What's New of the Movement(世界の赤十字のトピックをお届け)

日本赤十字社が国内の医療や血液事業、災害救護活動に従事するように、世界各国の赤十字・赤新月社が紛争や自然災害、感染症などで苦しむ人々に寄り添い、人道支援活動を展開しています。

今回は、国際赤十字・赤新月社連盟(以下、連盟)で取り上げられたニュースをご紹介します。

アフガニスタン:干ばつと洪水に対応するアフガニスタン赤新月社のスタッフが忘れられない少年のこと

アフガニスタン赤新月社からの支援物資を受け取り、休息するこども

アフガニスタン赤新月社からの支援物資を受け取り、休息するこども
©Meer Abdullah DM-ARCS

2019年3月、アフガニスタンの16の州で洪水が発生し、少なくとも28万1千人が被災しました。この地域では、洪水が発生する以前から、干ばつが住民を苦しめており、食料や水、医療などの人道的な支援が必要とされていました。

アフガニスタン赤新月社の災害対応責任者ミーア・アブドラ氏は、被災地域が深刻な人道危機に瀕している状況を目の当たりにし、こう語ります。

「洪水は多くの人々の住む場所を奪い、人々は欠乏する食料や水、医療を求めています。住む場所を奪われた人々のうち、その中でも最も弱い立場にあるのは、常に女性や子ども、高齢者や障がいのある人々なのです。」

ミーア氏は、赤十字の救援チームに帯同しながら、被災地を巡り、何千もの家族に出会い、何も持たない多くの子どもたちに遭遇しました。数年続いた干ばつは、牧草地は枯れ果て、水不足は家畜の死をもたらし、彼らは身一つで安全な場所や救援物資の配給場所を求めて移動しているのです。

連盟はこうした事態を踏まえ、住宅や医療、給水などの多岐にわたる領域でアフガニスタン赤新月社の被災者に対する救援活動を支援するため、2019年3月19日付で700万スイスフラン(約7億7千万円)の支援を国際社会に呼びかけています。

(詳しくはこちら(連盟ホームページ(英文))
https://media.ifrc.org/ifrc/2019/04/24/in-pictures-the-boy-he-cant-forget-red-crescent-photographer-shares-stories-from-drought-and-flood-hit-afghanistan/

カメルーン:国内避難民キャンプにさした光

「私はずっとこの日を待っていました。農業は私の生きる喜びであり、家族を養っていくための唯一の生活の糧です。避難民となってから、村で平穏に暮らしていた頃とは生活が一変。以降、まともに仕事をすることが出来なくなりました。」

「私たちは決して他者からの憐みを乞うことに慣れているわけではないのです。しかし、見知らぬ土地で、避難民として何の生計の手段も持たないのも事実です。こうして生活できるのも赤十字のおかげであり、温かいご支援をして下さっている方々に感謝したいと思います。」

12人の子供たちと2人の妻と避難を余儀なくされたムサリ

12人の子供たちと2人の妻と避難を余儀なくされたムサリ
©IFRC

カメルーン赤十字社から生計支援を受け取った一人、シェリフ・ムサリの言葉です。

ここ数年、カメルーンとナイジェリアの国境沿いの地域で誘拐や殺人、略奪、焼き討ち等が相次いだことから、ムサリさんは避難民キャンプへ2年前に避難してきました。

カメルーン赤十字社は、ムサリさんのように避難先での生活に苦しんでいる人々を対象に、生計支援について訓練を受けた赤十字ボランティア130人を動員し、農業ができるようになるまで種まきや肥料づくりなど、対象世帯への支援を実施しています。

とはいえ、この活動には農業を持続的に行っていくための課題も大きく分けて2つあります。一つは、耕作用地が不足していること、もう一つは水の確保が難しいことです。ムサリさんのような、避難民に与えられる土地の多くは不毛で乾燥している土地であり、また、現在利用している水源が枯渇してしまう可能性があることも、地域全体の懸念です。

(詳しくはこちら(連盟ホームページ(英文))
https://media.ifrc.org/ifrc/2019/04/12/light-end-tunnel-displaced-persons-zamai-camp-find-reason-smile/

グレナダ:蚊を媒介する感染症(ジカ熱)への対策を進める

グレナダ赤十字社では、32の地域コミュニティで、蚊が媒介するジカ熱やデング熱等の感染症に対する意識向上を目的として、住民への教育に取り組んでいます。

ジカ熱対策に取り組むグレナダ赤十字社のスタッフ

ジカ熱対策に取り組むグレナダ赤十字社のスタッフ
©IFRC

活動のリーダーであるアビオン・バプティストさんは、「コミュニティと協力して、住民自身が何が出来るのかを実感してもらうことを大切にしています」「『これは使える!』と思ってもらえる情報や活動を共有した時、住民の表情は喜びと充実感にあふれます。それを見るのがたのしみですね」と語ります。

同国のモントウテというコミュニティは、治安の悪さや違法薬物の横行により、外部からの訪問者であれば近づかないように、と警告されることもあります。また、このコミュニティではゴミの不法投棄の問題もありました。グレナダ赤十字社は、こうしたコミュニティにも入り込み、清掃の大切さを粘り強く教育する活動を続けています。こうした活動に最初は消極的だった住民も、地域のために徐々に参加する住民や、中にはリーダーを担う人々も出てきています。

(詳しくはこちら(連盟ホームページ(英文))
https://media.ifrc.org/ifrc/2019/06/03/litter-bitter-lets-better-communities-working-prevent-zika-grenada/

本ニュースの印刷用PDF版はこちら(909KB).pdf.pdf