海外派遣の現場から タイ王国編

世界の現場で出会った人々とのふれあい、その土地でしか感じられない息づかい。日赤職員が見た、笑顔や驚き、そして心に残る瞬間をお届けします。

感謝を浮かべる、ロイクラトンの夜

リポーター  前澤 裕未 (まえざわ ゆみ)さん

バンコクで開催した「World First Aid Day」のイベントで救急法を指導する前澤さん
バンコクで開催した「World First Aid Day」のイベントで救急法を指導する前澤さん

昨年11月、初めて「ロイクラトン」というタイの伝統的なお祭りを体験しました。私のいるIFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)バンコク事務所でも、スタッフと一緒にクラトン作りに挑戦することに。

ロイクラトンは、毎年11月頃の満月の夜に行われる「灯篭流し」のような行事です。水の女神プラ・メー・コンカーに一年の恵みを感謝し、生活の中で汚してしまった水への謝罪を捧げるもの。花やバナナの葉で作った「クラトン」に灯りをともし、水面に流すことで、厄や心のけがれを手放し、気持ちを新たにする「浄化」の意味もあるそうです。水を生命線としてきた農業社会の歴史や共同体意識を象徴する行事として、長く受け継がれてきました。

もちろん、私はクラトンを作るのも初めてです。事務所のスタッフに作り方を丁寧に教えてもらいながら、何とか形にすることができました。完成したクラトンを持って向かったのは、事務所近くのベンジャキティ公園。「この素敵な文化が続いてほしい」と願いを込め、私も池の水面に浮かべました。

自作のクラトンを手に、IFRCの同僚と

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自作のクラトンを手に、IFRCの同僚と(写真①右が前澤さん)

一方、近年は観光イベントとして規模が大きくなるにつれ、環境への負荷も課題になっています。生分解性のクラトンを推奨するなど、環境に配慮した取り組みが進められています。

そして翌朝。流したクラトンがどうなったのか気になり、もう一度公園へ行ってみることに…。すると、クラトンはきれいに回収され、周囲もしっかり清掃されていました。伝統を大切にしながら、今と未来のために環境にも配慮する。その姿勢が印象に残りました。

初めて体験したロイクラトン。タイの文化を知るだけでなく、温かく迎えてくれた同僚たちの優しさや気遣いにも触れる機会になり、改めて、この地でしっかり頑張っていこうと思いました。