【WORLD NEWS】 流された日常。つなぎ直す支援 〜2026年ネパール洪水被害〜

2026年ネパール洪水被害 流された日常。つなぎ直す支援
土砂とがれきに埋まった道と、損壊した建物

©NRCS

住宅やインフラにも深刻な被害が(ヌワコット郡)

何が起こったの?

  • 8月26日、ネパール北部で大規模な土石流・洪水発生
  • 多くの住宅が流失・損壊。死者1455人、行方不明者5285人。
    1085人が避難生活
    (10月3日現在。ネパール国家防災管理庁)
  • 道路や橋も大きな被害を受け、41本の橋が流失。孤立地域も
  • 通信、電力などのインフラにも大きな被害
  • 複数の保健医療施設が流される
MAP ネパールと中華人民共和国の国境付近。ボテコシ川が流れ、首都カトマンズの北にあるラスワ郡とヌワコット郡が特に被害が大きかった地域
中国との国境付近で発生した洪水は河川流域に沿って広範囲に及び、特に首都カトマンズの北に位置するバクマティ州のラスワ郡とヌワコット郡が甚大な被害を受けた
土砂に覆われた川沿いの谷と、その奥に残る建物群

©IFRC

洪水被害により、コミュニティーごと流されたヌワコット郡の様子(9月30日撮影)

現地の課題

  • 橋の崩壊で支援が届きにくい地域も
  • 避難生活が長期化し、悪化した生活環境の改善が課題に
  • 公衆衛生上のリスク高まる
  • 安全な水と衛生設備の不足
  • 被災者と支援者の双方に心理社会的支援(こころのケア)の必要性高まる
  • 医療へのアクセスが遮断
床にマットや毛布が置かれた避難所の室内

©IFRC

ヌワコットの避難所。衛生的で一人一人の尊厳が守られた生活環境の整備が課題
土砂に押しつぶされて倒壊した建物

©IFRC

診療所だった施設も倒壊し機能不全に。橋の流失などによって、医療へのアクセスがとても困難な状況(ヌワコット郡)

赤十字の支援

  • ネパール赤十字社(ネパール赤/NRCS)が発災直後から救援活動を展開
  • 応急手当、保健医療支援
  • 給水・衛生支援
  • 救援物資の配付
  • シェルター支援
  • 現金給付支援
  • 心理社会的支援(こころのケア)
  • 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)が1800万スイスフランの緊急救援アピール発出
  • 赤十字国際委員会(ICRC)が家族再会支援や尊厳ある遺体管理を支援
仮設診療所で子どもの腕にバンドを付ける赤十字のスタッフ

©IFRC

ネパール赤が展開する仮設診療所(ヌワコット郡)

日赤の支援

  • IFRCの緊急アピールに対し速やかに500万円の資金援助
  • 本格化する救援活動支援のため、3500万円の追加資金援助決定
  • 防水シート、家屋修繕キット、毛布、飲料水用容器、家庭用テントなどの救援物資支援
  • IFRC保健医療コーディネーター、MHPSS※コーディネーター、日赤連絡調整員を派遣

※MHPSS:精神保健・心理社会的支援

赤十字の取り組み

被災したすべての人の「生活」と「心」の立て直しを

チャイルドフレンドリースペースで床に座り、被災者と笑顔で向き合う川瀨さん

©IFRC/日本赤十字社

ネパール赤が展開する仮設診療所に隣接するチャイルドフレンドリースペースで、被災者に「こころのケア」を提供する川瀨さん(ヌワコット郡)

8月26日にネパールと中国との国境付近で発生した大規模な土石流・洪水から2カ月余り。

9月7日から約1カ月間、IFRC保健医療コーディネーターとして現地で活動した大阪赤十字病院・看護係長の川瀨佐知子さんは、現地の被害状況をこう語ります。

「今回の災害の大きな特徴は、川の流れの影響を受ける地域は、洪水によってコミュニティーごと流されてしまっていること。大切な家族や全ての財産を失ってしまった方、橋の流失によって対岸の家族と引き離されてしまっている方など、避難生活を送る人々は皆、大きな喪失感と不安を抱えて生活しています」。

ネパール赤が運営する仮設診療所では、「こころのケア」にも注力。

「カウンセリングに来るなり感情が抑えきれずに涙を流す方も。子どもから大人まで、誰一人取り残さない継続的な支援の必要性を感じています」と川瀨さん。

仮設診療所では、多くの赤十字ボランティアも活動していますが、彼ら自身も被災者で、心の傷を抱えているそうです。

「ボランティアを集めて心理カウンセリングのセッションを行った際は、自分の痛みを仲間に打ち明けられる人もいれば、言葉に詰まる人も。そうしたメンバーにはスタッフが個別に対応しますが、駆け寄った私の手をギュッと握って離さず、涙する姿もありました。私はネパール語を話せないので、言葉をかけることはできませんが、ただ寄り添うことも必要な支援だと思い、落ち着きを取り戻すまでそばにいました」。

避難所においては、一人一人のプライバシーと尊厳が守られる環境の整備と、衛生面の改善が課題。慢性疾患や感染性下痢症への対応も進められています。赤十字は今後も、ニーズに応じた支援を継続していきます。

「2026年 ネパール洪水救援金」受け付け中