り、汲み場を設置する活動(給水事業)を進めています。また、植林や防災、生計支援などを通じて、村人が気候危機に立ち向かう取り組みを支援しています。今後もプロジェクトの進捗を、国際ニュースを通じて皆様にお伝えしていきます。

 「水の日」を機会に、私達も、世界の水問題と気候危機について思いをはせてみませんか。

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